個人山行 北ア 白馬岳~唐松岳

『北アルプス・・・おったまげー!!!』

東 R

今回・・・山登りを始めてからずっと憧れて、思い続けていた場所へやっとたどり着いた…。
そう!ここは北アルプス。別名、夢の国である!笑 はじまりはじまり~♪
私、東梨沙と今泉さん2人は今年山岳会に入ったばかりの新入生で年齢も近いことから話が合った。(ほとんど山の話だが)その話の中には良く「いつかアルプス行ってみたいね」の言葉が出ていた。
それがいつの間にかひょんなことから「今年!北アルプス行こう」へと話が進展し、すぐお互いに休暇を取った。突然で驚きもしたが、わたしには夢のような出来事。行かない理由がどこ探しても見つからない。
でも、初めての北アルプスで正直不安も募る。たくさんのモヤモヤしたものがあったが、それ以上に北アルプスの山々に会いたい気持ちの方が数千倍強かった。よし。会いに行こうではないかー!
会いたい山がありすぎて、どこに行くか中々決められず、どこに行こうか毎日毎日考えてしまい仕事も手につかないくらい。笑 もう、これほどの幸せな悩みはないのでは…。
そして色々探している最中に見つけた運命の一冊の雑誌。
フムフム…。後立山縦走?不帰キレット?ページをめくるたびにその場所に魅了される。
よしっ!決めた!君に会いにいくぞー!
しかし、不帰キレットは越えられるのか。初北アルプスで縦走できるのか。また不安に負けそうになる…出発日につれて、その不安は薄れていき、もうキラキラとわくわくしか感じていなかった。そしていよいよ出発。
9月16日(日)夜行バスに乗り込む。待っててねー北アルプス☆
9月17日(月)は栂池ヒュッテまでの移動に使う。列車で白馬駅まで移動するがくもり…。何も見えなかった。ゴンドラ乗り場までバス移動しゴンドラに乗る。
標高が上がるにつれ、木々達が色付き始めていた。黄色に染まる葉っぱが光り輝いて綺麗だった。
栂池ヒュッテに着いた頃はガスと雨で少し残念な気持ちだったが、夕方一瞬奇跡が起こる!明日から縦走する山達が雲と霧の隙間から顔をひょっこり出してくれたのだ。
そしてオーロラの様な、蜃気楼の様な数秒差し込んだきれいな色の夕焼け。きっと素晴らしい山行になるであろうと確信した。部屋に戻り、夕食を(豪華!)食べ終えた後、お風呂に入り就寝する。
2:30に目覚ましが鳴り、起きて外へ出る。本当に熊が出ないか怖かった~笑
その恐怖心がなくなってしまう程の頭上いっぱいに広がる星!星!星!今までこんな星空なんか見たことない程の感動で、言葉も出ず、息をするのを一瞬忘れてしまった。
ずーっと眺めていたかったが、明日からがあるけん寝らんばね~といいながら再入眠。少しさみしいままおやすみなさいでした。
9月18日(火)
(5:50)さあ!栂池ヒュッテのスタート地点に立ち、私たちは歩き出す。私のウキウキした気持ちは2m先に一人歩きしている。笑
樹林帯のジグザグ登りから見える雲海と五竜岳、鹿島槍ヶ岳。そのお姿に2人の目はハートマークだった。途中、見たこともない程の大きなナメクジを発見!
大好きな湿地帯を抜けて、ちょっと歩きにくい大きな岩の道を越えて乗鞍岳到着 (8:58)。
大きなケルンの後には見え隠れする山達と、一面の雲海。飛行機でしか見られない場所を歩いていると考えただけでゾクゾクしてしまう。笑
しばらくゴロゴロした岩場とハイマツがたくさんの道を歩き白馬大池へ到着(9:34)。
空は薄い青で透明感があって、でも池は濃い青で吸い込まれそうなほど深い青で。同じ色でもこんなに違っていろんな表情や、受け取る人にもいろんな感情を与えてくれるんだーっ。
ここで長い休憩を取ることにする。だってこの景色が足を止めてしまう。本当、意地悪だ!
次に会いに行く山まではゆるい登りで、前を見ても後を見ても横を見ても赤・緑・黄色の紅葉。山頂付近になると少し急登になり、息が上がりきつさが出てきたが、応援してくれるかのように雷鳥が2羽お出迎えしてくれた。もうこれは頑張らんば!雷鳥から元気をもらい、私達は雷鳥の声真似をしながら歩く。
小蓮華山着(12:25)
今日最後の山に会いに白馬岳を目指す。
山道はゆるい登りに見えたが、実際歩いてみるとその登りが長く、ジワジワと体力を奪い始める。でも、素晴らしいほどの稜線と天気で頑張ることができ白馬岳到着!(14:35)。
ここからの景色、今まで会った山達とのスケールが違って、もうビックリ!しばらく2人で撮影会をするが、私の時は青空なのに、今泉さんの時はガスで何も見えず…。今泉さん、運気ありがとうございました。笑
白馬さんへお別れし、白馬山荘へ向かう。スカイピアでパンケーキとコーヒーを頂く至福の時間。
夕日は雲が多くてあまり見えず、見えたのはちょこんと頭を出す剱岳だった。ここから見える剱岳は小さいけど、憧れ続けるその姿は、本当にかっこ良くて勇ましかった。
寒さのあまり部屋に戻り明日の不帰キレットに備えて今日はぐっすり寝よう…と思っていたが、まさかのイビキ怪獣さんに両側はさみ込まれてしまい、「寝れないー。」と今泉さんが嘆いていました。笑
9月19日(水)(5:48)今日は不帰キレットを越えなければいけないので本気モードに気持ちを切り替え出発する。しばらく砂利道の長いアップダウンを繰り返す。
寒さとこれがまた地味に体力を奪うが、進む先には剱岳がずっとこちらを見ていてくれる。頑張ろう。
岩のガレ場を登りやっと杓子岳に到着(7:05)。もう、息が切れる…。杓子岳を後にして白馬鑓ヶ岳へ向かう縦走路を歩く。最後の岩のガレ場を登り白馬鑓ヶ岳に到着(8:29)。
山頂にいる際、突如落石があり、その音と煙にビックリした。自然の驚異だ。
山頂を後にして、ガレ場を下る。ここから天狗山荘までの距離が長く、そして体も疲れ始めており、お互い口数も減ってしまう…さらに天狗山荘に付いたのが(10:06)でさらにここから4時間ほどかかる現実が突き刺さるとさらに口数が減る。
でも、「自分たちで決めた山だから!」「よし。やろう!行こう!」とお互いに励まし合いながら、笑いながら歩き出す。
11:10に天狗の大下りにさしかかり不帰キレットを目の前にした時、あまりの迫力と険しさに正直心が折れそうになった。笑 
ここで今泉さんからの元気をもらい、いざ、不帰の嶮へ!!の前に…天狗の大下り。
ガレ場の急降下を常に集中して足元をしっかり確認しながら滑らないように滑らないようにと、前から下りたり後ろ向きで下りたり、鎖をつかったりと1時間かけて下る。
やっと下り終えると、目の前に立ちはだかる不帰キレットからの挑戦状。ええーここ行くの!ここ人が通れるの?!恐怖心と不安でいっぱいになる。
さらにキレットの真ん中付近に、数名のパーティーが見え、あまりの人の小ささにまた唖然としてしまう。でも行かなければならない、行くしかなかった。
不帰キレット(12:05)を越える旅にいざ三点支持と呪文のように心で唱えながら、浮き岩じゃない岩に足をのせ少しずつ高度をあげる。振り返るとその高さに体全体が吸い込まれそうになる感覚でとても景色を堪能できる余裕はなかった。
不帰一峰に(12:44)着いたがこの先まだキレットは続くため、先を急ぐ。途中切れ落ちた岩場にはしごがかけてあるが、またそこが嫌な落ちた時の妄想をさせてくれる。
岩場をよじ登ったり、裏側に行ったりしてなんとか不帰二峰北峰到着(13:57)
足場の岩が大きくなりしっかりしている為、安心するが鎖を掴んで行くトラバースは怖かった。
でも少しずつこの高度感に慣れ、岩をよじ登っている事に楽しさを感じられるようになるとまた違う景色が広がっていた。
不帰二峰南峰到着(14:44)、やっと終わると思った瞬間、唐松岳が遠い事、急登があることに気づき本当に二人とも驚愕する。今まで楽しくルンルンだったが、ここで本当にへこみ、足を一歩ずつ前へ出すことしか考えられなかった。
この時は本当にきつかった。でも、山荘に行かなければいけないので息を切らしながら、ため息混じりながらなんとか頑張ることができ、唐松岳に着いた(15:45)
この瞬間、2人して「やっとついたー!!」と叫ぶ。山頂には人が数名いたが、お構いなしに何回も叫んでしまった(笑)
今回最後の山荘、唐松山荘に到着(16:09)。ゆっくりする時間はなく、荷物を下ろしたらすぐ夕食を頂く。
夕食を頂いた後は、夕日を見ながらビールを頂く。ゆっくりと唐松岳に隠れるように沈む夕日、オレンジから黒に染まる剱岳が一段とかっこよく素晴らしかった。
明日下山しなければいけないことを考えると、とてつもなく寂しくなり、なんか胸が締め付けられている様な感覚。これは恋だな(笑)
明日は下山だけのため、少し気持ちの余裕があり2人で今回の話をしながら動画撮影を行う。しばらく遊んだ後、就寝するが、ここでもイビキで熟睡できず。

9月20日(木)
(5:37)唐松山荘を出発する。
朝日を見ようと頑張るが、今回は残念…でも遠くの富士までみることができた。ここからは八方尾根を下りしばらく下ると樹林帯になってきてさらに下る。
途中4cmほどの大きな木苺を発見し、私じゃなくお腹が弱い今泉さんに試食してもらう。甘かったのかな?
(7:09)八方池到着。天気はくもりのまま。
ウッドデッキに座りしばらく今回の縦走路をしばらく眺める…。なんだろう、思うことはたくさんあるのに上手く言葉に出来なくて、簡単な言葉で表すのはなんか失礼で、相応しい言葉や表現ができないような感覚になる。八方池から見える今回の縦走路はあんなに遠くてきつかったのに、ここに来たら別れがすごく寂しくなる。
でも帰らなければいけないので、お別れを言いながら木道を歩き出し(7:47)八方ケルンに到着。また木道を歩きゴンドラ乗り場へ到着。
ゴンドラを乗り継ぎ白馬村へ到着。あー下山してしまった…もう山の中ではないと悲しんでいたが、さすがにお風呂に入りたい!すぐ温泉へ向かう。
白馬八方温泉到着(9:40)縦走を終え、このパンパンになった足を、一緒に歩んでくれた登山靴から離れる瞬間がたまらない(笑)
温泉に入りさっぱりしたところで、お腹も空きラーメンを食べる。
帰りの電車まで時間があったので白馬村の道の駅までお土産を探しに小旅行する。そうこうしているうちに電車の時間になり名古屋まで向かう。
電車の中は今回の写真を見ながら思い出話しをした。楽しい時間だったのであっと言う間に名古屋に到着。名古屋駅でエビフライとビールにて乾杯した後、夜行バスに乗り長崎へ帰宅。
今回の旅の中で一番ゆっくり寝むれたのは帰りの夜行バスだった(笑)
9月21日(金)早朝に長崎に着き、今回の山行は終了となった。そして帰ってゆっくりした後にまた今泉さんと再会し焼肉打ち上げ!何回乾杯したことだろうか…。
でも、今回こんなに楽しく山行ができたのは本当に嬉しく幸せに思う。一緒に行ってくれた今泉さんに感謝ですね!
夢が叶った始めての北アルプスだったが、それと同時にここからがスタートだった。反省点もあったし、無くしたものもあったけど、そこから学んでこれからどんな山にも会いにいけるようしっかりと土台を作っていきたいと思った。
北アルプスから帰ってきてもう3週間になるが毎日写真とビデオをみて日々の活力にしています(^^)
今回の総まとめのムービーを今泉さんが作ってくれたので、見たい方はぜひ!!笑
ここで今泉さんから一言いただきます。東「今回始めてのアルプス縦走、感想を一言!」
今泉「・・・おったまげぇ~!!」こんな感じで後立山縦走行ってきました。お・し・ま・い(^〇^)
参加者: 東R、今泉  計2名