個人山行 八ヶ岳大同心稜

本田

2月9日 長崎空港-羽田空港-新宿(泊)
2月10日 新宿駅-茅野駅-美濃戸~赤岳鉱泉(泊)
 長崎出発当日の2月9日、東京には大雪注意報が発令されテレビのニュースは午後には積雪や路面凍結により首都圏の交通機関が乱れると大騒ぎ。 (゚∀゚;)アカーン! 
飛行機は引き返すかもしれないとの条件付きで1時間半以上遅れて長崎空港を離陸した。しかし天気予報は見事に外れ、羽田空港着陸時は雪がちらつく程度で積雪はおろか交通機関の乱れもない。
ニュースでの騒ぎは一体何だったのだ・・・。新宿にたどり着いたのは夜8時過ぎ、登山用品店は既に店じまいしており、しかたなく新宿歌舞伎町でいつもどおり夜遊びに繰り出す。♪ヾ(ーー )ケッキョクソレカーイ!
 翌朝10日、特急あずさに乗り茅野駅へ。駅でガイドさんと合流しガイドさんの車で美濃戸へむかう。
美濃戸口からの林道は見事な悪路で、ほぼカッチンコッチンに凍っている。
美濃戸口にある八ヶ岳山荘の従業員さんのお話では、先日美濃戸へ向かう林道の下りでスピード出しすぎてスリップしたパジェロが沢に落ちたとのこと。ヒイィィィ!!!!(゚ロ゚ノ)ノ 
ガイドさんの四輪駆動車には4輪とも金属チェーンを巻かれているがそれでも時々すべる。すべって落ちたらしゃれにならない。すべるのはオヤジのハゲあたまだけにしてほしいものである。
ちなみにこれは「デブデブ百貫デブ、車に轢かれてペッチャンコ~♪」で始まる、子供が口ずさむ言葉遊び歌の最後のフレーズ。
気になって調べてみたら「スベルはオヤジのハゲあたま~♪」は北海道東北のローカルらしく、全国的には「光るはオヤジのハゲあたま~♪」だそうである。眩しそう。(・∀・`)ドウデモイイ。なおワタクシは北海道育ちである。(・∀・`)モットドウデモイイ 美濃戸からは北沢を経て赤岳鉱泉へ。途中からは明日アタックする大同心が見える。
昨年(2018年1月)はほとんど雪がなかったが今年の大同心稜はしっかり雪化粧済み。
赤岳鉱泉からの景色とアイスキャンディ。八ヶ岳は毎年訪れても飽きることはない。
 そして夕食は赤岳鉱泉名物のステーキ。
 夕食後には食堂にて山岳医の大先達の一人である千島先生のミニ講演会があった。
テーマは冬の八ヶ岳にあわせて低体温症、凍傷のお話。
有意義なお話であり山岳会の研修会のネタにしようと(-_-;)オイ、ひたすらメモをとりまくる。
先生はかつて松本市内の救急病院に勤務されていたが、登山ガイドの資格もお持ちであり現在は時季彩山学舎にてガイドをされているほか、夏の新穂高の登山指導センターや冬の週末の八ヶ岳の山小屋に詰めて登山者の指導・相談をされておられ、山にどっぷりの生活をされている。
日本酒にも詳しいそう。ワタクシもヤブ医者をやめて、こんな酒浸り・・・じゃなく山浸りの生活をしてみたいものである。( ̄。 ̄;) イイナー

2月11日 赤岳鉱泉~大同心稜を登る~大同心稜を下る~赤岳鉱泉~美濃戸-茅野駅-塩尻駅-名古屋駅-博多駅-長崎駅
 朝6時に朝食をとり出発。気温はマイナス13℃と厳しい冷え込みで風も強い。
赤岳鉱泉からは硫黄岳方面へ向かうとすぐに大同心稜へ向かうルートが出てくるが、硫黄岳へ向かう登山者が道迷いしないようにロープでルートが塞がれている。
そのロープをくぐり、大同心稜への取り付きへ向かう。立ち入り禁止の場所に入っていくのはなぜだか気持ちがいい。ヾ(ーー )オイ 
取り付きからは尾根伝いに樹林帯の急登をエッチラオッチラ登る。
樹林帯を抜けると目の前には大同心稜が現れる。しかし吹雪いており、カッコイイ大同心稜ははっきりとみえず。orz
 樹林帯を抜けると尾根伝いに進み大同心の基部を目指す。
ここからは横殴りの吹雪が顔に吹き付けてくる。誰かが噂をしているのか、悪口を言われているのか、はたまた誰かに惚れられた?のか(←これはありえない (´-ω-`)シュン )、赤岳鉱泉からここまで何度もくしゃみをしておりバラクラバには鼻水がべっとり。(゚д゚;)キタネー 
吹雪の中、一瞬で鼻水は凍り付きバラクラバの空気穴から凍った鼻水の氷柱が垂れ下がる。
まるでマンガの世界である。ちなみにその鼻水だらけのバラクラバ、家に帰ったあとにそのまま洗濯に出したら、それを見た嫁が発狂してしまいしばらく口をきいてもらえなかったことは言うまでもない。(-人-)合掌
 大同心の基部からは大同心を回り込むようにして進む。足元は切れ落ちており落ちればそのまま奈落の底だが一般の登山道とは違い鎖は設置されていない。
その後は大同心と小同心の間のルンゼを登攀していく。岩場はしっかり凍り付いており、オーバーグローブではつるつるすべる。
岩場を過ぎ雪原帯の稜線に出ると一般登山道に合流する。横岳が近くに見えるはずだか全く見えず、近くの小ピークで休憩。
  さてこれから下山。
稜線の風はやや強く吹雪いており、硫黄岳まわりでも地蔵尾根を下るにしても吹雪で景色の見えない中ではただの苦行である。
どうせ苦行なら大同心稜を下るほうが楽しいだろうということになり、そのまま大同心稜を下山する。
 ガイドさんとはショートロープで繋がれており、下りではワタクシが先頭になってすすむ。
首輪かハーネスかの違いはあるにせよどう見ても犬の散歩である。
雪やこんこ♪あられやこんこ♪(←吹雪ですけど・・・)、降っても降ってもまだ降りやまぬ~♪、犬は喜び♪庭(←山?)かけまわり~♪・・・▼・?・▼ワンワン 
どうみてもワタクシが可愛いワンちゃんに見えるはずがない・・・サーカス団から脱走した熊(ワタクシ)とそれを捕まえた猛獣使い(ガイドさん)のほうがしっくりくるのではないだろうか。?≧?≦? 
 晴天の落ち着いた天候ならこれまで歩いてきたトレースも残っているのだろうが、吹雪でトレースは消えており視界も悪い。必死こいてルートファインディングするがところどころ方向を間違う。
犬は犬でもまったく役に立たない無駄飯食い無駄酒呑みの駄犬である。orz 
視界の悪い雪原を抜けて大同心と小同心の間のルンゼを降りて行く。
登りと降りでは景色の見え方が全く違いどこを通って登ってきたのかすぐにわからない。
吸い込まれそうな高度感も半端ない。((;゚Д゚));ヒイィィィ 
おまけに汗をかいておりゴーグルや眼鏡が曇る。そして曇ったそばから凍り付いていき見えにくくなる。
登ってきたところを探そうとするがなかなか見つからず、切れ落ちた岩場の崖をあちこち上から覗いて降りられそうなところを探して降りていく。ガイドさんがいるからいいものの、単独行なら遭難必至である。
ところどころある残置支点を使い懸垂下降で下りるが、下りた先にセルフビレイを取る支点がなかなか見つからず焦る。(゚□゚;)アワワ(;゚□゚)アワワ (←灯台もと暗し、足元に支点ありました。)
吹雪のすきまから登ってきた大同心の基部を見つけ、そこをめがけて岩を下り進む。
そして大同心基部の細いトレースを下るようにトラバースするが登りの時と違い高度感がさらに凄く感じる。
登りはやや上を見ながら進むからさほど高度感を感じないのだろうが、降りは下を向いているからなのだろうか。生きた心地はせず、さながら故障しているかもしれないジェットコースターに乗っている気分。
しかしながら楽しい。(゚∀゚)! 大同心稜の尾根に出ると樹林帯が見えてきた。
ここから先はトレースも残っておりルートファインディングに悩むことはない。ε-(´ω` )フウ・・ 
樹林帯の急登を降り、硫黄岳からの登山道に合流してしばらく進み赤岳鉱泉に戻ってきた。
赤岳鉱泉ではパンジャブカレー(←やや辛い)を食べて人心地ついたのち、バリエーションルートは登るよりも降るに限る・・・( ̄ー+ ̄)ニヤリ と、不敵な笑みを浮かべながら美濃戸まで下山したのであった。