第1817例会 比叡山

今泉

 今回のメンバーは、三田会長、下松八重さん、東Tさん、伊達さん、吉村さん、大塚さん、東Rさん、今泉の8人。新人2人にとって初のマルチピッチクライミング。
 当初は天候不良が予想され開催自体が危ぶまれていた。中止か比叡か、それとも日向神か・・・。
台風24号が過ぎ去って大丈夫と思った矢先の台風25号。進路は九州直撃ではないものの暴風円内に入る予報。どうなるか気持ちがもやもやしていたが、日頃の行いが良かった(?)こともあって、何とか10月7日(日)以降は天気が回復する見込み。
三田会長から早くても6日(土)の昼から比叡に出発すると2日前に連絡が入った。
 10月6日(土) 出発が10:30と予定より早まったので、バタバタと準備を行い(反省)、東Tさんと吉村さん合流し東Tさん号で出発。
今村PAで三田会長、大塚さん、東Rさんと合流、日田のセブンイレブンで下松八重さんと伊達さんと合流した。
高千穂のスーパーで食材を買い出しし、今回お世話になる菅原公民館に16時過ぎに到着。
台風の影響のせいか2日間貸切状態である。現地は思いのほか太陽が出ており、台風の影響はなさそうだった。
今日の晩御飯は鍋!外に出て明日登る比叡を見ながらビールで乾杯し、みんなで鍋を囲んだ。
 10月7日(日) 朝5:00起床。
 8:00過ぎにTAカンテに到着。
登る岩を間近に見て「ここ登るのか・・こんなに高さあるの?」と不安がよぎる。
実は高いところは苦手な私。今日のパーティーは①三田、東R、東T組 ②伊達、大塚組 ③下松八重、今泉、吉村組の順番で登った。
前の2組が登り終え、トップの下さんに続いてスタート。下から見ていると楽に登れそうだったのに実際に岩にとりつくと、「え!?どうやって登るんだ・・・」初っ端から?マーク。
体からは嫌な汗が。深呼吸しながら「自分はいける!」と言い聞かせて、まずは1ピッチ目完了。
その後は下さんと吉村さんが交互にトップをして、ラスト1ピッチは私がトップで行かせてもらった。
いざトップでと意気込んだもののトップとセカンドの差は想像以上だった。数メートル間隔でクリップできる人工壁と違って、ここは全然アンカーがない。
下手に落ちると十数メートルは落下してしまう。「これは落ちたらただじゃ済まない・・・」とあせりと恐怖心に支配される。
何とか岩にしがみつきながら頂上に辿り着いたが、もう腕がパンパンだった。そして2人が上まで登ってきて3人で握手を交わす。
先に登った2組と合流し装備をザックにしまって下山。(14:45駐車場着)
ザイルとつながっていない分、意外と下山が恐ろしかった。
下山途中に岩屋に立ち寄りみんなで岩をもちあげてみる。(もちろん岩が持ち上がるわけではないが(笑) )
下山後、温泉で汗を流し、昨日ですでに足りなくなってきた吉村さんが大好きなビールを追加購入する。
ちなみに、男湯では東Tさんのお尻が窪みにはまるハプニングがあった。(みんなで爆笑)
今晩は大塚さん特製の煮込みハンバーグをいただきながら今日のクライミングの感想をみんなで語り合った。
 10月8日(日) 4:30起床。予定では5:00起床であったが、大音量の目覚ましでみんなを眠りから起こしてしまった・・すいません。
朝ごはんをしっかり食べ、公民館の片づけをして7:00頃に第1スラブに到着。
昨日もだったがクライミングする人は少数でほぼ岩場を貸切り状態。
今日のパーティーは①伊達、大塚、今泉組 ②三田、東T組 ③下松八重、東R、吉村組の順である。
私としては昨日トップで登れたこともあって今日は大丈夫だろうと思っていたが、これが想定外。もう必死だった。写真を撮ったり景色を楽しんだりする余裕が全然なかった。
トップの伊達さんが途中で視認できなくなるルートでは、大塚さんと「どうやって登るんだろう?」と悩みながら登り、伊達さんがノーマルルートではなくスーパーを登っていったルートでは、大塚さんと大苦戦した。
また、トップで登ってビレイする際に、ATCのセッティングが悪かったため、2人を引き上げるのに体力をかなり奪われてしまった。
大量の汗をかいてヘロヘロ状態だったが、やっとの思いで頂上に着いた時の達成感はすばらしかった。
うまく言葉で表現できないが、「何で自分はここに来ているんだろう、キツイから帰りたいな・・」と思っても、この達成感があるから山に行ってしまうんだろうなと思ったしだいである。
14:00頃に駐車場に到着し帰路に就く。
途中、大観峰で休憩し21:00頃長崎着。
 今回、初のマルチピッチということで、リーダーの下松八重さんをはじめ、皆様には大変お世話になりました。
権現岩の研修会やシーハット、ボルダリングジムで練習してきた成果が出たと思っています。
来年は新たなルートを登れるよう頑張ります!
参加者:
CL:下松八重、SL: 三田T、吉村、東T、伊達、大塚、東R、今泉  以上8名

比叡山感想

伊達

 今年の比叡山は、例年とは違った想いで臨んだ。
私も古希になり体力的にも下り坂、自分の体力・技術がどれほど通用するのか?
また、2年目を迎えている月3回程の福大OBとのウォールクライミングの成果が実際の岩場で役立つか?山岳会の新入会員に対するクライミングでの援助。
この3課題を実践で試そうと気合が入った。以下は帰ってからの自己検証を加えた報告である。
 1日目TAカンテ。1ピッチ目は思わぬ苦戦。
2ピン目、3ピン目は体勢が悪くクリップ出来ず飛ばしてしまった。落下の危険は無かったものの最低でもどちらかには掛けるべきだった。
そのせいでバンド上の雑木の根元に支点を取る羽目になった。まだまだ未熟であると実感させられて情けなかった。
 その後は適宜、難度を見ながらOさんとトップを交代しながらの快適な登攀であった。
このルートは去年2日続けて登っており小手調べの筈だった。
 反省点は1ピッチ上記以外には無かった。新人の力量はビレイ時垣間見たが思ったよりしっかり登っている印象だった。
 2日目第1スラブ。今回の本命である。
1ピッチ目。1番目の登攀でしかも新人のI君とOさんの2人なので軽い緊張感を覚えながら登る。
ルートの偵察、ピンの位置を確認しながらの登攀は楽しくもあり不安もある。
2ピッチ目、I君にトップを頼む。ピンが遠いのだが安定して登っていた。
3ピッチ目、思わぬ苦戦となる。リッジ上を忠実に行けばいいのにちょっと弱気になり過ぎ左に回り込んだためロープの流れが悪くなり、リッジに戻るのに余計な力を使ってしまった。矢張りチャレンジ精神を失ってはいけない。
4ピッチ目の亀の子スラブはルート中の核心部と思っていたのにすんなりと登れた。ホールド、スタンス共に慣れが出てきたのだろう。次第に気合が入ってきた。
5・6ピッチ目。ここもI君に任せる。5ピッチで切るかと思いきやロープはどんどん伸びて50mロープかつかつ。どうも6ピッチ目に突入した模様。ロープの残りのコールを繰り返す。
案の定ビレイ解除後、なかなか「登って来い!」のコールが掛からない。確保態勢に苦労しているようだ。
待つこと5分、やっと「登って来い!」のコール。これも経験だ。
気温が上がり大汗をかいて登る。眼下には綱の瀬川がとうとうと流れ、向かいは矢筈・丹助の山。絶景である。
7ピッチ目。ここから以前薮に入ってしまった経験から右のルートを取った。
難ルートと思ったが、3ピッチ目で逃げたのでここは果敢にチャレンジ。リッジからフェースへ乗り込むスタンスが決まらない。途中で一息入れた後、スリングで鐙として何とか突破。
後はスメアリングの連続でやっと登り上がる。
帰って調べるとここは「V」レベル1峰最難関の「V」のピッチだった。難しいはずだ。
8ピッチ目。愈々最終ピッチ。I君にトップを頼む。快適なスラブを抜け登攀終了。
こうして暑さと緊張の中第1スラブを攻略した。我々にとって第1スラブは丁度良い難度のルートだと改めて思った。
第1の課題、私の体力・技術は一応合格点。体力的には標高差300m。難度はIV+。ここ辺りが安全・快適に登れるレベルであろうと結論付けた。
第2の課題、クライミングウォールとの共通として、
甘いホールドでの左右に上体を振り安定したスタンス。
細かいホールドでの手の使い方とスメアリング技術。
踏み出し足への安定した乗り込み。等である。
今後も通い続けてあわよくば技術向上したいが何とか最低でも技術を維持はしたい。
第3の課題、新人会員に対する援助としては、「ビッグウォールの実践登攀で経験を積ませること」だろう。
一緒に登ったI君は、我々2人を従えてトップで登ったことが何よりの訓練となったのではないかと思う。
私の山岳会活動のお手伝いの場はクライミングが一番相応のようである。
以上、今回の比叡山は楽しくも有意義な登攀であった。
今後は日向神の岩場を挑戦の場として取り組みたいと思った。