個人山行 祖母山

倉嶋 C

娘の卒業山行に関東の友人と関東周辺の山を一緒に登る予定だった。
計画もほぼ出来上がった頃、例の新型コロナウィルスの感染が勢いを増してきた。
やむを得ず、卒業山行は中止となった。
それでも、九州のどこかの山に登りたいと娘のリクエストがあった。どこがいい?と聞くと祖母山に登ってないから登りたいと。私も祖母傾縦走は2回歩いているが、祖母山単独はなかった。
いろいろ調べていたが、平田さんご夫妻が祖母傾の話をしていたのを思い出し、平田さんに登山口の情報を教えてもらい、いくつかあるコースの中で、長崎からのアプローチが短い神原登山口からのコースを勧められた。
20日前泊して21日に登る計画をたてたが、前泊する予定の民宿が満室で、仕方なく19日前泊、20日登頂とした。
19日の宿泊者は私達だけの様で、翌日の登山口までの送迎をしてくれるという。何とラッキーな宿を選んだんだろうと嬉しくなった。おまけに食事も応対も値段の割には素晴らしかった。
3月20日(金) 早朝、登山口まで送ってもらい誰もいない駐車場を後にした。
この日は天気も快晴でおまけに放射冷却で登山道は霜柱でザクザク。頂上直下では所々凍っていた。
沢沿いの歩きやすい登山道を進むと、5合目避難小屋が現れた。
立派な小屋だった。
休憩もなく先を急いだ。暫くして河原が現れ対岸へ。そこからは急登となった。
大きなブナ林を歩きながらふと、嫌なことを思い出した。
それは、去年多良岳に中山キャンプ場から登ろうと一人で出かけた。登山口に着いて看板を見て出発したはずが、思いのほか登山道がはっきりしない。沢を渡り変だなと思いながらもどんどん登って行くと、多良岳遭難者の碑に辿り着いた。えーーー道迷い?、いつも持参するGPSをこの日は生憎持っていなかった。でも、スマホのヤマップで地図を立ち上げていたのを思い出し、見てみると明らかに登山道から外れていたのが分かった。
落ち着こう、落ち着こうと自分に言い聞かせ登って来た道を振り返るが、登りと下りでは景色が全く違う。それでもポイントを確認しながら無事に戻った。その時の登山道の感じが今歩いてる登山道とよく似ていて、ちょっと不安になった。
でも、考えてみればここは正規の登山ルートだ。間違うはずがない。GPSも大丈夫。
そんな私の後姿を追っていた娘が、「ちっちゃん、背中が不安そうだよ」と声を掛けて来た。
その時のシチュエーションと多良岳のそれが似ていることを話すと、「やっぱりね!」と。
「大丈夫、今は一人じゃないし私もいるじゃない」と言う娘が頼もしかった。
それにしても、このコース人気がないのかなと思うくらい誰一人歩いていない。後ろからも来ない。下山の時も誰にも会わずだった。静かな時を娘と二人で歩いた。
頂上に着くと、数人の登山者しかいなく思い思いに休んでいた。
頂上からの景色に二人して感動して思わず声が出た。遠く九重連山や由布岳・阿蘇方面・市房山、傾山からの縦走路がはっきりと見て取れた。この日の頂上の気温は3℃。寒かった。
写真を何枚か撮り、九合目避難小屋を経由して神原登山口まで降りた。
今度は傾山も登りたいねと言う娘に祖母傾縦走もいいよと教えてあげた。
まだまだ、連れて行きたい山が全国にはたくさんあるが、これからは仕事が忙しくなって休みは簡単には取れそうもないらしい。
でも、また二人でテント背負って色んな山を歩きたいなと思う。
コースタイム:
神原登山口6:10~6:45五合目避難小屋~8:55国観峠~9:50祖母山頂上10:20~10:30九合目避難小屋~12:20神原登山口
参加者:
 倉嶋C・倉嶋A