個人山行 穂高連峰グルっと一周

岳沢~前穂高岳~奥穂高岳~涸沢~パノラマコース…とはいかず、波乱の山行

福田

 奥穂高岳、標高3190m日本第3位の山。30年前、7年前に2度挑戦したが登頂ならず。
早く宿題を片付けたく、お二人に声を掛けて本山行を計画。
出発は8月22日、日程の変更はなし!と決めていたが、天気予報は22日からはず~っと?。好転の気配なし。かろうじて21・22日はB判定。往生際の悪い私の日程変更案に、お二人が快くOK!を出してくれて、急きょ計画を2日前倒し。
8月20日(土)
 飛行機組とJR組に分かれて長崎を出発、松本市内のホテルで待ち合わせ。
木場さんお勧めの居酒屋でおいしい料理に舌鼓を打ち決起集会。明日の天気は午後から下り坂ということで出発を早めることを確認し、20時頃にお開きにして明日からに備える。
8月21日(日)
 電車、バスを乗り継ぎ上高地入り。身支度をし、登山届を出して出発。
今日は、岳沢小屋までである。青空がのぞくいい天気。観光客でいっぱい。使用前の写真に納まる。
河童橋を渡り、奥に...ホテル白樺荘前に “ツキノワグマ目撃情報!”のドでかい看板(*_*)
明神南沢付近?どこ???“入山禁止”とは書かれていないので、ざわざわした気持ちをもちつつも歩を進める。(これが、本山行の波乱の幕開けのサインであることは知る由もない。)
岳沢登山口付近で下山してきた2人のレンジャーに熊情報を尋ねると「7番付近(コース上のプレートナンバー)で時々目撃情報があるようですが、刺激しなければ大丈夫ですよ!」にホッと胸をなでおろし、いよいよ登り開始。
すれ違う人々に挨拶をしてコースの状況を聞く。
8番を過ぎたところで下山してきた若い男性が「どこまでですか?」、「今日は岳沢小屋までです!」...「穂高の山小屋がコロナで今日から2週間ぐらい閉鎖になりますよ!」と、ゲゲッ!
(三田会長の「コロナで山小屋閉鎖もポツポツ出ています。何事もないことを祈ります!」の予感がみごと的中)。どうしよう(*_*; 中止???いやいや。
クルクルクルッと頭に格納されている今回の山行用のデータベースで検索。
まだ30分程しか登っていないし...よし!ルートを涸沢~北穂高岳~奥穂高岳~涸沢に変更しよう...
そうなると岳沢をキャンセルして...横尾と北穂の山小屋を押さえねば!
木場さんと手分けして電話し、無事に予約することができた。この間、15分程度。見事なチームワーク(アレッ?井上さんは?^^)。博子さんに変更の電話を入れて、山行続行!
 今日は横尾まで、“楽しょ~!”。岳沢登山口まで下山、明神池まで我慢できず、自然歩道脇ベンチでゆっくりランチタイム。
軽装のご夫婦が通りかかり、「ハイキングですか~」と声をかける。
槍沢ロッジがコロナ閉鎖で、上高地~中房に予定を変更したが、途中で断念し、一旦松本に下山。そして、再び上高地に来たとのこと。なぜ再び??
奥様曰く「ラッキーなことに徳澤園の宿泊予約をもっているの。1週間前からキャンセル料が発生するでしょ。だから、どうしても今日はここに来なきゃいけなかったの。」
私たちに先ほど起こった出来事を簡単に説明すると、ご主人がちょっと躊躇しながら「女の人は強いね~ついていくのが必死よ!」女性3人大笑い。
その後もすれ違う観光客ウォッチングをし、景色を堪能し、山を登るがごときゆっくりペースで歩く。
明神橋を渡り、まだ能天気に道端の花に目をとめながら歩いていると、山からガスが下りてきはじめゴロゴロと。あれだけ天気のことを気にしていたのに...スピードアップしたが時すでに遅し。
徳澤園を過ぎたところで雨が降り出す。「今日はお風呂があってよかったですね~お風呂!お風呂!」と声を出し、ようやく横尾山荘到着。
受付を済ませ、濡れたもの(ほとんど全て)を乾燥室に入れ、お風呂へダッシュ!気持ちぃ~!お風呂最高! 18時夕食。
今日ずぶ濡れになったことは、“最後まで気を抜くな!”ということ、明日から気を引き締めて、けど楽しんで行きましょう!と、明日の行動計画を確認。
21時消灯。
8月22日(月)
 今日は北穂高小屋までのず~っと登り。6時10分出発。横尾谷に入る。
屏風岩の大岩壁を左に仰ぎ見ながら進むと谷の奥に山が現れる。青い空に浮かぶ白い雲の切れ間から見える頂は!?今から目指す北穂高岳。
「あそこまで行くんですよね~」と、テンションが上がる。
本谷橋で休憩。ここから急な登りがはじまる。
木々の隙間から、カールの地形がはっきり確認できるようになる。
涸沢小屋に予定通りに到着、ランチタイム。
お二人はお目当てのおでんをニコニコ顔で食べ、私は...というと“何日山にこもるんか!?”というぐらい食料を背負っていたので、少しでも減らさねばとつぶれたパンをほうばる。
 いよいよ北穂沢に入る。夏のお花の時期はとうに過ぎていたが、アキノキリンソウ、オトギリソウ、ウサギギク、チシマギキョウ、チングルマ、トリカブト、ヤマハハコ、赤い双子の実がとってもかわいいオオヒョウタンボクが目を和ませてくれる(reported by Yoko K.)。
最初の一枚岩。とりついたはいいが、アレ???どっちに行ったらいいの?と3秒ほど止まっていると、クライマー井上さんが「右に行った方がいいんじゃない!」と的確なアドバイス。
ほほう...無事切り抜ける(CL大丈夫かっ!?)。時折来た道を振り返ると、涸沢が小さくなっていく。
ジグザグの登山道を登り岩塊の斜面を直登。再びハイマツの中に入り高度を上げていくと、鎖場・梯子が現れる。
下山者がいる際は大きな声でクッキリ・ハッキリ意思表示し、安全に交わす。
お二人は日頃のクライミングトレーニングの賜物で難なく通過。流石です!
CLは自分のことと、声だしだけでOK!一番長い梯子を登りきると一気に視界が広がる。
涸沢岳~奥穂高岳~吊尾根~前穂高岳の稜線が目に飛び込んでくるが、黒い雲がかかり始めている(ちょっと嫌な予感-_-)。
このころになると、下山者が続々。その中に、山岳会のメンバーと同年代のグループが。南岳から大キレットを歩いてきたと聞くや、お二人の目の奥にメラメラと炎が(見逃しませんでしたよ!次はどこに行かれますか~?)。
岩稜帯は続く。
途中、山岳警備隊4名が男性登山者を背負って下山する場面に遭遇。気を引き締める。
12時を過ぎると、次第にガスがあがってきて辺りは真っ白。下山者も少なくなり、修行の世界に突入。
「頑張れ私、頑張れリカボン」。木場さんも加わり「頑張れヨウコちゃん、頑張れトシ君、We can do it!」。
見えない北穂高岳を目指す。テント場を通過し、よ~やく縦走路との合流点。
南峰の岩塊を回り込み、トウヤクリンドウに出迎えられて北穂高岳北峰到着。
360°大パノラマを妄想し、交代で写真撮影。小屋は頂上直下、14:00到着。すでに多くの人が到着し、テラスで談笑していた。
 3人だけの個室をあてがわれた。ホット一息ついていると、雨音が・・・昨日のずぶ濡れを教訓に、早出、Good pace making!う~ん、学習効果あり!!
17:30夕食。食器にはかわいい“イワツメクサ”の図柄。そして箸袋に“一番高いところにある山小屋”の文字を見つけた井上さんはちょっとうれしそう^^)。
メニューは生姜焼き、ちっちゃいお魚の南蛮漬け、サラダ、味噌汁、白飯。
おいしかった~!
明日の天気予報は曇のA判定に好転。いよいよ30年越しの奥穂高岳制覇なるか...
8月23日(火)
 4時起床。お天気は?昨晩の雨は上がっているよう。しかし、あたり一面ガスに覆われ、足元は濡れている。天気予報はナント!Cに悪化。
今日の予定は、奥穂高岳まで縦走し、ザイテングラートを下り涸沢泊。
北穂高岳~涸沢岳はとくに難所である。どうしようか悩みどころ。
まずは北穂南峰に行き、状況を見て奥穂高岳に向けて縦走するか否か決めることにする。
出発の準備をしていたら、雨が本格的に降り出した。もうこれで何の迷いもなく「下山!」を決定。
涸沢ヒュッテをキャンセルし、再び横尾山荘を予約。
6時50分雨の中出発。
ガスで視界が悪くちょっと迷走したが、何とか北穂高岳・南峰の標識を発見、バンザ~イ!。
そして昨日登ってきたコースを下山開始。
小雨が降り続き眺望はゼロ、とにかく滑らないように足場を確認しながら一歩一歩下る。
長い梯子を下り、次に一番長い鎖が架かる一枚岩。
躊躇していたわけでもないが、後ろから木場さんが「こういうのは、鎖をまたいで下りればいいんよっ!私が先に行く!」(後で聞くと、大崩での東さんの声が降ってきたらしい)。
井上さんと私は目を丸くして、見守る。ほぉ~~懸垂下降で鮮やかに下る。
続いて私。井上さんは慎重に。お二人のコントラストが絶妙。その後もひたすら下っていく。
昨日苦労した最初の1枚岩も難なく下り、ようやく北穂沢を抜ける。
石畳の道を進み、涸沢ヒュッテで休憩。CLのご褒美としてお二人からコーヒーとおでんを奢ってもらう。
ご馳走様でした~^^)(先輩方とご一緒するのはこんなことがあるからいいんですよね~)。
ここで、なんと西海・大島町から車で遠征中の男性4人組に出会う。常念に行くつもりが、あっちの小屋もコロナ閉鎖。急きょ涸沢でのテント3連泊に変更したらしい。
朝10時半から焼酎で酒盛り。新任地が大島であった私は、しばし懐かしい時間を過ごした。
「また、どこかで会いましょう~」と、涸沢を後にする。小雨降り続く中、続々と登ってくる人たちに「行ってらっしゃ~い!」と声をかけながら下山、14:00横尾山荘に無事到着。
「お疲れさまでしたぁ~ありがとうございました~」。3人そろって写真を撮ってもらう。
もう我慢できず「乾杯しませんか!?」と。井上さんと二人は“Beer”、木場さんはお上品にホットミルクティ~。再び「お疲れさまでした~かんぱ~い!!」全身にしみわたるBeer。さいこぉ~!
8月24日(水)
 5:30からの朝食、単独のおじちゃんに続き2番手。おじちゃんと同じテーブルに案内される。
私が透明のついたてを挟んでおじちゃんの前に座る。
湯呑にお茶を注ぎ「どうぞ!」と渡すと「兄ちゃん、ありがと!」。誰、誰?(◎_◎)私??「い、いえ~^^;」。
おじちゃんは食べ始めて直ぐにどこへやら...すると、お水を入れたコップを2つ手に戻ってこられ、その1つをちょっと照れくさそうに「はい!ボクッ!」。誰、誰?私ですよね~「あ、ありがとうございまっス!」...(もっとおしとやかなしゃべり方、立ち居振る舞いを心がけねば^^;)
 6:05横尾山荘を出発。井上さんは、お土産をゆっくり買うためにと一人先を急ぎ、二人はおしゃべりしながら。徳澤園でトイレ休憩。
ベンチに立てかけられた井上さんのザックを発見。あれ?先に行ってるんじゃないの??トイレ休憩かな?...すると、ソフトクリームを片手に真剣な表情で売店から出てこられるではないですか。
責任感の強い井上さん曰く、「二人は時間がなくて食べられないだろうから、代表して食べなきゃいけない!と思って」と...3人そろって朝7時からのソフトクリーム(^^)これだけは当初の計画を完遂。
9:40上高地に別れを告げ、帰崎の路へ。
 結局、当初の計画とは全く異なった横尾~北穂高岳の往復になったが、その時々の状況の変化に3人で対応して、無事に北穂高岳に登れたことは、今後につながる“きちょ~な経験知”となるに違いない!!!と、いうことにします。
木場さん、井上さん、ありがとうございました!!
 個人的には、またしても奥穂登頂ならず。また宿題を残してきました。
そこで・・・ 一緒に奥穂高岳に登ってくれる方大募集!!誰か私の願いをかなえるのに付き合ってください!
コースタイム:
8/21 上高地10:15~岳沢登山口10:45~11:15No.8地点11:25~11:30折り返し(1650m)地点11:50~12:25岳沢登山口~12:45ランチタイム13:15~13:50明神館14:00~15:00徳澤~16:00横尾山荘 
・・・・・所要時間: 5時間45分
8/22 横尾山荘6:10~7:25本谷橋7:35~9:40涸沢小屋10:25~13:30縦走路合流点~13:45北穂高岳・北峰13:55~14:00北穂高小屋 ・・・・・所要時間: 6時間45分
8/23  北穂高小屋6:50~7:30北穂高岳・南峰7:40~10:35涸沢ヒュッテ11:35~13:55横尾山荘
所要時間: 6時間45分
8/24 横尾山荘6:05~6:50徳澤園7:10~8:40上高地 ・・・・・所要時間 2時間35分
参加者:
CL:福田R、井上、木場   計3名