第2028例会 冬山(中央アルプス木曽駒ヶ岳)

窪田

12/29(木) 前夜18:00長崎を出発、3人で運転を交代しながら高速をひた走り、7:15に田﨑さんが前泊で待つホテルに到着。
荷物をさっと整理して始発バスに間に合うよう菅の台バスセンターへ向かう。
登山指導員に登山届を手渡し情報収集「雪は多いよ~」。
バス先客は予想通り山ヤばかりで余裕で乗れそうな感じだったが、切符販売係員から「人数が多いと次のロープウェイの出発が遅れるので人数制限をします」とのこと。

千畳敷到着
我々の二人前から後発のバスだったのですごく残念だったが、ダイヤにはない臨時便が15分後(8:30)に出るということで、寒い中1時間も待つことは無く一安心。
ここからバスとロープウェイを乗り継いで一気に千畳敷駅2612mに到着する。
千畳敷から見るとカールの上はガスが掛かっていて見えない。アイゼンを履いて歩き出す。
朝一番のロープウェイでの先着登山者のルートがついており歩行には支障が無い。

千畳敷カール歩行中
 急に高所に上がり軽い高山病にかかったらしく息と心拍が上がり頭痛がする。
下さんも高山病にかかったようで足取りが重い様子。11時過ぎには乗越浄土に着く。寒風でちょっとした時間でも後続を待つのがつらい。
 宝剣山荘は目と鼻の先にあり、入口らしき所に入るが引き戸が固く閉まっている。
“入口は裏側かな”と回ってみるが入口がなくそのまま天狗荘まで来てしまう。
どうもおかしいのでもう一度戻ると、やはり“入口らしき所”が入口で、ドアは目の前にあった。
真っ暗で目が慣れずドアノブが見えなかっただけだった。
テント泊の旨を小屋番(一人!)に告げると一人2千円也。宝剣山荘前の登山道を外れた所ならどこでも良いとのこと。日帰り登山客ばかりでテント泊はこの時点では我々だけ。
下さんの軽い高山病や、積雪が少なく防風ブロックを切って積むこともできず、吹きさらしの風も強いので「素泊まりにしようか」ということになり、小屋番にお願いすると「冬の素泊まりはやってなくて普通は1万円だけど8千円で良いよ」ということで即決。(書いて良いのかな・・・)

豪華な酒盛り中
暖かいストーブ、ペットボトルのキレイな水、トイレも自由、まるで天国。
早速明るいうちからお酒を飲んでゆったりとした時間を過ごした。(田﨑さん、ビールありがとう。)
田﨑さんが「アルコール度数が高い方が担ぐには効率良いのでウイスキーにした」というのには笑えた。結局、素泊りの我々4名のほかに予約客5名だけの静かな年末の宝剣山荘。暖かい布団にもぐり快適な一夜だった。

富士ご来光 その1
12/30(金) 晴れ 5時起床で小屋に荷物をデポさせてもらい木曽駒ヶ岳を往復に出る(6:40頃)。昨日と打って変わって超快晴。7時ちょうど富士山の左脇からご来光が差す。26年ぶりの感動。
木曽駒ヶ岳頂上を踏む直前に珍しい3重のブロッケン現象も長く見ることができた。
過去に見たことがある人含めこれまた感動。冬山本格デビューの田﨑さんは誠に運が良い。

ブロッケン発生 ありがたや

木曽駒ヶ岳頂上

宝剣岳頂上
木曽駒ヶ岳山頂からの360度ビューを堪能し、写真に収めて宝剣山荘に戻る。
 宝剣山荘からは目と鼻の先の宝剣岳へ登りになる。簡単に宝剣岳登頂(9:55)。
記念写真を撮って先に進む。
ここからが本番の難所だが、昔と違って“これでもか”というぐらいのクサリが要所にあり危険箇所はかなり減っている。

宝剣岳鎖場通過
ルートファインディング、岩穴くぐり、まるでアスレチックのような岩稜ルートを嬉々として辿り“遭難の碑”到着(11:20)。
もうここまで来れば危険箇所はなく、ひたすら稜線伝いにアップダウンの連続。
すごく大きなエビノシッポとか、ダイヤモンドダストとか冬山ならではの光景に見とれつつ、疲れた身体をむち打ち夕闇迫るなか檜尾岳到着(16:30)。
 ここから檜尾避難小屋は少し下った所。

巨大なエビノシッポ
ガスが湧いて目と鼻の先に見えるはずの小屋が見えず「えぇほんとにこんなに下るの?」と疑問の声が上がったが、地図とコンパスは間違いない。
ガスの切れ間に小屋が見えて一安心。思った通り小屋は我々の貸し切り状態で、冬季スペースにテントを張って暖を取る。
冬季は部屋が広いとストーブの熱が逃げてしまうので強烈に寒い。室内でテントを張るのが肝心である。

檜尾岳頂上 バテバテ
冬ならではの儀式、雪からの水作りで夕食まで時間はかかったが、美味しい料理とアルコールで年末の夜は更けていく。
翌日行動は天気下り坂予報のため、空木までの縦走は取りやめて檜尾尾根経由で一日早く下山することにした。明日は登りがないと決めたところで、安堵感が顔に出た(笑)。
12/31(土) 晴れ 5時起床。7:00、2回目の富士山からのご来光を拝む。

富士ご来光その2
今日は富士山の右から日が昇る。
 ダイヤモンド富士を見るには、もう少し北側の極楽平あたりからがベストのよう。
2022年度の運も全て今日で使い切って、明日からはリセットだ。
一日早い下山なので、駒ヶ根に皆で泊まって打ち上げをする(亭主元気で留守が良い、早く帰ってくるなと言われている)。
 長い下りを6時間頑張って歩いて檜尾橋到着(14:40)。

檜尾小屋お世話になりました

小檜尾岳
下りの15:26のバスに十分間に合い、トボトボ歩くことなく15:45に菅の台バスセンターに無事到着。
2022年最後の冬山山行を成功裏に締めくくった。
あとがき 28~68歳(40歳差)、初心者~ベテラン4人の組合せが新鮮でした。
長いコロナ禍が続いてモチベーションが下がり気味だったけれど、数年ぶりに快晴の冬アルプスロングルートを歩いてモチベーションアップになりました。
ベテランの下さんは血行不良で軽い凍傷になり、体力が落ち気味でキツいキツいとしきりにぼやいていたけれど、まだまだ大丈夫。
 田﨑さんは2021年末「霞沢岳」は天候不良で登れなかったけれど、今回はその分を全部取り返した上に利息までありましたね。さすが日頃鍛えているだけあって体力も凄すぎます。
 宏太は若いだけに体力があるね。ザックにまだまだ余裕がありそうなので今後もよろしく頼みます。
 私もハードな冬山をまだまだ楽しめるようトレーニングに励みたいと思います。
 2023年は冬山仲間を増やすために研修を取り入れていきましょう。
コースタイム:
12/28(水) 18:00長崎=→
12/29(木) 7:00駒ヶ根IC=8:30菅の台BC=9:30千畳敷9:50~乗越浄土~11:30宝剣山荘(素泊まり)
12/30(金) 宝剣山荘6:45~7:40木曽駒ヶ岳8:05~宝剣山荘~9:55宝剣岳~12:00島田娘~13:47濁沢大峰       ~16:30檜尾岳~16:50檜尾避難小屋
12/31(土) 檜尾避難小屋8:35~9:00小檜尾岳~10:35シャクナゲのピーク~13:05赤沢の頭~14:40檜尾尾      根登山口15:26~15:45菅の台バスセンター 駒ヶ根プレモントホテル1泊、魚民にて打ち上げ 
01/01(日) 駒ヶ根=高速経由で長崎へ
1/2(月) 0:10多良見IC着

   中岳から見た宝剣岳と 天狗壮(手前)・宝剣山荘(奥)

パーティを組むということ==

田﨑

 1年前、初めて雪山に行き、疲労と寒さと吹雪でちょっぴり心が折れた。
 達成感はあったものの、このままでは本当の雪山の魅力がわからないまま、挑戦をやめてしまうかもしれないと思っていたところ、今回のリーダーKさんから連絡があり、雪山挑戦のチャンスをいただいた。
迷ういとまもなく、行きたいと思った。
今回の山行に向けて、ゲイター、グローブを新調し、75リットルのザックとアイゼンも購入した。さぁ、もう後戻りはできない!!
これから、私が冬山で感じたことを長々と記すが、一言でいうと…仲間と登る雪山って最高だ!!!
 準備段階からメンバーとは連絡を取り、わからないことは何でも聞いた。
超ビギナーの私が雪の宝剣岳などに行ってもいいのだろうかと不安な気持ちも伝えた。
皆は「4人で行動するし、サポートするから大丈夫」ととても心強かった。
前回は装備をつけることすら苦戦していたため、今回は自宅でアイゼン脱着の練習をし、できるだけ体力増進にも努めて挑むこととした(結局数回走っただけ…)。
 12月29日朝、駒ヶ根で長崎組と合流。Sさん親子と行く初めての山行が冬山というのもすごいなと思いながら、バスとロープウェイを乗り継ぎ千畳敷到着。早速のアイゼン装着!練習してきてよかった。
真っ白な千畳敷カールを、Kさん、SKくん、私、Sさんの順で歩く。
いきなりの急な下り勾配で戸惑っていると、Sさんが歩き方を教えてくれた。慣れないアイゼン歩行と重い荷物で息が上がる。
千畳敷カールは真っ白で時折目を奪われた。稜線に出ると、風が強くて一気に寒くなった。
指標に雪の塊みたいなのがボコッとついている。「エビのしっぽ」といって、風が吹いてくる方向に伸びていくそうだ。
寒いので宝剣山荘でしばし休憩していると、天気はどんどん悪化し、急遽山荘泊決定。
そうと決まれば、飲みましょう。ザックから缶ビール2本を出したところ、Sさんがびっくりしていた。ビール、ウイスキーなど、合計するとアルコールだけで1.5キロ。どおりでザックが重いはずだ。
山荘では缶ビールが600円で売ってあったが、年末の特売なのか途中で300円に…。300円なら山荘で買ったのに…(涙)
 12月30日、天気は晴天。ほとんど無風。
この日は、先日購入した腕時計Suunto9peakの登山モードで記録を取った。
距離8.93㎞、累積上昇1396m、累積下降1600m、平均心拍数122bpm、最大心拍数177bpm、消費カロリー3085kcal(>_<)
まずは、日の出直後の木曽駒ヶ岳ピストン。真っ白でキラキラ、初めての景色。
頂上からはこれから挑む宝剣岳とその先の稜線が見えた。長い道のりだけど、この景色の中を歩けるなんて夢のようだ。
宝剣山荘に戻りストックをピッケルに持ち変えて縦走へ。笹の上に積もった雪の急斜面で出発早々に息が上がる(ここで最大心拍数になっていた)。
すぐに笹から岩の露出に変わり、鎖場登場。岩と雪のミックスに戸惑いつつ慎重に進む。
緊張して鎖を持つ手に力が入った。宝剣岳の山頂に立つと感動した。自分で登った達成感。この先も歩けると思った。
しかしその直後、下山にビビり、再び恐怖と不安が襲う。その後もアイゼン歩行とアップダウンの縦走路に苦戦しつつ、なんとか食らいつく。
息が上がり弱音を吐きそうになるけど、先頭を歩いている仲間はもっときついはず。私にはまだ、先頭を歩ける知識と技術と体力がない。今後の課題だ。
天気は快晴、ほぼ無風。エビのしっぽとダイヤモンドダストが疲れを癒やしてくれた。日の入りと共に檜尾小屋に到着。きれいなトイレもあって素敵な小屋だった。
 12月31日大晦日。朝食を摂り、4人で日の出を見る。雪山に泊まって日の出を見るって最高だ。
周辺にはいろんな動物の足跡があり面白い。下山中は、振り返ると昨日歩いた宝剣岳から檜尾岳へと続く稜線がきれいに見え、よく歩いたなぁと思った(笑)。高度を下げるほど雪質が変わる。
実は、この3日間で最終日が一番きつかった。下りは苦手なので、これまた今後の課題だ。
無事に下山し、夜は駒ヶ根市内の居酒屋で忘年会。大変盛り上がり、ホテルで二次会。ラストは来年の抱負を語り合い、記憶に残る大晦日だった。
 私は今まで、山頂に立つことや見える景色、山で食べるご飯、計画を立てて長い縦走路を歩くことなど非日常に魅力を感じ、人生においてなるべく多くの時間を山で過ごしたいと考えていて、ここ数年ほとんど1人で山を歩いてきた。
そんな中、今回の山行ではパーティを組むということの意味を強く感じた。
リーダーとサブリーダーの役割、食当の考え、共同装備や食料を分けて担ぐということ。
気心知れた信頼関係であることも必要だし、山行を無事に達成するために誰1人として欠けてはいけない。そのためには、山以外で過ごす日常が大切だと思った。
コツコツと体力維持に努めたり、怪我や病気を放置せずきちんと治療したり、仕事を頑張ったり、規則正しい生活を送ったり…。
山で過ごす時間だけが特別なのではなく、山で過ごす時間のために日常を頑張る。そしたらもっと山が魅力的なものになるし、「我が人生に山あり」と胸を張って言えるのかなと思う。
日々年老いていくし、体力も衰える。山の楽しみ方は人それぞれだと思うが、パーティを組んで挑む雪山は達成感がハンパなかった。
山がもっと大好きになったから、なるべく長く山を歩けるように努力を積み重ねようと思う。
私にはまだまだ多くの課題がある。差し当たって、今年の目標は読図を頑張ります(>_<)(まだそのレベルかい!!笑)。

「凍傷」中央アルプス縦走の反省

下松八重 KY

12月30日、日没寸前に檜尾小屋に到着、早く小屋に入りたかったけどなかなかアイゼンが外せない。
最終的にはストックの先端をアイゼンバンドの隙間に差し込んで外した。
左の薬指を触ると感覚が無い。「やばい」と思って、直ぐ小屋に入って両手を見たが変色は無く致命傷には至っていないようだった。
先に入っていた3名は既に中にテントが張れるかどうか吟味中、微妙だけどテントが有るか無いかでは全然違うので無理やりでも張ることにした。
程なくテント内でコンロが使えるようになったので兎に角両手を温めた。指先はジンジンするが感覚が戻って来て気持ち良くなった。
冬山に行くと、何時も帰って来てからも指先が気持ち痺れている状態になるが、今回のような症状は初めてだった。
鼻の頭も凍傷で皮がむけたので、念のためと思い1月4日に長崎掖済会の皮膚科を受診、ユベラ軟膏を貰って帰った。
指先の凍傷はアイゼンバンドを外すのに手間取った事が影響していると思うが、その要因はそれ以前に指がかじかんでいたのかもしれない。
行動中「シモさん鼻の色がなんか変だよ」と言われて、慌てて目出し帽で鼻を覆う事が何回か有った。
天気は良かったし、色々考えるに防寒対策についてこれまで以上に気を使わないといけない体質になっているのかもしれないと思った。
体力も衰えている。
窪田リーダー、田崎さん、宏太、この度は大変お世話になりました。3人とも頼もしいメンバーでした。有難う御座いました。
参加者
 CL:窪田、SL:下松八重K、田﨑、 下松八重J          計4名