個人山行 北アルプス 燕岳〜常念岳

坂口

久しぶりの北アルプス登山、まるで恋人に会えるかのように・・ (実際の恋人?は愛猫ナナちゃんです)
何ヶ月も前から心ワクワク ・・
ですが、9月は台風や雨がとても多くて “大丈夫かしら”と一抹の不安がよぎりました。
顔に似合わず(笑)“ なんとかなるでしょう〜”と、元来のんびり屋の私は、まだ見ぬ風景に心弾ませていました。
9月25日 日曜日
長崎から中部国際空港までのフライト。
登山口がある長野県安曇野の町に前泊しました。今回は登山歴20年以上のベテランの先輩と二人旅。
9月26日 
早朝、宿の前にある停留所から登山口がある中房温泉に向かって、バスに揺られて40分、平日なのに、山男、山女で満員、“山を歩く”同じ目的に向かってそれぞれの旅が始まります。
一日目は中房温泉から燕山荘まで、合戦尾根につけられた道を歩きました。
高低差1300mになる「 北アルプス三大急登 」の一つと言われていたので少し気合いが入りましたが、登山道はとてもきれいに整備が行き届き、意外にも歩きやすいと感じました。
途中、スイカで有名な合戦小屋で山菜うどんを頂いていると大雨が!急いでレインウェアを着て出発。
その日お世話になる燕山荘に1時頃到着。
先輩Oさんが高山病のせいか頭痛がひどかったようで、燕岳頂上へは又の機会になりました。
山荘からの風景はその日はガスがかかってあまり見えませんでしたが、燕岳は目の前にとても美しくそびえ立っていて、それを見て今までの疲れも一気に吹き飛んでしまいました。
9月27日 山旅二日目
前日と打って変わって、青空が広がりとても良いお天気!
Oさんの体調も良くなって、遠くには憧れの槍ヶ岳も見えて北アルプスの大パノラマが一望できました。
歩く前から大興奮です!(笑)
二日目は今回のメインである、燕岳から常念小屋までの縦走コース。とにかく、晴れて良かった・・
山小屋のスタッフの方が、「今月はほとんど雨ばかりで、今日歩く方は本当にラッキーですよ!」と言って下さって。私達も右手に槍を眺めながら、北アルプスの雄大な自然を目に焼き付けながら歩いていきました。
 途中、高齢のご夫婦に出会いました。男性の方は御年89才!(今年90才になるそうです!)住まいは松本で、北アルプスの山々はほとんど制覇されたと笑顔で話して下さいました。
お二人を拝見して、素直に“あ〜ぁ 本当に素敵だなぁ〜”と感動!
今回の山旅もたくさんの方々との出会いがありました。“一期一会”ですね。
 その反面、ヒヤッとする出来事も二つありました。
 一つは、二日目の縦走途中、最初の目的地大天荘近くの岩場で、仙台から来ていた20名のグループの一人の男性が転んで足を切ったらしく大量の血が出て、山荘でリーダーらしき方がヘリコプターの救助要請をされていました。
私達二人は、その方々の後ろをゆっくり歩いていたのですが、途中岩場付近で後ろの男性の方から「お先にどうぞ〜」と言われて、少しばかりお話をしたすぐ後の事だったようです。
Oさんと、慎重に歩きましょう・・ と再度確認し合いました。
 もう一つは、私自身の事です。
二日目は順調に、休み時間も合わせてコースタイム通りに常念小屋に13時30分頃に到着しました。いったん山小屋の受付を済ませて部屋に入ったのですが、翌日の天候が雨で、Oさんが「今日中に常念岳へ登りましょう」と言われました。
二人とも燕岳の頂上には登らなかったので、せめて常念岳には登りたいと思っていました。
コース的には明日頂上予定でしたので少し迷いもありましたが、お天気も良くて、片道約一時間くらいなら大丈夫かなぁ・・・とサブバッグにお水と行動食を入れて15時頃に登りはじめました。
登りはじめて、暫くすると年配の女性二人組の一人の方が、「今から行くの!? 頂上が見えているようだけども、実際にはその奥に頂上があるのよ!5時半の夕食には間に合わないかもよ!」と忠告して頂きました。
少し不安になって、下りてきた若い女性の方に聞くと、「本にはコースタイム一時間少しと書いてありますが、実際にはもう少しかかると思います。登った方がかなり時間かかったとおっしゃっていました」と聞いてますます不安になりました。
でもここまで来て下りられない・・ (本当はこの気持ちが良くないのですね・・)
Oさんと二人で励まし合いながら登って行きました。
大きな岩がゴロゴロとあり、足も相当疲れて気持ちだけで登っていると何だか寒気が!
太陽も少し沈みはじめて、一気に冷たい風が吹いてきました。
私は防寒着を山小屋に置いてきてしまったので、冬用のアンダーを着ていたとはいえ、とても寒く、直感的に“あぶない!” と思いました。それと同時にいろんな思いと葛藤が・・・。
少し低体温症になっていたのかもしれません。とても寒くて下山しよう・・ と思ったとき、三人の男性の方が下りてきました。先に歩いていたOさんが話をしていたので、とっさに、「すみません! 上着、ウインドブレイカーもっていらっしゃる方貸して下さい!」と、頼み込んでしまいました。(こんな大胆な私ではないのですが)
一人の男性が持っていた上着をスッと貸して下さって!本当に助かりました。
寒さがしのげたぶん、なんとか歩けるようになって頂上にたどり着きました。
やはりコースタイムよりだいぶ遅れて小屋に到着した私達は、“いくら翌日雨でも、夕方近くになって頑張って登るのはよくないよね・・ ” と猛省しました。
部屋に着くと、北海道から単独で来ていた若い女性の方と、山頂に行く途中に忠告して頂いた東京からの女性二人の方と同じ相部屋になりました。
二人組の女性の方は私の母と同じ年代で、登山歴が20年以上。
とても上品なお二人で「山に登りそうには見えませんね!」と話したところ 「そうなの・・みんなから言われるのよ〜」 と素敵な笑顔で答えて下さいました。
三日目は予報通り雨・・
一足早く同じゴール一ノ沢に向けて出発していたお二人とは、Oさんと「きっとどこか途中でお会いするかもね〜」と話していたのですが!
 私達も順調に下山していましたが、一度もお会いすることなく結局はゴールの登山口で「会えましたね〜」と笑顔で再会!
山って不思議ですね。見知らぬ人と自然と挨拶ができたり、お話ができたり・・
反省すべき点は多々ありましたが、感動の連続の山旅でした。