第1802例会 春山(白馬岳)

白馬岳 主稜A隊

三田 T

 昨年のGWに長年の課題だった剱岳北方稜線を完踏し、今年のGWはどこにいこうかと窪田君と思案した結果、日本のクラッシックルート〜アルパインクライミング・ルート集〜(山と渓谷社)のトップページにも出てくる白馬岳主稜を目標と決めた。
これまではベテラン組だけのハードなルート選定を行っていたが、今回は主稜(A隊)に加え大雪渓からのルート(B隊)も設け、頂上山荘小屋の幕営地でそれぞれのパーティが合流し、残雪期の白馬三山、鑓温泉を周遊する計画を立案した。
 4/14(土)に窪田邸にメンバーが全員集合、計画の内容・装備等について確認し、出発の一週間くらい前からは「てんきとくらす、気象庁」等のHPで天気予報をチェックする。山行期間中の天候は良さそうだ。
 4/28(土)AM4:30に高速今村PAに2台(三田車、倉嶋車)が落ち合い、現地までの長丁場の運転をスタートする。
いつもなら長崎を夜出発し現地には翌朝に着くパターンでGW期間中でも渋滞に会うことはなかったが、今回は早朝長崎発とあって日中走ることになり渋滞が予想されたため、名神・中央道経由ではなく山陽道〜播但道〜舞鶴若狭道〜北陸道を通り糸魚川ICで降りて猿倉を目指すこととした。
 途中、舞鶴若狭道は対面通行区間がありスピードが出せなかったものの渋滞に合うこともなく、また、休憩はトイレ休憩とガソリン給油の必要最小限とし、食事は車中でそれぞれ済ませることとした結果、明るいうちに猿倉荘に到着した。(もう少し余裕を持って休憩時間をとるべきであったと反省)
 猿倉では翌日の出発を考えて猿倉荘素泊まり(6,300円也)とし、夕食は途中コンビニで調達、ビールで山行の成功を期し乾杯する。
 4/29(日)まだ暗い中、ヘッドランプを点けて猿倉荘を出発、白馬尻手前でB隊と分かれ、主稜の取り付きを目指す。
 主稜は末端の八峰から頂上まで八つの峰で構成され、稜線を辿り約1400mの標高差をひたすら登ることとなる。
我々の前にはすでに幾つかのパーティが各峰を登攀しているのが見える。今年は
雪が少なく、稜線上ではシュルンドもあり、早い時間に突破しないと雪が崩れそうな箇所もあった。
今回の計画では、GWの混雑等を予想して稜線上に1泊する計画を立てていたので、適当なテン場はないか探しながらゆっくり進む。
資料では六峰、二峰の登りは傾斜が急ということであったが、大したこともなく順調に高度を稼ぐ。
   
二峰を越えたところにあるコルを含め、途中、テン場に適した箇所はいくらでもあった。さすがに頂上に至る最後の雪壁では4人パーティが取り付いており順番待ち。
我々は、頂上村営宿舎で幕営するため時間はいくらでもあるので後続の3人パーティと単独行者には先に行ってもらうこととする。
雪壁は雪が少ないせいか途中の岩が露出しておりビレイポイントもあったので、そこまではノーザイルで登り、最後の30mほどは窪田君からトップを譲ってもらいザイルを付けて登ることとする。
雪の状況からピッケル1本のみでもよかったが、せっかくなのでスノーバーでランニングを取り、峯さんから借りたアックスも使って頂上に辿り着く。
セカンドの伊達さんはユマールを使っての登攀、ラストの窪田君をスタンディングアックスビレイで確保し、全員頂上に登り上がってがっちり握手する。
頂上が終了点という明確なラインの主稜ルートはなかなか醍醐味もあって面白かった。
   
時間はいまだ14時ということで、自分にとっては21年前のGWに下さん、東さん、窪田君と踏んで以来の頂上をゆっくり楽しむ。
快晴、微風の山頂からは毛勝三山、剱岳、笠ケ岳、鹿島槍、槍ヶ岳、南アルプス、富士山、八ケ岳、黒姫山、妙高山、火打ケ岳等、360度の大展望である。
 1時間ほど頂上を楽しみ、白馬山荘に立ち寄りトイレをチェック、財布にやさしい無料トイレであることを確認し、今日のテン場である頂上宿舎を目指す。
 時間的にB隊は到着しているはずなので、張ってあったモンベルの黄色いテントに手を振るが、近づくにつれてどうも違うことがわかり、周辺も探すが姿が見当たらない。
何かあったと思い、窪田君がTELで確認した結果、倉嶋さんにアクシデントがあって猿倉まで戻ったとのこと。まずは行動の確認ができてホッとする。
 テン場は稜線上で風が強いこともあり、積雪はなく張綱と石でテントを固定する。
設営後は荷物の軽量化の代わりに担ぎあげてきたビール、焼酎等で乾杯。伊達さんもウイスキーを持ってきている。何をしゃべったか忘れたが、つまみと夕食で腹いっぱいになり就寝。夜、風強し。
 4/30(月)今日は小蓮華山までだけなので朝もゆっくり。B隊は大雪渓を再度トライとのこと。
天気は昨日より少し雲がでている程度だが、少々風があり気温も少し低いようだ。白馬山荘でトイレを済ませ、今回2度目の白馬山頂を通り、ゆっくりと小蓮華山まで往復する。
雷鳥君にも出会うことができ、途中のポイントでは昨日登った主稜線のルートがよく見える。
復路の白馬山頂でB隊と合流することとしていたが、なかなか姿が見えず、少々冷えてきたので白馬山荘まで戻り連絡を取るが繋がらない。
心配して伊達さんと窪田君が捜索がてら迎えに行き、私は白馬山荘に残っていたが、14時前に山荘に登ってくるB隊の姿を確認しホッとし、労いの言葉をかける。
どうも伊達さんと窪田君とは行き違ったようだ。
B隊は少し休憩の後、白馬山頂を往復、戻ってきてからは山荘の土間で、7人の再会を祝し冷えたビール(800円也)で乾杯。皆に笑みがこぼれる。
 白馬山荘素泊まりのB隊を残し、A隊はテン場に戻る。山荘で買ったビールで再び乾杯、今日も何をしゃべったか忘れたが、またまたつまみと夕食で腹いっぱいになり就寝。昨夜よりも風強くテントが揺れる。
 5/1(火)今日は杓子岳〜白馬鑓ヶ岳〜鑓温泉を経て猿倉へ降りる長丁場のコース。
 AM4:30にB隊と合流し先を目指すこととするが、倉嶋さんは体調を考慮し田尻さんと大雪渓を下ることとなった。
夜中は星が見えていた空も出発時はガスっていて、出だしのルートファインディングに少々戸惑う。
前日のうちにルートを確認していなかったことを反省。風が強く、まだ陽も上がらないうちの歩き始めは寒く、そういえば21年前の稜線歩きも風が強かったことを思い出す。
稜線上は雪もついておらず、最初にアイゼンを着けたあとははずして歩く。白馬岳を杓子岳、白馬鑓ヶ岳から振り返りながら歩を進めるとようやく鑓温泉との分岐。
ここからは雪渓の下りとなり、風もなくなるのでゴアカッパの上着を脱いで、途中シリセードも交えながらどんどん下る。
 温泉には10時着。着替えるところはなく、最初から履いていた海水パンツになって湯につかる。
温泉は最初熱く感じたが、徐々に慣れてくる。熱いときは回りの雪を崩して温泉に放り込む。小日向山をはじめ雪を纏った峰々を見渡せ最高の気分である。
ゆっくりと湯に浸かり、11時に鑓温泉を後にしてどんどん下り、最後の小日向のコルを越えて14時前に猿倉着。先に降りていた田尻さんと倉嶋さんと合流する。
 鑓温泉には入ったが、また汗をかいてしまっているので、下山後は再度温泉ということで、「みみずくの湯」できれいさっぱり3日間の汚れを流す。
ここの温泉は露天風呂から白馬の峰々が一望でき、最高の展望である。紹介してくれた倉嶋さんありがとう。
温泉の後は腹ごしらえということで、道の駅で信州の蕎麦定食を食べ土産物をゲット、帰りは平日なので渋滞なしと判断して中央道と名神道経由で長崎へ戻る。
 今回の山行は3日間とも晴天に恵まれ、A隊としては予定どおりの山行となった。
B隊は、途中アクシデントもあったが、隊としての行動を立て直して白馬岳山頂を踏めたのは、的確な判断と皆さんの頑張りの結果だったと思う。
ちなみにGW後半の白馬は大荒れとのことで、つくづくGW前半でよかったと思う。
山は天候次第なので、長崎から中央を目指すような山行については、休みに余裕がある場合は、天候をにらみながら山に入る日を決めてもいいかもしれない。
 個人的には、左膝に不安を抱えていたので、いかに荷物を軽量化するかに腐心した。
事前の気象情報で期間中は冷え込みがないとみて、シュラフは3シーズン用にして冬季用より1キロ軽量化、そのほか、衣類や食器類、行動食も数を絞った。(アルコールは別だが…)
結果、総重量は17キロ台に抑えることができたのではないかと思う。ただ、登りは大丈夫だったが、脚に負担のかかる下りでは左膝が痛みだして皆より遅い歩調となり迷惑をかけてしまった。
今の状態では2泊3日が限度、しばらくは安静にして完治に努めたい。

コースタイム:
▼4/28(土)04:00長崎発=18:00猿倉荘到着
▼4/29(日)03:00起床、04:05猿倉荘〜(途中でA,B隊に分かれる)〜05:45白馬尻06:05〜07:05 1900m 07:20〜09:00八峰〜09:30 2300m〜10:00 2400m〜11:00五峰〜12:00 2700m 12:15〜12:35二峰、ハーネス装着13:20〜白馬岳頂上直下の雪壁登攀〜13:55白馬岳主稜完登〜14:10白馬岳頂上14:40〜15:00白馬岳頂上宿舎(幕営)
▼4/30(月)07:30白馬岳頂上宿舎テン場出発〜08:15白馬岳08:45〜10:25小蓮華山10:47〜12:33白馬岳〜13:44 B隊白馬山荘到着しA隊と合流。B隊は白馬山荘素泊まり、A隊はテン場へ。
▼5/1(火)02:30起床、A隊テント撤収、04:30 B隊合流・出発(倉嶋さん体調不良のため田尻さんと大雪渓経由で猿倉荘へ下山)〜6:45杓子岳〜08:10白馬鑓ヶ岳08:20〜08:43鑓温泉分岐〜10:00鑓温泉10:55〜12:31小日向のコル〜13:49猿倉荘駐車場着。16:30に長崎へ向け帰着の途。5/2(水)08:00頃長崎着

 

白馬岳 大雪渓ルートB隊

田尻 S

4月29日(日)
猿倉荘を主稜線組と我々大雪渓組は同時に出発する。白馬尻小屋付近に着く頃には一段と明るさを増す。今日の好天を約束する天の青さと、風のやさしさにニンマリとする。
白馬尻小屋付近で、主稜線のバリエーションに挑む3人組と分かれ、我々4人も身支度を整え雪渓を歩き出す。気温もソコソコ下がっておりアイゼンの効きも充分である。
最初の急勾配雪面手前で思わぬアクシデントに見舞われる。メンバーの一人の両足が攣ったとの事。
片方の足の攣りは自分も経験し、他でも良く聞くのだが、両足とは、容易ならざる事。
他のメンバーが靴を脱がせ、入念にこむら返し対応のマッサージを30分程繰り返す。
本人の痛みと、気分も良くなったのでここから猿倉荘に引き返す決断をする。
本人は気丈にも大丈夫と言うが、ここから進んだ雪渓上で同じことが起こると、進むも退くも難しくなるので8時頃に引き返す。
猿倉荘に引き返し、テントを張る事とする。一般車両駐車場横の高台に良いスペースがありさっそく雪ならしをする。無論他にテントなぞは見当たらない。
テントに潜り込みウトウトしたり、ダべったりする。それでも時間は充分あり、来る時に猿倉荘までの道のりで気になった温泉、「おびなたの湯」に様子を見に行こうとなり、当然そのまま入浴となる。
脱衣所の横がいきなり露天風呂の野趣溢れる温泉であった。
テント場に帰って気がかりなのが、主稜線組との連絡である。アクシデントによる日程の変更を伝えていない。幾度となく携帯電話通話を試みるが通じない。
長崎経由も試し、こちらの状況を伝えてもらう。翌日には主稜線組と直接連絡が取れ一安心である。
明日は、白馬山荘素泊まりとして、山頂を目指す事になった。
5月30日(月)
今日は白馬岳へのリベンジとばかり、朝3〜5時とするが出発は5時10分頃となる。
途中泥に汚れたデブリを乗り越え、白馬尻付近に着く。今日も良い天気だ。空が高くて青い。
支度を終え、まだアイゼンが好く効く雪渓を歩き出す。
緩やかに見える大雪渓であるが、起伏もあり、傾斜のきつい雪面が立ちはだかる様は体力を奪うのに充分である。
最後の小雪渓を登る途中に雷鳥を見かける。会いたいと思っていた春バージョンのぺア雷鳥だ。
雪渓を登りきると山荘が見え、今日の登りの終わりが近付いた。
山荘前には三田リーダーが待っており、雪渓組を労ってくれる。猿倉荘を出て8時間30分のアルバイトである。主稜線組と合流出来て例会の山行目的を達成し大きく安堵する。
山頂往復後、山荘の土間を借りて合流の祝いをする。酒が入れば声も高くなり他の人には少し迷惑ではと、小さく反省する。
酔っぱらった3人組はどのようにして白馬岳頂上宿舎のテント場まで帰ったのやら。
5月1日(火)
白馬山荘を早朝4時10分頃出発し、主稜線組のテント場である山頂宿舎に着くと、彼らはすでに用意はできていた。
山荘で良く眠れなかった足攣り人の体調が今一優れず、一緒に大雪渓を下りる旨リーダーに申し出て、了解を貰う。
大雪渓の登りはゼイゼイ、下りはルンルンの気分、猿倉荘まで3時間40分で下って来る。
雪渓組はアクシデントもあったが主稜線組とも合流し、白馬岳山頂にもタッチ出来た。
二人は主稜線組と共に白馬三山を縦走し、白馬鑓温泉では念願の雪中入浴を果たし、計画の大半を達成できて満足している。
何にもまして、好天を恵んでくれた白馬(ペガサス)に感謝したい。

コースタイム:
▼4月29日 白馬尻小屋付近6:10〜7:20第一雪面下8:00〜9:40猿倉荘
▼4月30日 猿倉荘5:10〜6:40白馬尻小屋付近7:00〜大雪渓〜13:50白馬山荘14:00〜14:20白馬岳頂上14:30〜14:50白馬山荘
▼5月1日  白馬山荘4:10〜4:30白馬頂上宿舎4:50〜7:20白馬尻小屋付近7:20〜8:30猿倉荘
 

刺激的ルートと会員ステップアップの残雪期の春山を求めて

窪田

 昨年の剱北方稜線を終え何となくやり尽くした感がありポッカリと心に穴が開いてしばらく積雪期の春山はのんびりしたいと思っていた。しかし、人間は貪欲な生き物で、一旦刺激の強い興奮を覚えるとありきたりの刺激では満足できないようにできている。
果たせるかな夏には翌春山シーズンの刺激的なルートを探している自分がいた。そんな時、山と渓谷2014年5月号のバックナンバーをパラパラめくっていて、真っ白な尾根を行く4人が目に飛び込んできた。「白馬岳主陵」だった。
「最大の魅力は幾度も屈曲する真っ白な雪のリッジ。世界の高峰へ登る夢を胸に秘めて日本を代表する雪稜のバリエーションルートに登る」(山渓から引用)というキャッチーなコピーも気に入った。…というのが今回の発端であった。
 例会予報を載せる段では、三田さんと打ち合わせて、アルプス5月例会はこれまでベテランだけの我が儘放題の計画で、雪山に行きたいと思っているかもしれない会員に配慮不足だったことを反省し、ベテランが主陵、ビギナーは大雪渓にルートを取り、白馬三山を周回するベテラン・ビギナーにも満足できそうな計画とした。
 参加者を募るとリーダ・サブリーダの他、伊達、田尻S、倉嶋C、大塚、川添5名の参加。
A隊(主陵ルート)はリーダ三田T、サブリーダ窪田、伊達の3名。
B隊(大雪渓ルート)は田尻Sリーダ、川添サブリーダ、倉嶋C、大塚の4名の編成として、猿倉荘からそれぞれ白馬岳を目指し、白馬三山を巡り、鑓温泉経由で猿倉荘へ戻る周回コースとした。
 行程三日間とも快晴に恵まれ、春山としては少ない積雪と残雪照り返しの暑い山行となり、B隊では暑さのせいもあったのか体調不良のアクシデントで行動予定変更にはなったが、ほぼ計画通り白馬三山を巡ることができた。
 A隊は、例年より積雪が少なくて白馬主陵下部がブッシュやクレバス等々でかえって気を遣う大変な所が何カ所かあり、頂上直下の雪壁よりむしろ核心部だった。
 B隊メンバーも色々なことを経験してもらいながらも白馬三山を巡れたことはステップアップにつながったのではないだろうか。
 自分の反省・課題について触れておきたい。
猿倉から白馬山頂までの主陵1700mを一気に登ったせいか、軽い高山病に罹ったのかもしれない。軽い頭痛と足取りが重くなりペースが落ちてしまったことを反省点の一つとしておきたい。
また、自分のザックは22kgぐらいになったが、“まだまだいけるじゃん“との体力の自信にはつながりはしたが、三田さん・伊達さんの装備軽量化を見習い、装備を新調し軽量化を進めていくことも今後の課題にしたい。
 ともあれ、私としては念願の鑓温泉にも浸れて大満足である。
今回もまたまた刺激的な山行になってしまった。ああ、これだからやっぱり山はやめられない。
参加者:
 A隊 CL:三田T、SL:窪田、伊達
 B隊 CL:田尻S、倉嶋C、大塚、川添
      計7名

主稜線からの白馬三山

伊達

 4月28日(土)5:30神辺高速バス停で三田号に乗る。久しぶりの中部山岳登山で期待と不安の中、白馬に向かう。
メンバーの事前準備のお陰で高速は順調で予定通り明るい内に猿倉荘に到着。ビールで明日の健闘を祈念し、持参の夕食を摂って寝る。
 4月29日(日)愈々念願の主稜線チャレンジ。インターネットの記録では経過時間がまちまちで稜線中に幕営するか判然としないが覚悟してスタート。
白馬尻手前で大雪渓隊と別れてルートを確認しつつ歩き、雪崩のデブリを横切り取り付き点で大休止。急斜面を目の当たりにして気を引締める。

18s余りの荷物が肩に食い込むが気が張っているせいか何とか登れそうだ。踏み跡を忠実にたどるが、雪が少なくブッシュ帯を抜けるのに意外に苦労する。
慣れないストックも時折邪魔になる。気温が高く雪も適度に腐っていてリッジの通過も不安は感じない。
汗をかきながらの登攀となる。振り返ると猿倉荘の駐車場も眺められ快適な稜線歩きとなる。

 八峰を過ぎるとピーク毎に幕営の跡が点々とある。北側は白馬沢越しに小蓮華山、大雪渓越しには杓子岳が雪を被って輝き素晴らしい眺めだ。
後方には妙高の山々も見えてきた。ほとんどのパーティーは軽量で山頂まで一気に抜ける様だ。歩荷しているのは我々だけ。
 快調に高度を稼ぎ、最後の雪壁の下では大休止、2パーティーを先に行かせる。
愈々核心の雪壁だが中間まではロープを付けずに行く。最後の雪壁はロープを付け、三田さんがトップで窪田君の確保で私は中間、生まれて初めてユマールを使う。

難なく抜けて14時過ぎには山頂着。三田さん、窪田君の気遣いでゆっくり歩いてもらったし、コンデションも最高で本当に快適な稜線で疲れもあまり感じなかった。感謝・感謝!!
 山頂ではのんびり景色を満喫。北は富山湾から日本海、西南には剣・立山の連山に奥手に白山、南には後立山の山々が眺められた。遠くには中央・南アルプス、八ヶ岳、富士山も見えた。
時間がたっぷりあって写真も撮りまくる。
 白馬岳頂上宿舎の横にテントを張り、私はウイスキー、2人はビールと焼酎で安着祝い。山談義に花が咲き気持ち良く酔って寝る。

 4月30日(月)今日は小蓮華山までの稜線歩き。のんびり・まったりの雪稜歩き。雪解けが進んで夏道と雪道の半々の行程。荷物は軽いし、アイゼン無しなので快適な雪山散歩となった。
 大雪渓隊と白馬山荘で合流し、ビールで乾杯。気分がハイになって、焼酎もグビグビ。いい気分でテントに戻り、更にテント内で2次会?山行が終わったかのような解放感で飲み過ぎてしまった。
 5月1日(火)4時半杓子岳に向かって出発。登りでは全くピッチが上がらずゼエゼエ喘ぐ。
高度障害はなかった筈なのに飲み過ぎに違いない。天気は良いが強風で寒く雨具を着て歩く。
杓子岳は何とか超えたが慣れないストックワークでも戸惑ってうまく歩けない。

ここは耐えるしかない。
鑓ケ岳の登りでは必死の形相となった。
わがまま言って休み、パンを腹に入れたら少しは歩けるようになった。いい年をして情けなかった。やっとの思いで白馬鑓ケ岳山頂にたどり着く。

 下りに掛ってもやっぱりストックとの相性が旨く行かずバランスは最悪。途中からストックを突かなくなったらやっとバランスを取り戻した。ストックに頼って後傾になっていたのだ。
 念願の白馬鑓温泉は閉まっているかと気落ちしかけたが、スキーヤーが「奥ですよ」と教えてくれた。お湯は熱かったが先客のスキーヤーが雪を入れてくれていて何とか入れた。
文字通りの源泉かけ流しは最高だった。着替えてTシャツになったら何と爽やかな事か。日焼け止めを塗りまくって歩く。
 小日向乗越しではまたもペースダウン。やっとの思いでついていく。もう酒は抜けた筈だし、やはり年か?先頭の窪田君は器用にストックを操っているのに・・・。
更にだらだらと下り14時前には猿倉荘駐車場に着いた。
 帰りは改めて温泉に入り、そばを食べて帰途に就く。高速も空いていて順調に走って、5月2日の6時頃鳥栖に着いた。
 飲み過ぎの他は順調な山行だった。気掛かりだった登りは杓子・白馬鑓、小日向越えで足を引っ張ってしまったが前半は酒のせい?後半は老齢のせいかな?
帰ってから全く筋肉痛が無かったところをみると頑張りが足りなかったか?以後山中での過度の飲酒は慎もうと思った。
久し振りに春の雪山を満喫できた。今回の山行で三田さん窪田君と主稜線を一緒に登れたことはいい思い出となった。
矢張りテント泊の山は良い。今後もトレーニングに励み、テント山行を楽しみたい。