第1916例会 長崎県500m以上の山 対馬9座

洲藻白嶽・有明山

舞石ノ壇山・大鳥毛山・矢立山・増木庭山

萱場山・竜良山・木槲山

田尻 S

「長崎県500m以上の山」に登るの企画で一番ハードルの高い山群が対馬の山々である。長崎県でありながら、地理的には福岡県に近く、長崎県民としては遠い隣の家の感じがしないでもない。
しかしながら「長崎県500m以上の山」である以上登頂をもって消化しなければ完結しない。
今年4月に一度対馬例会を計画したが、コロナ感染の小波が長崎県をあらい始め、やむなく延期した。
今回はコロナ感染の予防対策の徹底や、Go Toキャンペーンもあり実行に移す事となった。
参加者は9名となった。
事前に貴重な情報を頂いた、対馬観光物産協会の西氏との約束を果たすべくの実施でもある。
10月19日(月)晴
前日長崎を21時発、フェリーで博多港0:05発、朝5時厳原港着、7時まで船内待機する。
夜明けとともに白嶽登山口に向け出発する。此の登山口は何年ぶりだろう7年振りか。
記憶を手繰りながら登山道を登る。道は良く整備されており、案内標識も途絶えることもない。
清流と深い木立の中を行くと白嶽神社の鳥居に着き、ここからより山道らしくなり斜面も急になる。
山頂直下にはロープも張られ安全にも配慮されている。
頂上は雄岳(518m)西岩峰側にあり石英斑岩の白い岩峰である。前回は天気が悪くガスの合間に雌岳が羽衣を舞うが如くしか見えなかった。
今日は晴天に恵まれ見渡す限り360度の展望が得られる。
しかし明日から登る矢立山や他の7座を、山のうねりの中に指さす事は出来ない。
前回例会分の眺望を楽しみ下山にかかる。
昼食は登山口でソーメンの様な滝を眺めながら摂る。
行動時間 3時間30分 3.8km  登り536m/下り542m
コースタイム:
洲藻白嶽登山口8:00~9:20白嶽頂上10:00~11:30洲藻白嶽登山口

洲藻白嶽を登り終え車で次の有明山へと移動する。
途中、「対馬情報館ふれあい処つしま」の西氏を訪問し、今までの情報提供と種々手配に感謝しお礼を述べる。
厳原町内の少し山手にある厳原体育館横(標高4.6m)に駐車させてもらい、登山口の案内板がある人家の横から登りだす。
有明山は夜明けに月がかかる山とか。古くは万葉集に対馬の峰と詠われる程の名峰である。
清水山は有明山と同じルート上にあり帰りに寄る事とする。
有明山も白嶽に負けず劣らず人気の山であり厳原の港に入るときは其の優美な山体を見せてくれる。
良く整備された道を標識に従い行くが、枯れ葉を落とし切らない木と常緑広葉樹が林を作り心安らぐ山道である。
山頂も近くなると低木で疎らとなり、頂上部は開けた大地になっている。
ここも展望は良く幾多の山々が見える。他は分からずとも白嶽の双耳峰だけはよくわかる。(まるで北アルプスに見る槍ヶ岳の様である)
明日から登る舞石ノ壇山(めえしのだんやま)あたりが見えるらしいが悲しいかな良くわからず明日の楽しみとしよう。
有明山(558m)山頂で展望を楽しみ下山に移る。
下りでは登りで割愛した清水山を尾根伝いに、築城された清水山城址を一の丸、二の丸、三の丸と下っていく。
この清水城は秀吉の朝鮮出兵の際に築かれた山城である。上から順に一の丸から三の丸と下ってくるが二の丸から見る厳原の町が一番印象に残る。
対馬で3泊お世話になるホテル金石館にチェックインする。
女性陣は山を歩くだけで、家事から解放されるのはストレスレスになるらしい。
行動時間4時間10分  6.4㎞  
登り588m/下り588m
コースタイム:
清水山城址登山口13:10~15:20有明山15:50~16:40清水山16:55~清水山城址経由~17:20清水山城址登山口

10月20日(火)晴
今日は4座縦走に挑む。まず出発起点となる内山峠へ向かう。
内山峠は「アカハラダカ」観察所が作られており、明日もここから3座縦走に出発する。
内山峠は内山盆地の最深部に位置し、これから盆地の北側に連なる連山を北の連山、南の連なりを南の連山と呼ぶ事にする。
規模は違うが久大線を大分方面に向かう時、右の車窓に耳納連山が見えるのと、内山盆地を挟む連山とが重なって見える。
北の連山縦走第一座は舞石ノ壇山「めえしのだんやま」と読むらしい。
自動車道横のフェンスを伝い登る。ここから先は明確な山道は無く、先人が残したピンクや白・赤のリボンやテープが目印といえる。
しかし今回はコースリーダーの山上さんが1/25000の国土地理院の地図を読みながら進み、助手の木場さんがスマホで現在地を確認して進むのでアナログとデジタルのコンビである。
舞石ノ壇山(536m)の山名由来は強風で石が舞うほどだと言うが、今日はそれ程の事は無く、長崎山岳会特製の標識を立て対馬の3座目とする。
舞石ノ壇山を後にし、小鳥毛山迄ほゞ尾根づたいに進み、アナログとデジタルのコンビで何なく小鳥毛山に着き、一旦三叉路の林道に出る。
ここでハプニング、山上さんがザックに収納していたストックを枝に絡め取られ行方不明となったが、探しに行き無事回収。
大鳥毛山は林道から取り付けるが、かなり古い道で、出たり消えたりの繰り返し、頂上付近はサルトリイバラに行く手を邪魔されるが強引に登る。
大鳥毛山(555m)頂上に対馬2本目の山頂標識を立て、復路は林道迄引き返す。
さらに林道を進み対馬で一番高い山、矢立山の登山口に至る。
対馬で一番高い山であり、それなりの入り口標識があり登山道も良く踏まれている。
ただ白いテープとも紐ともつかないものが頂上近くまで延々と続いていて、何の意味があるのか確たる事は分からず矢立山(648m)頂上へ。
山頂は陽も当たり、展望もあり気持ちの良い三角点である。
増木庭山までの縦走は登山道を途中迄下り、西氏より情報を得ていた植林帯の尾根を地図とヤマップを頼りに行き、ドンピシャ増木庭山取りつき点に着く。
増木庭山の登りはほゞテープ頼りで30分もかからず増木庭山頂上(528m)へ。
下りはドンピシャ地点まで戻り、ここにデポしていた車に乗り内山峠に戻る。
1台はドンピシャ迄引き返し残り4人を回収する。ホテルでは今日1日のご褒美のビールが待っている。
行動時間6時間55分  8.5㎞  
登り533m/下り521m
コースタイム:
内山峠9:15~9:30舞石ノ壇山10:00~10:30小鳥毛山10:50~12:00大鳥毛山13:00~13:50矢立山14:15~15:30増木庭山15:55~16:10ドンピシャ(車デポ地)

10月21日(水)晴
ホテルを8時20分ごろ出る。内山峠を出発、
今日は南の連山を縦走し3座を走破の予定。
準備体操のあとアカハラダカの観察櫓を後にして縦走路に入る。
北の連山から良く見えていた萱場山までの縦走は、起伏の少ない歩き易い道を想像していたが、案に違わず歩きやすい尾根道である。
今年の台風9号、10号に木々が揺さぶられたのか大量の枝葉が、かすかな踏み後すらも消している。
半面落ち葉は自然の絨毯となり膝や腰に優しいいクッションとなっている。
縦走路の雑木林は葉を落とした疎林が続き、見通しも良く萱場山(516m)に10時過ぎには着く。
縦走路は竜良山へと続き、最終山の木槲山まで尾根道を外れる事が無ければ気持ちの良い山歩きが楽しめる。
竜良山(559m)まで登りとなるが、苦になる登りではない。頂上で昼食とする。
竜良山から下り木槲山への鞍部に着く。この峠は浅藻部落と内山集落を結ぶ峠道と思えるのだが今は浅藻からの道が廃道の様だ。
鞍部から木槲山は往復なのでザックは置いても良しとする。
ここも踏み後やテープは少なく、コースリーダー2人が大活躍。
501mピーク手前で5~6mの岩稜があり全員安全に抜ける。(研修会経験済)
木槲山(515m)の山頂部は、NTT対馬、市消防無線等他3局くらいアンテナ塔があり、山頂まで車道が来ている。三角点もコンクリートで固められているかと心配したが、山頂の一角は5m四方くらい自然の山頂を残してあった。
標識取付、記念撮影のセレモニーを終わる。これで無事に対馬9座を完登することが出来た。
登った跡をなぞりながら鞍部まで戻る。
竜良山の北西斜面は、縄文の森林相を留めるものとして国の天然記念物に指定されている。
鞍部からの下山道は、此の天然記念物の中を通っており、スダジイやイスノキの巨木を眺めながら行く。
森の中は人の手が入ることなく台風や樹齢による倒木も自然になすがままであり、巨木の倒れた後は樹冠部分が広がり、陽が差し込み、次世代の苗木が芽吹く準備をしている。
また板根(ばんこん)と言われる樹木の根の上部が平板状に肥大した木が多く見られる。
この日も鮎もどし自然公園の駐車場にデポした車で内山峠まで戻り、駐車場にとって返す。
ホテルでは対馬最後の夜なので乾杯で締めくくる。
行動時間:7時間35分  9.6㎞  登り580m/下り867m
コースタイム:
内山峠8:50~10:20萱場山10:50~11:50竜良山12:50~13:10鞍部13:20~14:10木槲山14:35~14:55鞍部15:00~16:25竜良山登山口

終わりに
よくぞ3日間で対馬の山を9座、登ったものである。男4人女5人平均年齢75歳、一人も欠ける事なく全員登頂を成し遂げた事。
そして此のパーテイを楽しくしたのは、各々役割をもって9座を登った事である。
まずはコースリダーをお願いした山上さん、コースリーダーをサポートした木場さん、7座の標識を背負って設置した金木君、対馬の情報収集と現地の情報窓口である「対馬情報館ふれあい処つしま」の西氏と連絡を取り合い、例会の骨子を作ってくれた西川Aさん、対馬例会の当初予算を、Go Toトラベルと長崎県のしま旅わくわく乗船券クーポンをフルに活用し、アッと言う費用にまとめた栗崎さん、そして例会を楽しく盛り上げてくれた女性の皆さん有難う御座いました。
参加者:
 CL:田尻S、SL:西川A、山上、金木、栗崎、 西川I、中島H、木場、田尻H  計9名