第2002例会 北アルプス

白馬岳

田尻 S

序:3年振りの北アルプスである。出発予定日は7月20日であったが、北アルプスの晴れた夏山を味わいたいと、2週間前より白馬岳方面の天気予報と睨めっこ。
毎日、晴れたり、曇ったり雨だったりの予報に一喜一憂の毎日である。
漸く7月23日の出発と決断する。参加者皆に連絡したのが前日と言う慌ただしさ。然し待ちに待った連絡に皆の気分も高揚した事だろう。
7月23日(土)
 7時26分かもめで長崎駅を出発、今から8時間38分の長いJRの旅が始まる。
天気は曇り、松本まではかもめ~さくら~ひかり~しなのと乗り継ぎ16時4分に着き、今日はここ迄。
7月24日(日)
 早朝の信濃大町行の大糸線に乗り、更に乗り継ぎ白馬駅に着く。待たせたタクシーで20分も走れば猿倉である。猿倉で登山届を出す。受付のオッチャンが長崎ですかと頷く。
ここから林道を歩き白馬尻迄1.5時間程の行程。更に10分で雪渓の縁に出る。
雪渓の規模はその年に依って痩せたり太ったりしているが今年は程よく残っている様だ。
今回1番の楽しみ、雪渓歩きに備え4本爪の軽アイゼンやチェーンアイゼンを着ける。いよいよ白馬の大雪渓に踏出す。
田尻S、金木の2人を除き6名は初めての大雪渓である。
雪渓に入ると残雪の冷気に冷やされ、ガスが立ち込め夏とは思えぬ気温である。
雪渓を登る内にガスも晴れ、白馬岳の山頂や小蓮華山へと続く稜線が、ガスの切れ間に見える。
当然の如く雪渓は登り一辺倒で、息を切らさぬ様一歩一歩踏みしめる。
雪渓の中に岩と土と高山植物の葱平(ねぶかっぴら)に着き一息いれる。
初めての北アルプスの人には小規模ながら高山の花達が迎えてくれる。
クルマユリ、ハクサンチドリ、イワオオギ等が疲れた歩みを励ましてくれる。
歩き難い岩稜と枕木で作られた様な崩れた階段を登ると、小雪渓のトラバースがあり安全の為又アイゼンを着ける。
小雪渓を渡る頃は青空も見え、杓子岳が大きく聳える。
避難小屋前で一休みして頂上宿舎目指して登るのだが、これが地獄の登りか試練の登りか、老体に鞭打って、ほうほうの体で村営頂上宿舎に辿り着く。
小屋の案内で部屋に落ち着くが、一部屋2階作りで24人の定員が、一階を我々8名だけで占領する。これもコロナ感染防止の対策故か。山小屋経営も厳しいかと思わざるを得ない。
夕食はビュッフェスタイルである。70歳以上には良い様な悪い様な献立であった。
7月25日(月)
 白馬岳山頂での日の出は、4時過ぎの掲示であったが疲労回復が先とご来光はパスする。
朝食もビュッフェスタイルであり思い思いの料理をチヨイスする。
南西に見えるハズの剱岳の雄姿を期待するが雲に隠れ見えない。
6時05分に頂上宿舎を後にし、白馬山荘を経由して白馬山頂を目指し20分で着く。
少しガスっているが、頂上は夏山シーズンらしい込みようである。
頂上で記念の集合写真を撮る?人数がたりない。8人が6人に、2人はいずこに、集合写真の号令に気づかず雄大な風景に見入っていたらしい。
頂上を後にして、いよいよ今回の山行で2番目に楽しみにしていた白馬大池迄の稜線歩きである。ガレ場交じりの稜線は歩き易いが、如何せんガスがかかり展望が悪い。然しこれも夏山、ガスも晴れてハイマツと残雪それに雷鳥も見られるかも知れない。青空の元での稜線歩きは次回の楽しみとしよう。
縦走路途中にある小蓮華山に着く。少しガスも上がり気味で廻りの山肌の雪渓や大雪渓らしきものが見える。
稜線歩きの途中にガスの晴れ間もあり、夏山の趣である。
足元の高山植物にも目がいき楽しませてくれる。私の乏しい花の知識では、ハクサンイチゲ、コマクサ、シナノキンバイ、コバイケイソウ等有名どころしか分からない。
小蓮華山ではやっと全員集合の写真を撮る。
白馬大池に下る途中雷鳥を見かける。この雷鳥君人見知りしないのか、慌てる風もなくハイマツの実を啄み、挙句に砂浴びをしたりしてのんびりいる。
白馬大池に着き行動食タイムとする。
縦走中貴重なトイレがあり必要な人は用を済ませる。
大池を過ぎて乗鞍岳への道は、ハイマツの中を石伝いに歩くが兎に角歩きにくい。漸く大ケルンに着き、下りに備えて一息。これから栂池自然園の木道出会いまでは大石小石のオンパレード、おまけに小さいながらも雪渓もあり気が抜けない。
いい加減岩ゴロゴロ道に悪態をつきながら下る事1時間、天狗原の湿地帯木道に着く。
湿地には花が終わった大きな水芭蕉の葉がある。このまま木道が栂池迄続くかと甘い期待もあったが、そんなハズもなく湿地帯の木道が尽きると、これまでの下り道より少しましな山道となるが、それも下るうち、作った当初は快適な山道であった木製の山道も年月と共に腐れ果て、荒れて下りにくい道に変わっている。やっとの思いでロープウエイ駅がある栂池自然公園に着く。
公園の売店ではコーラを飲んだりアイスクリームを食べたりと、下りの緊張を解く。
ロープウエイとゴンドラを乗り継ぎ終点に待たせていたタクシーで白馬駅に戻る。
白馬駅から信濃大町、松本まで乗り継ぎ、ホテルに着く。
ここで憎きデジタルでのチェクイン、アナログ小父さんには冷や汗ものだ。
温泉と食事を一遍に済ませられる入浴施設「瑞祥」で例会の無事を感謝して乾杯をする。
ピーカンの青空とはいかなかったが、夏山らしいガス、青空も見え、高山植物も今が盛りと咲いていた。
雨にも降られず歩き通せて何よりだった。
7月26日(火)
 帰りのJRは往路の逆となり、諫早駅で1人、浦上駅で6人、長崎駅で1人と流れ解散とする。
コースタイム:
7/24 猿倉8:40~10:00白馬尻10:15~10:25大雪渓取付き10:35~13:45葱平14:00~16:20頂上宿舎
          所要時間 7時間40分
7/25 頂上宿舎6:05~6:25白馬山荘6:35~6:50白馬岳頂上7:05~7:50三国境8:05~8:50小蓮華山頂9:00~9:55船越の頭10:05~10:45白馬大池11:30~12:15白馬乗鞍岳12:25~13:30天狗原~14:50栂池自然公園    所要時間 8時間45分
参加者:
 CL:田尻S、SL:田尻H、金木、井上、 小笹K、福田K、木場、宮前   計8名


               

白馬岳(2932m)例会に参加して

福田

2022 7/23~26
 傾斜30度。アイゼンを着けて、標高差600mの大雪渓はきつかった。
体力、技術とも「レベル★5」!
まして信じられないことに、以前の白馬例会で数人の先輩は(Sさん、Dさん、Kさん?)2号雪渓と3号雪渓との間の尾根を白馬の頂上まで登り、正規ルートの他会員と合流したそうだ。
岩室跡(2250m)から、天を突き刺す杓子岳(2812m)を何度も見上げ感動。
二日目小蓮華山(2766m)から船越の頭、白馬大池までの稜線で、凛々しく整然と隊列を組む20名位の若者達とすれ違った。賢そうな彼らに聞けば「埼玉県深谷高校」と言う。
頭に高校生、真ん中に若い先生、続いて高校生最後尾に顧問の先生らしき人。
全員20~30キロの荷物を担いでいる。つい振り向く程、厳しくたくましかった。
昔、下から落ちる雷に被雷した松本深志高校の悲しい記事を思い出した。
その後10分程して、今度は若い男性が倒れ、顔面蒼白手を震わせていた。
4~5名の若いグループ、スマホで救助を求めているようだ、恐らく足の骨折だろうと推察した。
小走りに登るレスキューとDr.らしき2人とすれ違った。この天気でヘリは飛ぶのかな~などと・・・・
稜線歩きで、元ワンゲル金木氏より、掛け声“エイヤ・・・”ホーラ・・・”を教わった。
隊列を組んで歩くとき力が出そうだ。確かに。
ふむ、ふむ、これは樺島町のコッコデショの掛け声(ヨイヤサノサ!)ではないか?。
栂池までの下り、10名ぐらいの年配女性とすれ違った。表情とても苦しそう、上り大丈夫?この時間で宿舎に着けるの?との声も聞こえた。
白馬大池での休憩らしき休憩でCL、SLよりビタミンC豊富なキュウイ4分の1切れをいただき体力回復。
おかげで、飛び石で難しい安山岩の天狗原、その後を無事乗り切る事が出来た
安全に登山すること。最後まで迷惑をかけずに無事下山すること。雄大な美しさに心奪われることなく、先ず技量と安全を最優先し、山行を続けられればと願っている。

北アルプス・白馬岳

小笹

「ザック」・「ザック」とアイゼンを蹴り込み慎重に雪渓を進む。白馬尻から葱平(ネブカッピラ)まで日本一の大雪渓はかなりつらい。
リーダーに声をかけられ振り返ると登ってきた雪渓の雄大さに見とれ、しばし疲れを忘れる。
やがて左斜面にたくさんの高山植物が咲いているが写真を撮る余裕がない。
最後の登りの先に村営頂上宿舎が見える。ここからが勾配もきつく、階段も高い。
高低差115mを1320歩で登った。足を前に出すだけでせいっぱいだ。
ようやく山小屋につき食事となったがビールがうまくない。疲労で食欲がない。初めての経験だ。
しかし、北アルプスの山を登った達成感で心は晴れ晴れしている。
 最後にこの例会のリーダー、サブリーダーの田尻夫妻、白馬岳の天候を見据え、たった2日の好天日を捉えて山行を決定し、全員に号令を発して皆で登頂できました。
また会計係木場さんと、渉外係宮前さんの役目をこなす姿に感心しました。
ベテランの金木さんもおられ、楽しい仲間との山登り、食事、お酒、温泉に心和みました。


白馬岳例会に参加して

宮前

 一年前の私は、北アルプス登山なんて想像もしていませんでした。
今回、白馬岳登山の機会をいただき、経験不足にもかかわらず初挑戦。
高く澄み渡った空、美しい色の花々、雄大な山と雪渓、冷たくて美味しかった水、歩きづらく悩まされたゴロゴロした大きな岩、何もかもが刺激的で感動でした。
いろいろ課題はありましたが、次に活かせるようにしたいと思います。
貴重な機会をありがとうございました。