第2132例会 冬山
甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根
窪田
貴重な冬山メンバーが高齢化・減少する中、今年は下松八重Kさんの提案で日本三大急登の一つ「甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根」を選定。平均年齢52歳の4名で登頂を目指すことにした。(リーダの私は2000年末から実に24年ぶり2回目の黒戸尾根!)
▼12/29(日) 前日午後から長崎を4名で出発し、未明に尾白駐車場に到着。まだ暗いので車内で30分タイマーをかけて仮眠するもまだ眠く更に30分、1時間惰眠する。起きると夜が白々と明け始めている。いや寝過ごしたと身支度をし、立派で清潔なトイレを済ませ、山梨県警の登山指導員に登山届を提出して出発する。(2000年12月にテントを張った駐車場だが、綺麗になりすぎ当時の面影なし)

一合目「こりゃ、晩秋ばい」 |
駒ケ岳神社に参拝し、尾白川の吊橋を渡って黒戸尾根に取りつく。全く雪はなく、落葉のラッセル(フカフカ沈むので歩きにくい)で一合目。
ちょっとずつ雪が出てきてアイゼンを着けるか、無しにするか迷いながらも、まだかまだかとずっと登りずくめでやっと二合目。「ええええ…まだ二合目!?」心のため息が声に出て、ずいぶん後ろの登山者にも聞こえたらしい。「聞こえましたよ
(笑)」思うところは皆同じようだ。

やたら長い二合目。ちょっと疲れる |
<やたら長い二合目。ちょっと疲れる>
この頃になると下さんと橋口君の足取りが重くなってきている。下さんは歳のせい、橋口君は体力不足。足取りが重いため今日の目的地の七丈小屋テン場はおろか五合目小屋跡までも既に時間切れ。強風も出てきて気温も下がり、急遽、ビバーク地点を探す。三合目手前の前屏風ノ頭(1881m)鞍部に平らな場所を見つけビバーク地点とする。

ビバーク |

水を作る |
積雪は数センチで、何とか集めた雪も落ち葉や枯れ枝交じりで若干ゴミ袋状態だが、フィルターで濾して水を作る。
ビールや焼酎等で風に負けずにワイガヤ酒盛り。夜間は強風が静まらず、風の音を聞きながら眠りにつく。
▼12/30(月) 昨夜の強風はいつの間にか止んで静かな朝を迎える。テントを出てしばらく登ると朝日が出て林の隙間から朝

6:50 日の出 |

朝日で赤く染まった林 |
焼けの富士山がきれいに見える。
刃渡りを渡る。地図には(危)マークあるが、がっしりした鎖がついていて特に何ということもない。
一瞬視界が開けて八ヶ岳等がきれいに見える。
再び樹林の中に入り梯子を登りしばらく行くと四合目(刀利天狗)に出る。 狭い所にテントが張ってある。二人用テントは“どこでもテン場”だなと感心する。

刃渡り通過 |

刃渡りから八ヶ岳の展望 |

四合目までの梯子 |

四合目。4人用テントまでが限界? |
ここからはダラダラと黒戸山の西を巻いて五合目小屋跡に出る。

四合目(刀利天狗) |
テントは4張ある。なお、途中、黒戸山への登山道は見当たらない。
積雪はあり二人用テントなら登山道沿いに何とかビバークは可能である。
<五合目小屋跡 非公式テン場>
昨日のペースを考えると、とても昨日中にココへの到着は無理だったと思う。ビバークは正解である。五合目標識までにもテントを張る余地は若干あるので、多少混んでいても何とかなるだろう。
ここでメンバーを体力差でA隊(下松八重J・窪田)、B隊(下松八重K・橋口)の2隊に分かれ、それぞれ行けるところまで行くことにする。
以下、A隊の報告。
降って石仏が祀ってある鞍部が五合目。向かって右側の登山道から梯子の連続が始まる。

五合目鞍部からの登り。右から梯子の連続 |

六合目2262m不動岩 |

七丈第一小屋。奥にトイレ、七丈第二小屋、登って第1・2テント場
|
ザックは行動食諸々だけなので身軽とはいえ、梯子連続は結構こたえる。ジャンジャン登るので写真を撮るのをつい忘れる。(前回もそうだった)
急登を登りつめるとやっと七丈小屋に着く。狭い尾根筋に窮屈に立っていて、長い尾根の中程にあるだけで登山者の安らぎの場になっていることは間違いない。
この辺りから雪が増え、第1・2テン場を過ぎると七合目。森林限界を越えて見晴らしが良くなる。先達のトレースもあり、アイゼンもよく効く。ハーハー言いながら八合目の御来光場につく。

2000年12月にあったかつての鳥居 |
八合目御来光場。昔あった鳥居はもう朽ちてない

二本剣と鳳凰三山・富士山 |
ここからは甲斐駒ヶ岳のシンボルになっている岩に突き立てた二本剣が拝める。新雪が大量に積もっていたらちょっと面倒かなと思うルンゼを抜け、二本剣を横目で見やって(以前にも見たはずだが記憶と写真がない)、駒ヶ嶽神社本社、そして甲斐駒ヶ岳本峰に到着(12:35)。
時間が若干遅めで、我ら二人と一緒に登ってきた男女二人の計4人で山頂を独占。

アイゼンを効かせて下山 |

刃渡りを慎重に通過15:47 |

甲斐駒頂上 |

甲斐駒本峰 |
冬場なれど昨日と打って変わってほぼ無風快晴、時折ビューと吹くのみで360度の視界が得られまさにベストコンディション。先の二人組と交互に写真を撮り、景色を満喫し、行動食を軽く口にして下山する。降りは雪が締まってアイゼンが良く効き夏山よりも少し早いペースで下山する。
一気に七丈小屋に着き小休止。先が見えてきたがここからは体力・気力・日没との追いかけっこ。長い梯子、細かいアップダウン、黒戸山の長い巻道がやや苦痛に感じる。単独行なら気力が萎えてしまいそうになる。四合目(刀利天狗)に着くと先が見えてホッとする。朝の1張はそのままあり、下山してきた3人組(八合目で写真を撮ってくださった方)が登山道の狭い所にビバークテントを張るとのこと。リーダらしき男性は元気だが、他の女性2名は口数少なくお疲れモード。我々はやり過ごして刃渡り・三合目を過ぎて、16:00丁度にテントに到着。
行動時間9.5時間の長丁場で疲れて食事の固形物がのどを通らず流動食(カレースープ)・飲料でおなかを満たす。下松八重Jは若いだけあって食欲旺盛。B隊は七丈小屋第1テント場までの往復だったとのこと。冷えたビールで乾杯。

尾白駐車場 |
▼12/31(火) 4:00起床。今日も晴れ。テントを撤収して下山する。黒戸尾根の一~三合目はやけに長い。
初日の登り同様、落ち葉のラッセルは結構疲れる。途中、橋口君の登山靴パックリ事故もあったが、大体予定通りの10:10に登山口に戻る。荷物をまとめ、近所の「尾白の湯」にゆっくり浸かって長崎への帰途についた。(年末年始に空いている温泉を探すのにスマホMAP検索機能はとても重宝)
年も変わり2025年1月1日2:40に窪田自宅に到着、解散した。皆さんお疲れ様でした。
▼総括 黒戸尾根は獲得標高約2200m
(770~2967m)の長大な尾根です。今回は三合目付近でビバークすることになりましたが、五合目・七合目にテントを張る場合は、フル装備を持って急登・梯子を登らねばならず気力・体力・スピードが不可欠です。24年前は今より重い装備・食料類をフルに背負って五合目にテント泊し、甲斐駒ヶ岳登頂後、北沢峠まで縦走しましたが、あぁ若かったなーと思い返しています。
チャレンジされたい方は、まず何よりも体力を養い、そして装備軽量化を図ってぜひ登ってみてください。きっとあなたの登山史の1ページに鮮烈に記録されるはずです(イヤ、きつくて所々しか記録or記憶に残らないかもしれませんが…)
修験道の名残息づく長い尾根、七合目辺りから開ける南アルプス北部の絶景、連続する梯子、3000mに届きそうで届かぬ2967m、若かりし諸先輩との思い出等々…寂しいけれど、もう誘われることがない限り私の“冬の”黒戸尾根はこれが最後だと思います。でも夏の黒戸尾根や甲斐駒ヶ岳北西の「鋸岳ルート」もまた魅力的ですネ。リベンジの際にはまたお誘い下さい??
?コースタイム:
12/28(土) 長崎(窪田宅)出発14:02=多良見IC=(九州道・山陽道・新名神道・名神道・中央道)=
12/29(日) =4:45小渕沢IC=5:15竹宇(ちくう)駒ケ岳神社駐車場(車内仮眠1H)7:00~7:17竹宇駒ケ岳神社~9:25一合目~10:32笹ノ平~11:26二合目~13:30三合目手前1880m(幕営ビバーク)
12/30(月) 三合目手前ビバーク地6:40~7:01三合目~7:08刃渡り~7:35四合目(刀利天狗)~8:30五合目小屋跡、ここでA・B隊の2隊に分かれる。
A隊(下松八重J、窪田)
~8:49五合目~9:20六合目(不動岩)~9:43七丈小屋~10:09七合目~11:10八合目~11:54二本剣~12:25駒ケ岳神社本社~12:33甲斐駒ヶ岳頂上12:50~13:06二本剣~八合目~七合目~七丈小屋~六合目~14:47五合目~15:32四合目(刀利天狗)~15:47刃渡り~三合目~16:00ビバーク地
B隊(下松八重K、橋口)
~五合目~六合目~10:20七丈小屋~10:40七丈小屋テン場10:50~10:53七丈小屋11:10~六合目~12:10五合目12:25~13:18四合目(刀利天狗)13:30~刃渡り~三合目~14:20ビバーク地
*三合目~五合目まで梯子7カ所、五合目~七丈小屋まで梯子15カ所
12/31(火) ビバーク地6:25~7:20二合目~7:56笹ノ平~8:49一合目~10:00竹宇駒ケ岳神社~10:10駐車場=尾白の湯=小渕沢IC=(中央道・名神道・新名神道・山陽道・九州道) =
1/1(水) =多良見IC=2:40長崎(窪田宅)着
甲斐駒感想
下松八重 Ko
まずは今回、登頂出来た事が素直に嬉しいです。
ただ、実は今回の山域は初めてではありません。
二十数年前に家族含めた山岳会のメンバーで来た時は自分と母は甲斐駒ヶ岳に登らず下の方で遊んでいました。
南アルプス特有のパウダースノーやスノーモービルではしゃいでいたのを覚えています。
さて、今回の山行は7合目以降から特に雪が多く、ルートには鎖場やほぼクライミングのような岩場もあって雪山を存分に味わえた山行でした。
やはり鎖場や岩場があると、より非日常感があって楽しいですね。
また黒戸尾根は合目ごとに名前が付いていて、それに合わせた仏像などもあり、普段の山行にはない楽しみがありました。
特に印象的だったのは8合目を過ぎたあたりにあった2本の剣で、簡単には刺せない岩の上に刺さっており、さらにバックには富士山が見えるという絶景でした。
今回の山行は事前の予定よりも下で幕営することになったので、アタック日の行動時間が長くなってしまいましたが、それでも登頂出来ました。
天気も抜群で、他の登山者もそれなりにいたのでラッセルする事もなく、抜群の条件だったからこそ登頂出来たのだと思います。
泣きの甲斐駒黒戸尾根
下松八重 Ky
「泣きの甲斐駒」どこかで聞いたことが有る。
この度は目標の甲斐駒ヶ岳に登頂できず終わってしまった。
12月29日7時、予定より1時間ほど遅れて尾白川渓谷駐車場を出発。
リーダーの気遣いで、自分がペースメーカーを務める。
駒ヶ岳神社から直ぐの吊り橋を渡ると急登になるが、道はジグザグになっていて歩き易い。
歩荷の量と自分の体力を考えた時、標高差200mを1時間で考えていた。
9時25分一合目、標高1270mで2回目の休憩、予定より若干遅い。
12時20分標高1700mでアイゼンを着けるが、やはりペースは遅い。
後ろから「シモさん何か貰おうか」と窪田リーダーから救いの声がする。サイドに付けていたポールを渡すと「これちょっと重たかね」と言う事でそれは宏太に、「他なんかなかね」と来たので水筒を渡す。
結局ポールと水筒を二人に持って貰って、自分は2.5kgくらい軽くなった。
13時30分1800m地点でテン場になりそうな場所が有った。出発時点で今日の予定は五合目までと考えていたが、降って来る人の情報や自分達を追い越して行くパーティーを考えると、五合目にテントが張れるかどうかも分からないので、今日はこの辺で終了と言う事になった。標高差約1050mを6時間30分・・・かかり過ぎじゃろ~
ヤマップの記録によると累積登り1137m降り34mとなっていた。
途中色々有ったので実質1時間200mのペースだったかも?
12月30日6時40分予定より遅れて出発。
2967mの甲斐駒ヶ岳まで標高差約1100mしかも途中は岩場や梯子の難所が多いルートだ。先が思いやられる。
8時30分五合目(標高2150m)、本来なら昨日はここでテン泊だった。
ここからの甲斐駒往復なら良かったけど、昨日の実績と今の時刻を考えると無理だと悟る。
「橋口君と自分は適当に判断して引き返すのでリーダーとサブは頂上目指して頑張ってくれ」とお願いし二人を見送った。
橋口君と「11時頃を目途に引き返そうね」と言いながら出発する。ここまで7個の梯子を上って来たが更に15個の梯子を上って10時20分標高2400mの七丈小屋に到着、まだ時間が有るのでテン場まで行くことにする。
七丈小屋テン場には二張りのテントが有り、天気快晴風も弱く気持ちが良い。鳳凰山の向こうに見える富士山を眺めながら休憩、七丈小屋に戻り腹ごしらえして11時10分出発。
痩せ尾根の岩場、沢山の梯子を辿り14時20分テン場に着いた。
ヤマップの記録によると累積登り795m降り793mを7時間40分となっていた。
登り4時間、降り3時間40分と見れば予定通りのペースだったかも?
何れにしても登頂出来ず「泣きの甲斐駒黒戸尾根」となった。
初日に五合目まで行けなかったからとは言え、つくづく体力低下を感じた山行だった。
帰りの車中、テント泊冬山装備で1日行動できる体力を取り戻すにはどうすれば良いか皆で話し合った。結果「例会に沢山参加する事」でした。
橋口
専門学校の講義で使う1枚のスライドに、ユートピア小屋から望む、雪に覆われた正月の大山山頂の写真を使っている。それを見るたびに、「あぁ、また雪山に行きたい?行きたい?この感動は他所では味わえない?」と、雪山の風景や雪を踏む感覚を思い出している。雪山から長らく離れていたが、一念発起、渋る家族を置いて久しぶりに年末を雪山で過ごすことにした。さほど筋肉痛にならなかったのだから、筋トレの成果はあった。だけど、登りのペースが上がらず予定の幕営地まで行けなかったのだからトレーニングは不十分だった。また、アイゼンや靴にトラブルを発生させてしまった。大いに反省した。山道具は高いから辛抱して使っていたが、このままではいけない。トレーニングと装備を見直すことにした。妻に金額を言えないが…。
参加者:
CL:窪田、SL:下松八重Ko、下松八重Ky、橋口 計4名