第2015例会 傾山~祖母山縦走

下松八重 K

ある日、平田哲也さんから「傾山~祖母の縦走をやりたい、三ツ坊主を越えて」との話が有ったので「分かりました」と即答した。
2018年2月に傾山から祖母山を目指したが、積雪が多く時間切れ、止む無く尾平越からエスケープ、その時のリベンジだ。
二泊三日のロングコースで岩場のアップダウンも数多くある。メンバーの協力、連携が不可欠であることから、例会募集は早めの8月号に掲載して頂いた。
参加者が多かったらどうしようかな?と心配していたが、なかなか申し込みが無い。
平田さんと二人かな~と思っていたところ、木場さんと井上さんから申し込みが有り、福田Rさんからも有った。
最後に、大塚さんから「都合で日程が取れないので、初日の傾山だけでも参加したい。」と申し出が有り、結局、初日6人、二日目から5人の山行となった。
8月末、県岳連で「悪場のトラバース」を課題にした研修会が計画されたので、全員これに参加し技術を習得した。併せて、ルートの確認や共同装備の歩荷担当、出発時間や移動経路等々を確認し事前の心構えを共有した。
10月7日(金)長崎を昼過ぎに出発、日田ICから一般道へ、国道212号から杖立温泉~瀬の本高原~竹田を経由して九折の登山口に夕方6時頃到着した。
井上さんと下松八重車を下山予定の尾平に回送。
帰ったら大塚さんが準備してくれたネギ豚塩レモン鍋が出来ていてしばし小宴会、締めのバリ麺(韓国産)が旨かった。
10月8日(土)4時起床、5時40分出発
昨夜は大きな月も出ていたが今朝は何となく怪しい。
流れが穏やかで美しい観音滝を左に見ながら、黙々と登る。途中霧雨になりカッパを着ることになる。
三ツ坊主の尾根に分岐すると間もなく痩せ尾根になり何度も岩場が現れるが、全員自力で通過出来た。8mm×20mの補助ロープは持っていたが使う事は無かった。
岩場を6人が通過するには時間もかかり、傾山頂に着いたのは13時40分、出発から8時間かかった。
ここまで大塚さんが付き合ってくれたが、このペースで行くと大塚さんの下山が遅くなってしまう。
仕方が無いのでここでお別れ、大塚さんだけ先に下山して貰った。
因みに、一部の食糧と共同装備を歩荷して貰っていたので、これは九折小屋に置いて行ってもらった。大塚さんありがとう。
九折小屋に着いたのは15時40分、10時間かかったことになる。小屋には九大ワンゲルの若者5人がいた。夕暮れに近いころ、もう一団体が入って来た。
往復約30分で水の調達、今夜は小屋泊まり、野菜炒めでちょっと一杯、山菜おこわで腹ごしらえをして寝る。
10月9日(日) 今日も天気は今一だ。
5時20分ヘッドランプを点け、カッパを着て出発、今日は黙々と歩く日。
笠松山を越え少し下ったところで、何となくルートが違っているのに気付く、と同時に後ろから「違いますよ~」と合図が有る。井上さんがヤマップで確認、右側の尾根に外れたらしい。
ピンポイントで現在位置を教えてくれるヤマップは素晴らしい。直ぐに引き返し本谷山へと向かう。
三国岩ではこれから向かう縦走路が良く見えるはずだが、この度は何も見えない。仕方なくスルーする。今日のテン場には水が無いので尾平越で補給したけれど、自分が勘違いして水場を間違ったので、15分くらいのアルバイトをしてしまった。皆さんごめんなさい。
一段と重くなったザックを担ぎ古祖母へ、標高差約500mを約2時間半ひたすら黙々と登る。雨模様の中テン場に着いたのは15時過ぎだった。
今日の行動時間も約10時間だった。
テント張りに慣れてない人もいるが、雨の中全員で協力して設営した。
中に入るとホッとする。今日は田尻さん差し入れの「畑のカレー」とシーチキンサラダ、ちょっとだけ残っていた焼酎は井上さんとシモが頂いた。
10月10日(月)最終日
霧雨の中撤収、6時40分出発
井上さんと平田さんは雨でやや重くなったテントの歩荷だ、ご苦労様。
今日は、岩場も多く変化にとんだルートだ。先ずは障子岳に登る。
山頂手前で男性一人に出会った。足場の悪い障子岳を越え、痩せ尾根を進むと行き止まりになった。
間違って天狗岩まで行ってしまったのだ。直ぐに引き返し縦走路へ、これで3回ルートを外したことになる。皆さんごめんなさい。
10時30分祖母山頂、ここまで会ったのはただ一人だった。
祖母山頂に男性一人が居たので全員集合のシャッターを押してもらった。
天気が良ければ傾山までの縦走路が見えるのに、誠に残念、また来るしかない。
天気が悪いので長居は無用、九合目の小屋に向かう。小屋には女性が一人いた。
その女性と話をしたところ、昨夜のテン場(古祖母と障子岳の鞍部付近)付近に水場が有るらしい。
小さな案内板の写真を持っていると言う事だったので、スマホを開いてもらってそれを自分のスマホで撮った。是非確かめたいポイントだ。
小屋ではゆっくり休憩し、12時過ぎに出発。宮原までの縦走路からは傾山が時々見えるはずだけど、やっぱりだめだ。仕方なく、黙々と下る。
尾平に下った頃やっと晴れてきた。空の青と白い雲のコントラストが素晴らしい。
駐車場に着いたのは16時過ぎ、結局、今日も10時間近くの行動時間だった。
デポしていた車に5人乗って長崎へ、我が家に着いたのは22時過ぎだった。
この度のルートは、自分以外は初めての人ばかりだったのに生憎の天気だった。
重いリュックを三日間担ぐのも初めてだったかもしれないけど、全員満足げな顔で良かった。
大塚さんの協力も有り無事終了することが出来ました。皆さん有難う御座いました。
コースタイム:
10/8
九折登山口5:40~6:50どうかい谷分岐7:05~9:20坊主分岐9:35~三ツ坊主経由~13:25傾山頂14:05~15:20九折越小屋
10/9
九折越小屋5:20~7:05笠松山~8:50本谷山9:10~10:25丸山10:40~12:00尾平越12:25~古祖母14:40~15:10テント場(古祖母と障子岳の鞍部付近)
10/10
テント場6:40~7:45障子岳~8:50天狗岩~10:30祖母山10:40~11:20九合目小屋12:10~13:10宮原分岐~16:10尾平
参加者:
 CL:下松八重K、木場、福田R、大塚、平田T、井上 計6名

傾山・祖母山縦走の感想

平田 T

傾山・祖母山の縦走は、自称九州岳人の端くれとして一度は挑戦してみたいと思っていましたが、ようやく今回念願がかないました。
天候には恵まれず、小雨が降り続けた三ツ坊主尾根は滑らないよう三点支持、三点支持・・・と念仏を唱えながらもがいているうちにいつのまにか登り切っていました。
自分の時間的感覚としては1.5時間ぐらいかなと思っていたのに3時間近くかかったと聞き、やはり緊張していたんだと思います。
体力的にきつかったのは尾平の水場からテント泊用の水2㎏をザックに詰めて古祖母山を登るところで、頂上に着いた時は思わず「バンザイ」と声が出てしまいました。
強風の中での天狗岩や、祖母山の手前のロープや梯子の連続する崖登りはスリル満点であり、この縦走路の醍醐味を味わいました。
無事下山し帰りの車の中でリーダーのSさんが「紅葉の頃また来よう」と言ってくれましたが、正直しばらくはいいかな・・と思ってしまいました。
しかし、幾月か時を経て苦しい思いが記憶から薄れ、祖母・傾山系の美しい思い出だけに昇華した頃にはまた来たいと思うに違いないと感じました。

傾山~祖母山縦走

木場

重いザックを背負い三日間の歩きができるか、坊主尾根の岩場やクサリ場で立往生しないか、閉所恐怖症気味なのでテントの雑魚寝に息苦しくなりはしないか、途中で棄権することになって迷惑をかけはしないか、無理して膝を壊し二度と山登りができなくなりはしないか等々、わからない世界は怖さいっぱいでした。
それでもこの企画は私にとって最初で最後のチャンス。逃すと後悔しそうで行きつ戻りつ心が動いた末、期限最終日に参加の申し込みをしました。
そして、そして、無事完歩することができて同行の皆さまに感謝いっぱいです。導いて下さった下松八重リーダー、テント等重い装備を担いでくださった皆さま、不慣れで全く機能しない食当を助けてくださった皆さま、ありがとうございました。
残念ながらずっとガスってて稜線歩きの醍醐味の眺望はまったく(!)なかったのですが、山中1泊目九折越で出遭った十三夜の月は外灯かと見まごうくらいの明るさでした。
山中2泊目は風が強く雨つぶてが激しくテントを打ったのですが、眠りへと誘う子守歌に変えることができました。
懸念していた諸々をなんとかクリアして、尾平登山口にデポしてあった車にたどり着いたときはとても嬉しかったです。すっぴんの顔をこれ以上なくクシャクシャにして笑っていたと思います。
リーダーに握手をもらい、みんなでハイタッチを交わし喜びを分かち合いました。
チームで登るっていいですね。思い切って参加して本当によかったです。

傾山・祖母山縦走例会の感想

井上

 大変貴重な経験ができ、下松八重さんによる企画・実施をありがたく感謝しています。
 実は、傾山・祖母山の縦走には、行ってみたいけれども果たして、そのハードな山行についていけるのか自信はなく、参加申し込み締め切り日までなかなか踏ん切りがつかなかったのです。
16キログラムのザックを背負っての歩荷までは、短距離ながら何回か試してはいました。
結局、年齢的に最後のチャンスかもしれないと、意を決し申し込んだのでした。
 どのような危ないコースなのか知らない三ツ坊主コースを通過することになっていました。
行ってみると私にとってはなんとかギリギリ通ることのできた、ひやひやのコースでした。
通過して分岐点までたどりついたとき、そこに掲げられていた看板には、「三ツ坊主コースは危険です」と書かれていたのです。しかも、「危険」の漢字はその部分だけ特に赤で記載されていたのです。
やはりそうだったかと、通り過ぎた過去に胸をなでおろしたのでした。このあとも、気を引き締めていかねばならないと肝に銘じたのでした。
 雨とやや強風の中でのテント泊、相当に重いザックを背負っての長距離の縦走、行く予定ではなかった天狗岩へ間違って向かったスリル等、学ぶべきことがたくさんありました。
そして厳しい自然の中でのぬくもりのある心の触れ合いができました。
 これも、下松八重さんに導かれながら一緒に力を合わせて取り組んだ、平田さん、木場さん、福田Rさん、大塚さんの存在があったからです。
 本当に貴重な経験ができ、意を決して参加してよかったとつくづく思っているところです。ありがとうございました。