個人山行 阿弥陀岳北陵

本田

1月6日 長崎空港−羽田空港−新宿(泊)
1月7日 新宿駅−茅野駅−美濃戸…赤岳鉱泉…行者小屋(泊)
 今回の山行は厳冬期のバリエーションルート、ソロではさすがに危険(あたりまえじゃ!)で、いつもの山岳ガイドさんにガイドをお願いした。
ワタクシと同い年の方で、瀬戸際での判断や技術は的確で信頼できるのだが、仕事に対するヤル気があまりなく、クライアントに厳しいガイドさんが多い中、際立つアバウトぶりを発揮し、時には遭難すらも予感させてくれる、遊園地の絶叫マシーンのようなスリル満載の山行へといざなってくれる。(おかげで非常時の判断も冷静にできるようになりました。)
このガイドさんにまつわる面白い話はたくさんあるが、書くと山行報告がすごーく長くなってしまい、そろそろ会報担当の方に怒られそうなので、これらは機会あれば後の講釈で。
 仕事に対するヤル気のなさとアバウトさがワタクシと同じなのか←コレヲヤブイシャトイイマス ( ̄▽ ̄;)、なかなか相性がよく、東京在住の時から長くお世話になっている。
槍や穂高の一般道登山で満足していたワタクシをバリエーションルートや沢登り、そして雪山へと導き、ザイルとピッケルを担いで厳冬期のアルプスへ挑める山男に鍛え上げてくださった(;¬_¬)ナンカチガウ・・・もとい、無駄に重い日本酒やワインの瓶を大量に担ぎ上げ、山小屋の従業員やのんべえのお客さんを巻き込んで一晩中飲みまくる(←実話)山の大迷惑ジジイに仕立て上げて下さったのもこの方である。
 さていつもどおり、長崎空港から飛行機で東京、そして新宿に泊まって登山用品店巡りの後、新宿歌舞伎町で夜遊び♪ヾ(ーー )コラ。翌朝7日、特急あずさに乗り茅野駅へ。
駅でガイドさんと合流し、ガイドさんの車で美濃戸へむかう。
美濃戸の赤岳山荘駐車場は、三連休前とあってほぼ満車。晴天の中駐車場からは明日アタックする阿弥陀岳が望める。
 美濃戸からは北沢を経て赤岳鉱泉へ。途中から大同心稜や横岳がドドーンと姿をあらわす。
今年は正月明けから雪が降っていないらしく、上部はほとんど雪がなさそうにみえる。
 赤岳鉱泉でしばし小休止、鉱泉でアイスアックスを借りてアイスキャンディでちょっと遊ぶ。
連休だけあって今日の赤岳鉱泉の宿泊者は200人の予定だそう(←収容人数150人 ((( ;゚Д゚))) ヒー!!)。
その後、中山乗越を越えて行者小屋へ。行者小屋からは阿弥陀岳がものすごーく近くに見える。
 行者小屋はもともと冬季閉鎖だが、数年前から週末だけ営業しており赤岳鉱泉と経営は一緒でサービスもほぼ一緒なのだが、こちらはあまり知られていないのか当日の宿泊者は30名と空いていて快適。
小屋の中にはあちこちに炬燵が置かれ、石油ストーブもしっかり焚かれており暖かい。
大部屋の炬燵の中にもぐりこんだ登山者達は夢うつつ、ウシガエルの大合唱のような寝息(←これをイビキと世の人はいう)が部屋中にこだましている。
これなら大酒飲んでウシガエルの大合唱に加わっても文句は言われまい  ̄ー ̄)ニヤリ。
夕食はアツアツのグラタンと鶏肉やベーコンがいっぱい入ったおかわりし放題のポトフ、ご飯には微妙に合わないが、ワインのアテに不足はない。
売店のお酒も充実しているのがなによりうれしい♪。心おきなく売店のワインをぐびぐび ( ̄▽ ̄)=3 プハー。えっ!?いったい何しに山に行ってるのですかって?そっ、それは・・・(-_-;)。(←最近家で酒を飲むと小学生の娘に怒られるようになったとはトテモイエナイ・・・Ω\ζ゜)チーン・・・。)
 閑話休題。それにしてもなんでしょう、低気圧と前線が仲良くおててつないで高気圧と花いちもんめでもしてるかのようなこの天気図(気象庁)。
ほぼ高気圧チームの負け確定のこの勝負、仲間割れしてケンカでもはじめようものなら大雪を降らせる爆弾低気圧になりそうです。そして明日は昼前より下り坂の予報・・・(´・ω・`)ショボーン。
酔っぱらう前にガイドさんとしばらくスマホをにらめっこ、どうやら10時ごろまでなら天気は大丈夫そうで、明日は早朝勝負!という判断となり、小屋の朝食は取らずに朝5時行者小屋を出発することに。

1月8日
行者小屋…阿弥陀岳北陵…阿弥陀岳山頂…中岳沢…行者小屋…赤岳鉱泉…美濃戸−茅野駅−塩尻駅−名古屋駅−博多駅−長崎駅
 朝4時起床、5時出発。外は当然暗いが雪はパラつく程度、気温は0℃で生暖かい。
行者小屋からは、文三郎尾根と阿弥陀岳の分岐を経て、阿弥陀岳方面へ向かう。
分岐からすぐに北陵へ向かう取り付きがあり、トレースはしっかりついている。取り付きからしばらく行くと、樹林帯の急登に差しかかる。
雪が多いとラッセルを強いられるところなのだが、雪がない・・・。ラッセルしなくて済むのはラッキーだが、ところどころ地面が出ており、雪もさらさらでまったく締まりがない。
12本爪アイゼンも効かず、ズルズルズルズル・・・||||||○┼<・・・公園の滑り台を下から上がって行ったが滑って上がりきれず、そのままズルズル滑り落ちていく、いとも哀れなガキンチョのようである。
灌木や草付きをつかみつつ、滑り台を逆から登っていくような急登をぬけると、樹林帯を抜け周囲の展望が広がる。
このあたりで夜明け、下を見ると吸い込まれるぐらいの高度感で行者小屋が小さく見える。そして1つ目の岩稜帯、アイゼンの前爪を岩に引っ掛けながらよじ登る。
ホールドは氷のように冷たいがしっかりしている。雪や氷もほとんどついておらず登りやすい。
 次に2つ目の岩稜帯にさしかかる。八ヶ岳の雄大な景色の中、ぱらぱらと舞い散るぼたん雪が風に吹かれて岩にうたれ、はかなくも砕け散る姿がいとおかし(←いきなり古文)。
ワタクシも滑落したら岩にぶつかって痛いんだろうなー(>_<)と思いつつ、ここで一首、「風をいたみ岩うつ雪の己のみ くだけて物を思ふころかな・・・___φ( ̄ ̄*) カキカキ」。・・・って、百人一首のパクリやないかいーい!(小倉百人一首 48番 源重光) コラー (メ ̄▽ ̄) o" ε=ε=ε=┏(゚ロ゚;)┛ニゲロー。
岩稜帯を過ぎ、最後に何故か雪庇を踏み抜いた跡がある(誰か落ちた?)短いナイフリッジを通過すると阿弥陀岳の山頂へたどり着く。
 阿弥陀岳山頂からは、朝日を従えたモノトーンの赤岳が美しすぎる。しかしワタクシはすでに「晴天の神」に見放されている存在、この後がこわい (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル。
すでに硫黄岳の向こうから予報通りに悪天をもたらすような黒くて怪しい雲がじわりじわりとワタクシを追いかけるかのようにやってくる。下山中に悪天に遭わないよう、とっとと中岳沢から下山するのであった。
 ところでこの年の初めの素晴らしすぎる眺め、これできっと今年の山での運をすべて使い果たしたに違いあるまい…(lll ̄□ ̄)!!。どうしよう・・・(>_<)。