個人山行 北ア白馬岳〜不帰ノ嶮〜唐松岳

前編

本田

8月12日(土)
 長崎空港=羽田空港−浜松町駅−東京駅−長野駅…長野駅東口−白馬八方バスターミナル
 土曜日の半ドンの仕事をさっさと切り上げて長崎空港へ。空港でザックを預けた後に大事なことを思い出す。「おみやげ買ってなかった・・・( ̄ ̄; アカン。」
今回は村営白馬岳頂上宿舎にある夏山診療所へお邪魔させて頂く予定。一番大事な装備はヘルメットでも登山靴でもアイゼンでもない、一にも二にも「 お み や げ 」である。
これがあるのとないのでは診療所の学生さんから神として奉られるか、はたまた邪魔者扱いされるか、夏山診療所での私の待遇に天と地ほどの大きな差が出てしまう(大ウソです)。
とは言っても今回は購入できる場所に限りがある。東京駅で乗り換えるが八重洲口の高島屋による時間はないし、東京駅構内はお盆の帰省ラッシュで有名店にはおそらく長い行列ができている。というわけで長崎空港にて買うことに。
となると選択肢はなく福○屋のキューブカステラを20個ほど買って飛行機に乗り込んだ。一つ一つはそれほどでもないが20個にもなるとさすがに重い ( -。-) =3。
 ちなみに夏山診療所や山小屋の方など山岳関係者の方々へのお土産を選ぶポイントは「ずっしり感」である。こんな重いものを担ぎ上げて頂いて・・・と相手の方はきっと感激されるに違いない(┐(-。ー;)┌  オオゲサナ)。
銀座木村屋總本店の酒種あんぱんやホレンディッシェ・カカオシュトゥーベのバームクーヘンなど有名どころは瞬く間に山小屋の女性スタッフの胃袋へ消えていった覚えがある。
また周囲のパトロールなどで行動食として持ち歩くこともあるようで小分けしやすいものも喜ばれる。
今回のキューブカステラもその一つで都内デパ地下でも取扱いがあり買いやすい。意外なところでリクエストされるのがスライスされていない長い食パン(但しホテルやデパ地下などの高級食パンに限る)。
山小屋では米飯が多いせいか、隠れた人気商品である。
マスクメロンも喜ばれるがメロンをザックにパッキングしたまま登山道で転倒するとザックの中が◎△$♪×¥●&%#?!な状態になるので要注意である。
 何はともあれ無事に大事な装備を手に入れ飛行機へ。帰省ラッシュでも遅延することなく羽田空港に到着。東京駅で崎陽軒のシウマイと富山のますのすしを買い北陸新幹線内で1杯やりながら長野へ。
長野からはアルピコ交通の特急バスに乗り午後9時過ぎに白馬八方バスターミナルに着く。
白馬八方バスターミナル周辺は既に暗く静まりかえっている。徒歩7分で宿泊先のグラードインえびすやに到着。スキー客用の温泉旅館のようだが温泉がかけ流しで気持ちよかった。
8月13日(日)
 白馬八方バスターミナル−猿倉…白馬尻小屋…大雪渓…村営白馬岳頂上宿舎…白馬岳山頂…村営白馬岳頂上宿舎
 5時に起きるはずがスマホの目覚ましは5時30分に鳴る。しょっぱなから寝坊…(/´△`\)アチャー。
そういえば大事なお土産のカステラをパッキングするのを忘れていた。時間もないのでザックの外部に黄色と茶色の手提げ袋をぶら下げてバスターミナルへ(←いいかげん)。バスにゆられて30分弱で猿倉に到着。
猿倉では長野県山岳遭難防止対策協会のオレンジ色のベストを着た方々がペットボトル飲料を抱えてうろうろされている。何事かと思ったら毎年この時期に実施されている脱水予防のための啓発活動(https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/happyou/290808press_dassui.html)であった。
登山者に大塚製薬の経口補水液OS-1 500mlを配布しており、皆さん受け取っている様子。
私は既に猿倉でバスに乗る前にアクエリアスを500ml飲み干しており水も2L携行、おまけに重い福○屋のキューブカステラまでありこれ以上荷物はいらない。避けようとしていると若くてかわいいボランティアのお姉さんに「熱中症予防にどうぞ〜」と捕獲されてしまう。
荷物になるので・・・と断っても、「じゃあ、ここで飲んでいきましょう!」とニッコリ微笑まれ、さらにキャップまで開けて差し出され必死の抵抗空しくその場で一気に飲むことに。ワタクシが飲んだのを確認するとおねえさんは「これで熱中症になりませんよ!」と、なぜか嬉しそう (・・?)ナンデ? 。
 登山届を長野県山岳遭難防止対策協会のテントに提出し猿倉を出発。体調は万全のはずだが、なにかおかしい。おかしいと思いながらも歩き続けると、まるで小さな子供が親に話すように膀胱君が話しかけてきた。 「お し っ こ !」
 確かに熱中症にはなっていないが(←歩き始めてすぐになるかい!)OS-1が何か悪さをしているような気がする。
昨日食べた崎陽軒のシウマイにますのすし、今朝のコンビニおにぎりにゆでたまご、アクエリアスの中にOS-1 500mlが無理矢理投入されている。
もともと塩分過剰状態にOS-1による約1.5gの塩分が加わり (OS-1に含まれる食塩相当量は0.292g/100ml)、さらに水分過剰も加わって膀胱君のご機嫌は加速度的に悪くなる。
歩き始めてからまだ20分、白馬尻小屋まであと40分もある。猿倉から小屋までは何の変哲もない登山道である。しかし進行方向右手には雪渓、左手にはところどころに高山植物が花を咲かせており容易に立ち入れる場所がない。
おまけに登山者が多く登山道のそばでキジを打つわけにはいかない。トイレは白馬尻小屋にしかない。仕方なく小屋目指して歩き出す。
第1回多良の森トレイルランニングのred bullといい、今回のOS-1といい、おねえさんが配る飲み物はワタクシにとって鬼門なのだろうか(いつもキタナくてすいません。)
 山の中での小便といえば映画「八甲田山」を思い出す。新田次郎原作、高倉健主演の明治35年に起きた八甲田雪中行軍遭難事件を題材にした映画である。
厳冬の八甲田山で雪中行軍中の青森第5連隊が遭難し低体温症や凍傷で多くの兵卒が倒れていく中、ある兵卒が尿意を催したにも関わらず両手が凍傷にかかっているためズボンの前を開けることができずにそのまま排尿、ズボンにしみた尿が寒さで凍り付き兵卒も倒れて凍死してしまう悲惨なシーンがあった。
本日は日差しはあるが外気温は20度前後、万が一………ズボンにしみても厳冬期のように凍傷や低体温症になる危険性は低い。
しかし気温は低いため速乾素材のズボンや下着でもなかなか乾かない。繰り返すがお盆休みであり登山者は多い。また別の意味で悲惨である ( ^w^)つ プププ…アノヒトオシッコモラシテル 。
 白馬尻小屋…、もといトイレを目指して登山道を進む。ん…?登山道が渋滞しかかっている(=w=;;)。
前方の登山道でザックを下ろして初老の15名ほどの団体さんがカメラを片手に高山植物を鑑賞されており、登山道が混雑しているようだ。その中を登山者はかき分けながら進んでいる。
さながら人間のゴルジュである。なにがあるのか興味津々で立ち止まって団体さんに尋ねられる方もいてゴルジュの規模は大きくなり混雑はさらに増していく。
しかし先へ進まなければ膀胱君のご機嫌はますます悪くなる一方だ。人間ゴルジュをかき分け先へ進むが膀胱君のご機嫌の悪さで足元があやしい。
ともすると人間ゴルジュに隠れて見えないザックに足を引っ掛けて転びそうになり粗相をする寸前まで追い込まれる Σ(゚д゚lll)アブナイッ !  …四苦八苦の末なんとか人間ゴルジュを切り抜け無事に渋滞をぬけることができた(´。`)フゥ。
  白馬尻小屋が見えてきた。大きな石に書かれた「おつかれさん!ようこそ大雪渓へ!」の文字が見える。切望しているトイレもまもなくだ。膀胱君も限界が近い。
もじもじしながら進んでいくと進行方向からなにやら熱い視線を感じる。顔を上げると若い女性の三人組、そして3人の手にはそれぞれiPhone…、そして撮影ポイントである山荘前の大きな石、( ̄▽ ̄;)!! コレ…アカンヤツヤ。
若い女性の写真撮影のお願いにイヤと言っては男がすたる(←いや、もうすたっている…(  ̄_ ̄) )、悲鳴を上げる膀胱君をなだめつつ3台のiPhoneで写真を撮る。
SNSに投稿するのが今の流行り、そのためか「雪渓を入れてください?」とか「小屋を入れてください???」と注文も多く、粗相をしそうになりながら引きつりつつある笑顔で撮影場所を移動し「ハイ!チーズ!」というワタクシ(-""-;)ムム・・・。異様に長く感じた写真撮影を終えダッシュで上がろうとするも膀胱君は爆発寸前、10段ほど続く段差を上がるのすら危険な状態の中、白馬尻小屋にたどり着いた
 ヾ( ̄  ̄ゞ モ・モレル… =3 =3 =3。ザックを下ろしトイレへ急ぐ。
膀胱君が我慢できる制限時間あとわずか。山荘の右側にトイレを発見したがトイレに行こうとする2人の男性登山者も発見!山の便所の便器の数はそんなに多くはない。必死の形相で追い抜きトイレの小便器に無事ゴールすることができた。ε==(ノ゚Д゚)ノ‖WC‖
 白馬尻小屋で膀胱君はご機嫌を取り戻し再び歩き出す。
小屋から沢沿いに20分ほど歩いて大雪渓の取り付きへ。ここで6本爪アイゼンをつけて雪渓をサクサクと歩き出す。最初は緩やかな傾斜も30分ほどでだんだんキツイ傾斜に。
重いカステラの袋をザックにぶら下げているせいで時々後ろにひっくり返りそうになる。
何度もひっくり返りそうになりながらもパッキングしなおさないのはワタクシのいい加減さがなせる技。
大雪渓で福○屋の宣伝をするかのように黄色と茶色の紙袋はワタクシのザックの後ろでブラブラしている。
きっとコケルか手提げ紐がちぎれるまでパッキングしなおすことはないであろう
 ←ε-( ̄ヘ ̄)┌ ダメダコリャ…。
今年は雪渓の途中に大きなクレバスがあり、そこだけ秋道とよばれる雪渓脇の登山道を通る。 今日はガスが多め視界不良だが夏の大雪渓歩きは涼しい風が流れて気持ちがいい。
小一時間ほどで大雪渓は終了しアイゼンの出番もこれでおしまい。小雪渓の雪も少なくなったせいかここでは雪渓をトラバースするルートはなくなり秋道に道が付け代わっている。
小雪渓を過ぎると葱平(ねぶかっぴら)の斜面にでる。
このあたり一帯はお花畑、高山植物の宝庫…なのだがワタクシは花の名前をマッタク知らない…orz。(代わりにグリーンパトロール隊作成の写真集?をドウゾ。)
 ガスが多い高山植物帯を1時間ほどで通過すると登山道が階段にかわり村営白馬頂上宿舎が見えてくる。
宿舎に到着後受付を済ませて部屋にザックとカステラを置いて空身で白馬岳頂上へ向かう。
お部屋は一人で個室を利用(←軟弱者 そしてさっそく部屋をちらかし放題 ( ̄▽ ̄;) )。
個室はきれいな6畳の畳部屋、布団は化繊の軽量タイプで使い捨ての枕カバーもあり至極快適。
 白馬岳頂上までは白馬山荘を経て30分ほどで到着。空身なので軽快な足取り。
新田次郎の小説「強力伝」でも有名な方位盤がある白馬岳頂上からは後立山連峰、槍穂高、常念、裏銀座などの山々が一望できる…はずなのだがガスが多くすぐそばの丸山が見えるのみで展望なし
 (´・ω・`) ショボーン。
しかたがないので村営白馬頂上宿舎に戻ろうとすると、若い男女ペアがもじもじしながらザブザックから何かを取り出そうとして躊躇しているのを発見。近づいてザブザックを覗き込むと茶色と白の2つのお馬さんのマスク。キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
 恥ずかしいのかマスクを仕舞い込もうとしている二人の背後から奇襲攻撃を仕掛けるワタクシ。
「それは山頂でかぶらんとアカンでしょう〜 ( ̄ー ̄)ニヤリ。」マスクを見つけられ観念したのか本当は撮影したかったのか、女性の方が「やっぱり撮ってもらおうよ。写真お願いしまーす。!」戸惑い気味だった2人の表情が満面の笑みにかわり、それぞれのお馬さんのマスクを手に山頂の標識に向う。
標識の横でマスクをかぶってお馬さんになりポーズを決めたところをワタクシが数枚パチリ。当然周囲の注目を集めるがもはや2人は何も気にしていない。
青い空であれば白馬のマスクもきっと写真映えしたのだろうが周囲は白いガスのためやや映えなかったのが唯一残念ナリ。
 ワタクシもついでに、「白馬岳で“白馬”とツーショット写真」をゲット。写真は茶色いお馬さんに撮影して頂いた。
展望はなかったがこれでもう何も思い残すことはない。ニタニタと気色悪い笑みを浮かべて村営白馬頂上宿舎に戻るのであった。
 村営白馬頂上宿舎に戻ると着替えて昭和大学白馬診療部が運営する診療所へお邪魔する。
医学部5年生の学生リーダーさんが出迎えて下さった。さっそく下界から必死の思いで担ぎ上げてきたカステラをお渡しする。
カステラの重さに少々びっくりされる学生さん。
これでつかみはオッケーである ( ̄ー ̄)ニヤリッ。(←ウソつけ)
【来月号に続く・・・】


個人山行 北ア 白馬岳〜不帰ノ嶮〜唐松岳

後編

本田

8月14日(月)
 村営白馬岳頂上宿舎…杓子岳…鑓ヶ岳…天狗山荘…不帰ノ嶮…唐松岳山頂…唐松岳頂上山荘
 5時30分に村営白馬岳頂上宿舎を出発。今朝も残念ながらガスだらけ (´・ω・`) ショボーン。
再び白馬岳山頂へ向かうのはあきらめて杓子岳へ。途中小ピークの丸山を越えてしばらくすると杓子岳山頂へのルートと巻き道へのルートの分岐に出る。

杓子岳山頂へはつづら折りのルートで小石の多いガレ場、たまに上から落ちてくる石は寝不足のワタクシにとって眠気覚まし代わりに丁度よい ヾ(ーー )ォィ。
杓子岳山頂もガスだらけで展望なし。杓子岳のピークをすぎて鑓ヶ岳へ向かう途中でガスが取れてきた。
ガスのない稜線歩きは快適♪。鑓ヶ岳山頂からは北に白馬岳、南西に剱・立山が見えてくる。

鑓ヶ岳山頂より15分ほどで不帰ノ嶮ルートと白馬鑓温泉ルートへの分岐に出る。
背後には白い砂礫の鑓ヶ岳。そのまま不帰ノ嶮ルートへ進み天狗山荘へ到着した。ここでしばしの休憩。
 天狗山荘は例年にない大雪で山小屋が損壊、特に厨房や食堂の損壊が激しく営業休止。
8月に入ってようやく水場は復活しテント場、売店のみの営業が開始されたよう。すでに資材が運ばれ職人さんの手で小屋の修繕が始まっているが今シーズン中に修繕しきれるとはとても思えない。
 山バッジを買いに小屋に向かうと何やら声が聞こえる。入り口で白いひげのおっちゃんと頭にバンダナを巻いた肝っ玉母ちゃんになりかけのお姉さんがなにやら言い合っている様子。

お姉さん「ねえ、プリンの見本はどうしたのよ・・・」 おっちゃん「ああ、忘れてた・・・」 お姉さん「忘れてたじゃないわよ、置いてないからプリンちっとも売れないじゃないのよ、もう!」  おっちゃん「・・・・・・」 
 一方的なお姉さんの攻撃、おっちゃんは抵抗する術もなく数秒であっけなく決着はついたが、飛んで火にいる夏の虫ならぬ軟弱登山者、すぐにお姉さんの餌食に。
「小屋で焼いたおいしいプリンですよ〜。お釜のこの辺までプリンが入っているのよ〜。」とマジンガーZが放つ光子力ビーム(←古っ!)のような目力で迫られ「釜プリン」本日のお買い上げ第一号に。この損壊した山小屋で釜プリンが販売されているなんて見本がなけりゃ登山者は知る由もない・・・(´-ω-`) ソリャソウーダ。
駅弁の釜めし容器の再利用のようなこのプリン、ことのほかボリュームがあり底にはカラメルも沈んでいてなかなかおいしい。
先ほどのお姉さんのお話では6月にヘリで上がってきたときには例年ほとんど融けているはずの雪に小屋は埋まっており、掘り起こすスコップなども持ってきておらず、そのままヘリで下界に戻ったのだそう。
再度上がってきて雪をかき分けると厨房や食堂が損壊していることがわかり、職人さんに上がってきてもらって修繕しているが来年でも全面の営業再開は難しく素泊まりだけになりそうとの由。
天狗山荘名物の天狗鍋にお目にかかれるのは当分先になりそうだ。

天狗山荘から天狗の頭までは気持ちよい稜線歩きだが天狗の大下りから難所が始まり、ガレ場やクサリ場が続く400mの下り。
天狗の大下りは最初に長い鎖場があり登山道も浮石だらけの急坂でガーラガラ、気を抜くと浮石に足を取られてズッコケるのでご用心。ところどころで登りの方とすれ違う。

ガスにて視界は悪く10mほど先しか見えない状態、ここを登る方々からすれば目指す登りの終了点はまったく視認できない。
すれ違う方々からは「登りはまだ続きますか・・・(‐ω‐;;)ツライ…」、息も絶え絶え、ウソでもいいからもうすぐ急登は終わると言ってくれえぇという心の叫びも聞こえるようなご質問多数。
天狗の大下りを半分ほど下ると今度はライチョウ軍団に遭遇。

大胆にも登山道上で2匹が砂浴びをしている。登山者が数人そばを通るが動こうともしない。
雷鳥界の大物なのか、サービス満点の芸人雷鳥なのか、それともただのめんどくさがり雷鳥なのか。
お尋ねしようとするもワタクシは雷鳥語が話せない。謎のままだがきっと名のある雷鳥なのだろう。

下りきると今度は不帰I峰の100mの急登。エッチラオッチラ登ると足元が切れ落ちた長ーい鎖場をトラバースしていく。
そして不帰ノ嶮名物「空中はしご」(←橋代わりにハシゴを水平にかけたようにしか見えないが)。
そしてさらに続く鎖場。不帰ノ嶮はスラブ状で登山道がキレ落ちているところだらけの鎖場が続くスリル満点のルート……と山岳雑誌ではエキサイティングに書かれているがガスで下は見えず、怖さ半減、スリル半減、楽しみも半減 (´・ω・`) ショボーン。(←実は怖いものと辛いもの大好き。)

続いて不帰II峰北峰への鎖場まじりの急傾斜の岩場にヒイヒイ言わされながら登る。
時は既に12時近く、また天狗山荘営業休止のため遅い時間帯に天狗山荘方面へ向かう登山者はなく、例年渋滞するはずの鎖場はすんなりと通過。
難所はこの辺りまでだがこの後も唐松岳までアップダウンが続く _ノフ○ グッタリ イイカゲンツカレタ。
不帰III峰は西側をトラバースし唐松岳山頂へ到達。そしてまたガスだらけ・・・>┼○ バタッ。
 ガスで何も見えない頂上を後にして唐松岳頂上山荘到着。
本日の小屋はやや混雑気味、昨日は布団一枚に3人だったそう。本日はいかに?
この小屋の一枚の敷布団の大きさはだいたい縦190p横150pでもともと大きく、それがカイコ棚ごとに3枚敷かれている。
本日は布団一枚に2人と言われたものの隣人は夕食後もついに現れず、結局私のカイコ棚は2人連れ1組と単独行2人の計4人のみ、図々しいワタクシは2人分を占拠し大の字になってオヤスミ。
ワタクシが山小屋に泊まるといつも「布団の神」が舞い降りる。廊下でオネンネンの刑はおろか2人で1枚の布団の刑に処されたことすらない。
逆に土日のため予約でイッパイのはずの薬師岳小屋(鳳凰三山 今年改築されたらしい)でなぜか隣がいなかったり、晴天の土日の穂高岳山荘で普通に一人一枚の布団だったりと不思議なことが多い。
本当は「晴天の神」と「暇(ヒマ)の神」にも舞い降りて欲しいのだが信心が足りないのか日頃の行いが悪いのか嫌われている模様。
テレビ番組でも有名な「ダイエットの神」はワタクシのなかでトグロを巻く「酒の神」・「食欲の神」・「ぐうたらの神」で結成された至上最強の連合軍との間に繰り広げられた幾多の戦いに敗れ去り無残にも石像になってしまった。ワタクシにダイエットの神が舞い降りることはもうない ( ̄  ̄;)。何はともあれ、快適に {[( ̄□ ̄)]}..グゴォ...zzZZZ 〜♪ (周囲の方々も快適だったかどうかは謎 ♪〜( ̄ε ̄;) )。
 8月15日(火)
 唐松岳頂上山荘…白馬八方バスターミナル−白馬駅−松本駅…松本バスターミナル−信州まつもと空港=福岡空港−博多駅−長崎駅
 昨日と同じく5時30分に唐松岳頂上山荘を出発。本日はひたすら下るだけ♪。

曇り空だがガスはあまりかかっておらず昨日は見えなかった唐松岳山頂が見える。
八方尾根を下ってすぐの小ピークでは不帰の嶮が、丸山ケルンまで下ると不帰の嶮から白馬三山の全体がミュージカルのカーテンコールのように姿を現す。天狗の大下りの急斜面まではっきりと見える。
これを先に見ていたらきっと登るのをあきらめたに違いない ( ̄  ̄メ) オイ。
丸山ケルンを過ぎてしばらくすると周囲にガスがかかり舞台の幕が引かれたように稜線は姿を消した。
後はガスの中をひたすら下り、八方池山荘前にある八方アルペンラインのリフト乗り場で山行終了。
 ……ところでこの長くて脱線だらけの原稿、果たして会報に載せてもらえるのだろうか?