山のワンポイント講座(登山地図)

窪田 紀幸

 講座3回目です。今月は山行に共通の「登山地図」をテーマに採り上げます。読図は書けば長くなるので基本の“キ”だけまとめます。あとは実地研修や参考書等を利用して学びましょう。

皆さん、コンパスは持っていますか?例会予報を見ると大抵持参品に「地図」と書いてありますね。でもコンパスとは書いていないことが多いようです。地図ときたらコンパスを持つのが当たり前なので皆さん省略されているのでしょう。

登山地図はどうやって入手するか
地図の種類をまず確認しましょう。地図には、大まかに
・国土地理院発行地形図(1/25000等)
・ハイキングマップ(昭文社山と高原地図等)
等があります。
店頭での購入
印刷されている地図を購入する場合、長崎市内なら、紀伊國屋書店、メトロ書店、山道具店等で買えます。
電子地図
パソコン・インターネットができるのであれば、自宅でしかも無料で地図が手に入ります。いくつか方法があります。
@国土地理院のサイトから入手する方法
 国土地理院(http://www.gsi.go.jp)を検索し、「地理院地図(電子国土Web)」をクリック。マークを入れたりして印刷できるがややコツがいる。
Aカシミール3D
 パソコンに無料でインストールして使う“山ヤ”定番のソフトです。元データは国土地理院の電子国土のデータを使っています。磁北線を引いたりするのも自動でしてくれますのでお勧めです。
機能があり過ぎて初めは判りづらいかもしれませんが、解説書が市販されています。
 ダウンロードはネットでカシミール3D(http://www.kashmir3d.com)を検索して下さい。

地図の扱い方
・国土地理院の地図をそのまま使うのはもったいないので、山行携帯時には必要な部分をコピーして使う。
・丸めて保管するとかさばるので、地図折りで畳んで保管する。地図折りにもいくつか方法があって、「ミウラ折り」というのが通っぽいらしいのでチャレンジしてみては如何でしょう。
・地図を持ち歩くときは汗・雨・雪の水分やこすれで傷みます。市販のマップケース等に入れて持ち歩くようにした方が良いです。
私もマップケースを使っていましたが、最近は軽いのでA4サイズのファスナー付きポリ袋(ジップロック)に入れて携帯することにしています。
ケースに入れるときは、ケースからいちいち出さなくて済むように、歩くコースが外から見えるようにしておきます。(ポリ袋から出すと濡れたりします)
地図の見方
ここでは
・国土地理院発行1/25000
・ハイキングマップ1/50000
を例にとります。地図には、等高線や記号が用いられています。等高線は標高(高度)を線でつないだものです。地図の種類で等高線の間隔は変わります。
・国土地理院地形図1/25000⇒10m
・ハイキングマップ:1/50000⇒20m
まずは頂上/ピークを探してみましょう。地図では「△」「・」で示された部分です。山名も書いてあります。
次に、等高線を意識してみて下さい。
 等高線が判るようになると、尾根・谷の区別がつくようになります。
・尾根:ピークからの等高線が凸
・谷:ピークからの等高線が凹
凹凸だけからみると、尾根の凸は谷の凹より丸いことが判る。(谷の曲線部は切れ込みがキツイ)
 また、等高線が判れば、自分が登るスピードを把握しておけば、登る時間にどれだけ掛るか推測が付くようになります。(私の場合、100m-20分とみています)
・尾根、谷が判るようになったら、コース上のピーク/鞍部(コル)を見分け、どんな所を歩くのか確認していきます。
コンパスの使い方
地図だけ持っていればいいのかというと、良いともダメともいえます。道のしっかりしたハイキングコースなど、自分がどこにいるのか予測がつく場合はコンパスなしでも良い場合もあります。(時計に付いているコンパス機能だけで十分かも)
 しかし、地図を使おうとする場合は、本格的な登山で自分がどこにいるか判らない時でしょうからコンパスは欠かせません。
 地図は上が真北になっているのはご承知だと思いますが、コンパスがさす北は磁北といって真北ではありません。北半球の場合は、西側に数度傾いています。
したがって、コンパスのさす北側に地図の上側を合致させても真北とは若干ずれることになります。距離が短い場合は誤差が少ないのでそれでも良いのですが、視界が悪くて進路を正確に出したい場合などにはちょっとのズレが積み重なって全然別の所に行ってしまうことにもなりかねないので磁北と真北をきちんと使い分ける必要が出てきます。
ということで、分度器と定規を準備して地図に磁北線を記入しましょう。コース上に数本平行線を引いておくと使いやすいです。
カシミール3Dでは自動で磁北線を引くことができます。(右図)
このように磁北線とコンパスの磁針を合わせて置いた状態が整置状態(地図を方角に合わせて置いた状態)になり、地図とコースが一致します。通常はこれで十分だと思います。
 コンパスで目標を設定して歩く方法がありますが、研修等で実施したいと思います。
日頃の読図トレーニング
地図とコンパスは持っているだけでは宝の持ち腐れ。寒さや長い梅雨時に戸外に出ないとき、部屋の中で写真ガイドブックと地図を片手に、頭の中であっちをウロウロこっちをウロウロするのも良いかも。
まずは、地図とコンパスに慣れるため、自分の住んでいる場所の地図を手に入れて、コンパス片手に歩いてみてはどうでしょうか?
(研修担当 窪田記)