第2077例会 冬山・八ヶ岳

下松八重 J

当初の予定は12月29日に行者小屋にテント設営。12月30日に硫黄岳と横岳、12月31日に赤岳に登って下山する予定だった。
ところが、31日に天気が崩れそうだったため計画を変更、テン場を赤岳鉱泉に変更して30日に硫黄岳から赤岳まで登りきることに。
現地に到着すると予想よりはるかに雪が少なく、テントも雪の上ではなく地面の上に張ることになり、一部は泥にまみれながら張りました。特に稜線は雪が無かったので、気温以外は夏山のような感じでした。
今回の山行の全体を通してみてもアイゼンを使った時間は2時間もなく、他の登山者が装着していたチェーンスパイク(軽アイゼン)を持っておくべきだったと感じました。
完全に雪が無いわけでも無かったので、今回の場合は軽アイゼンが最適解でした。
テン場の赤岳鉱泉では、アイスクライミング練習用の人工氷壁(通称:“アイスキャンデー”)で練習している方々もいましたが、完全には凍り付いていませんでした。 
 12月30日は快晴で夏道も見えていたので歩きやすかったです。
しかし、稜線に出てから風が強く、下松八重Kが途中で片目が見えづらくなってしまう事態が発生。様子を見てみると、どうやら冷たい風が直接顔に当たっていたことで軽く凍傷のような状態でした。
目出し帽が古くなって緩んでいた事とサングラスがゴーグルタイプではなく眼鏡タイプだったのが原因のようでした。
目出し帽の位置を調整するなどして行動再開。幸い、気温が上がるにつれて復調したので事なきを得ました。
道中では北アルプスの全景や富士山がきれいに見えて景色を楽しみながら歩くことができました。
予想では赤岳鉱泉から硫黄岳、赤岳に登って戻ってくるまで約10時間でしたが、結局行動時間としては11時間半行動になってしまいました。
今回は雪が少なかったので硫黄岳から赤岳まで1日で登り切れましたが、例年通り雪があれば当初の計画通り2日に分けてアタックするべきでしょう。
 12月31日の未明から明け方にかけて雪が降り、テント周辺で約5㎝程積もっていました。
29日にテン場に到着した時とは別世界で、やっと冬山気分が味わえました。とは言っても、下山を開始すると直ぐに雪も無くなりましたが...。
下山後もトラブル発生、車の鍵を開けようとしても車が反応しないのです。そう、バッテリーあがりでした。大晦日にも関わらず、JAFのお世話になりました...。
バッテリーあがりの原因はおそらく車内のライト消し忘れです。皆様もお気を付けをば...。
 12月31日は八ヶ岳山荘で一泊したところ、食当の窪田さんからサプライズということでお正月メニューの品々が食卓に並びました。
八ヶ岳山荘の暖炉で暖まりながら囲む食事と酒はとても美味しかったです。
 自分としては、今回初めてリーダーとして参加した山行ということで緊張していたが皆に助けられながらの山行でした。
特に山行前の準備段階で反省点も多く、まだまだだなと感じる例会になりました。
とはいえ、20年ぶりに八ヶ岳に登って子供のころは山頂まで行けなかったので、今回リベンジを達成できてとても嬉しかったです。
まだまだ”リベンジ”する山はあるので、これからも楽しんでいこうと思います。
コースタイム:
12/29 ; 美濃戸口山荘10:20 ~13:30 赤岳鉱泉
12/30 ; 赤岳鉱泉5:00~7:30 硫黄岳~10:40横岳~13:40赤岳~16:30赤岳鉱泉
12/31 ; 赤岳鉱泉10:30~13:00美濃戸口山荘
参加者;
 CL:下松八重J、SL:窪田、下松八重K、 田﨑   計4名


八ヶ岳(硫黄岳~赤岳)

田﨑

12月29日
 28日夜に長崎を出発し、29日早朝に長野入り。諏訪湖SAにて諏訪湖と八ヶ岳を眺めながらSさんの奥様手作りのお弁当をいただく。エネルギーチャージして、いざ登山口へ!
 諏訪南インターを降り、登山口である赤岳山荘を目指す。
例年なら、登山口までの道路は積雪でスタッドレスタイヤが必須らしいが、今年は全く雪がなかった。赤岳山荘駐車場で準備を整え、宿泊場所である赤岳鉱泉を目指す。
今回私は、八ヶ岳に行くのをとても楽しみにしていた。なぜかというと、「孤高の人」で加藤文太郎が冬に登った山だったから。茅野市とか赤岳とか聞くだけでワクワクが止まらない。
 昨年の冬山では、アルコールや水など液体を担ぎすぎて、ザックが信じられないくらい重かったので、今年はアルコールの量を少し控えた。
ウイスキー600ml、缶ビール2本。誰がなんと言おうとこれは控えめである。
重量感のあるザックで息が上がるものの、この重さが冬山登山だなぁと感じる。
約1時間歩いて休憩をとっていたところ、Sさんのザックから何やら液体が漏れていた。慌てて荷物を確認すると、なんと、缶ビールに穴が空いていた。
「ありゃ、仕方なか」といって、その場でプシュッ。トラブル大歓迎と言わんばかりに皆でビールを頂く。キンキンで美味。
赤岳鉱泉までの道もほぼ雪がなかったが、1か所だけスケートリンクのように凍結した場所があり、アイゼンを装着した。
約2時間半で赤岳鉱泉到着。テン場も積雪はなく、地面が露出している。
岩を皆でよけて平らにしてテントを張った(笑)。
 当初の予定では、30日に硫黄岳、31日に赤岳へ登頂して下山する予定だったが、31日の天気が崩れる予報なので、30日に全て縦走することにした。
明日は3時起きの5時出発。アルコールもほどほどに午後7時就寝。
12月30日
 朝起きると、シュラフカバーが少し凍り付いていた。寝床をサッと片付けて朝食の準備。
山が好きな人の朝の強さにはいつも感動する。
朝食後、連泊のためテントはそのまま、アタックザックに水筒、行動食、防寒着、救急セットなどを詰め込み、靴を履いて外に出る。空を見上げると星がきれいで晴天を確信。
手にはピッケル。雪がないのでアイゼンはザックへ(笑)。
 午前5時出発。ヘッドライトの明かりで硫黄岳を目指す。
樹林帯を抜けると、これから歩く尾根と赤岳が見えたが、想像以上に雪が少なくて皆苦笑い。でも、アイゼンなしで軽快に歩けて、これはこれでいいかも。
冬の八ヶ岳を存分に楽しむぞー!稜線に出ると、正面に雪化粧の北アルプスが出迎えてくれた。

硫黄岳山頂
日の出直前の月を見る
絶景で疲れが一気に和らぐ。風が強くて、防寒着のファスナーを上まで締めた。
稜線をしばらく歩いて硫黄岳山頂を目指すが、周囲の景色に心奪われ何度も足止めを食らう(笑)。
 午前8時10分、硫黄岳(2760m)登頂。北アルプス、御嶽山、中央アルプスが眺望でき、あちらの山からも誰かがこちらの山を見てるんだろうなぁと思った。
強風のため、集合写真を撮ったら早々に次の目的地横岳を目指す。
たまに現れる雪の上り斜面では、つま先にグッと力を込めてしっかり雪を踏みしめて歩くようにした。
登山道はほとんど地面が露出していてアイゼンいらず。景色と体感は冬山だけど、足元は夏山を歩いているような、何ともいえない不思議な感覚だ。
 硫黄岳から約2時間で横岳の山頂標識へ到着。
ここは景色が最高だった。周りは、北、中央、南アルプス、御嶽山、富士山が眺望でき、八ヶ岳連峰も南絶景で疲れが一気に和らぐ。風が強くて、防寒着のファスナーを上まで締めた。<br>
北に渡って見えた。
後でヤマレコを確認すると、なんとここに1時間も滞在していた(笑)。
存分に写真を撮り、次の赤岳へ向かう。山頂手前の上りは結構雪が積もっていて、やっと雪山のような感じだった。
山頂まであとわずかという急登で、Sさんと私はアイゼンを装着。
アイゼンの歯がキュッキュッと雪面に刺さる。あえて、踏み跡がない堅い雪の斜面を
歩いてみた。
アイゼンの歯全体を使って歩いた方がいい場所や、斜面を蹴ってつま先で歩いた方がいい場所など、教わりながらいろいろ試してみた。せっかく冬山にきたのだから何か覚えて帰りたい。
 午後2時、八ヶ岳最高峰の赤岳(2899m)登頂。嬉しい。楽しい。気持ちいい。
ここでしか見られない景色と感動があるから、登頂と共にまた来ようと決意させられる。
360度眺望でき、風の音だけが聞こえる。
 いい天気でずっと頂上にいたい気持ちだったけど、後ろ髪を引かれる思いでテント場へ戻る。
下りは結構急な勾配で、階段も多かった。
途中、東南アジア系のグループ(15名くらい)と擦れ違ったが、これから赤岳に登頂して下のテント場に戻るという。時間的に下りはおそらく日没後になるが、大丈夫かなと心配になった。
装備はきちんとしていたようだった。八ヶ岳は都内からのアクセスもいいため、外国からの登山客も多かった。下山終盤は、疲れからかみんな雪で滑って尻もち大会のようになっていた(笑)。
 午後4時23分、赤岳鉱泉に戻る。行動時間約8時間、休憩3時間(笑)の長い山行だった。
赤岳鉱泉でビール4本を購入し、みんなで乾杯。翌日は下るだけなので存分に飲んだ。
夕食のタイカレーがとっても美味しかった。
明日は気温次第で雨か雪の予報だけど、雪が降っていたらいいなぁと想像しながら就寝する。
12月31日
 下山するだけなので、朝はゆっくりと起床。なんかテントの雰囲気が昨日と違う。
なんと、テントに雪が積もっている!やっと雪が・・・キター!(>_<)外を見ると真っ白。
赤岳鉱泉名物のアイスキャンディもやっとキンキンに凍っている。
朝食のお茶漬けを食べ、コーヒーを飲み、ぼちぼち荷物を片付ける。
テントを撤収したところ、テントを張っていた部分だけ土が露出していた(笑)。
 雪景色をバックに写真を撮り、アイゼンを装着して出発。
下りは氷の路面が結構あって歩くのが楽しかった。約2時間で駐車場に到着。
下山を祝して皆で握手をし、Sさんが車のドアを開けようとする。しかし、鍵が開かない。なぜ??
キーレスがきかず、鍵穴に鍵を差し込んで開けた。そして、エンジンを掛けようとするが、かからない。うんともすんとも言わない。バッテリーが上がっていた(笑)原因はおそらくルームランプの消し忘れ?
 SKくんがJAFに電話し、小1時間でJAF隊員さんが到着。八ヶ岳山荘から赤岳山荘までは岩が露出した非舗装道路だったが、さすが長野県のJAFである。ランドクルーザーで登場し、とても頼もしかった。
バッテリーをつないでもらい無事にエンジン始動。爽やかで素敵な隊員さん、ありがとうございました!!
 急なトラブルも無事にクリアし、本日の宿泊場所である八ヶ岳山荘へ向かう。
ところが、車のエンジンをしばらくかけておかないといけないということで、急遽、街のスーパーまで大忘年会の買い出しへ(笑)まさに怪我の功名だ。
スーパーで調達した、刺身、カプレーゼ、生ハム、クリームチーズ、そして、食当Kさん渾身の大晦日スペシャルメニューをつまみに、クラフトビール、スパークリングワイン、焼酎と、大変豪華な忘年会だった。
とても楽しくて食もお酒も進んだ。気づくと、Kさんが座ったまま爆睡していた。
SさんとSKくんは親子で熱く語り合っていた。そんな3人の姿を見ながらおいしい焼酎をいただきつつ、来年も頑張ろうと思った(笑)。
 翌朝も元旦特別メニュー(松茸ご飯、ぜんざい、お雑煮、数の子など)をいただき、八ヶ岳コーヒーとフレンチトーストで締めた。
 リーダーのSKくん、Sさん、Kさん、皆さんのおかげでとても思い出に残る山行と年越しでした!
みんなと一緒だったから楽しかった!ありがとうございました(^o^)