第1763例会 大崩

三里河原〜鹿納山〜五葉岳

田尻 H

4/28(金)
 今村PAに17時30分、参加者6名が2台の車で集合し、今晩の宿泊地である「道の駅宇目」を目指す。
今回の参加者は東、平田T、橋口、福田、大塚、田尻Hの男性3名、女性3名、年齢も40代から70代と、とてもバランスが取れている???
22時過ぎ、「道の駅宇目」に到着し、建物の横に2つのテントを張る。時々通るトラックの音を気にしながらも就寝。
4/29(土)
 4時起床。テルモスのお湯を沸かし直し、テントをたたみ4時30には出発。
6時前には上祝子(かみほうり)登山口到着。連休で車の混雑を心配していたら、思ったより駐車してある車が少なく、登山口近くに2台分のスペースを確保出来て一安心。
朝食を取り、装備をパッキングし、6時45分いよいよ山中1泊の縦走が始まる。
 歩き始めると左手下には巨岩と澄んだ水の祝子川(ほうりがわ)、登山道の新緑の木々が美しく、緩やかな一登りで7時25分大崩山荘に着く。無人の小屋なのに何時もきれいに使われていて感心する。
その先は大崩山系らしくハシゴやロープがある登山道を行く。
明日降りてくる予定の喜平越谷出合を過ぎ、左手の木々の間からは、小積ダキや坊主岩も見える。
巨大な花崗岩のスラブの五葉ダキで休憩し、9時50分吐野(はけの)に到着。
吐野からは祝子川に降り、渡渉したり右岸に上がって苔むした踏み跡を歩いたり、時々現れるピンクリボンを頼りに進む。
水深の深い所は澄んだ水が美しく、浅い所は滑床を滑るように清流が流れていて三里河原ならではの風景。
だんだんリボンや目印も少なくなり「正規のコースですかね〜」と誰か呟いたような。それでも権七小屋谷の標識を見つけて一安心。
この頃になると空が陰りパラッと雨が落ちるが、その後又青空になる。
 権七小屋谷入口は名前に似合わない明るく開けた広い場所になっている。この先はガレた沢になっているので、注意して歩こうと確認したはずだったが・・・
しばらく沢を詰めると岩棚が現れ、登るのが難しくなって来た。GPSを確認すると本来のコースから左に外れている事に気が付く。
戻るにもやっかいな登りだった事もあり、東さんが補助ロープを出してくれ、それぞれ簡易ハーネスを作り確保してもらって登る。
その後もちょっとした岩があり、その度に東さんが身軽に登り我々を確保してくれる。
稜線が見えてからは、足を置くと落石するますます嫌なガレた登りになる。
以前、やはり間違って左手の沢に入って大変だったという記事をネットで読んだ事があったので、稜線には出られると思ったが、やはり気が付いた地点で引き返すべきだったか。
やっとの事で稜線に上がれて安心するが、喉は乾いているし、肩や腰が痛いと悲鳴を上げる。そこからテント予定地までの15分位の小さな登り降りはきつかった。
これもズルズルと滑るガレた急坂だが、水はブナの木の根元から湧き出ていて、冷たくて美味しい。
17時過ぎにやっとテン場に着き、3人はテントを張り、3人は水を汲みに正規のルートを10分位降る。
細い流れだが水量もあり、全部で15L汲むのにたいした時間はかからず助かった。
夕食は、ビーフシチューとサラダ、キュウリやリンゴの瑞々しい味が格別。
19時過ぎには、オレンジ色の夕日が日之影方面に沈むのを見て寝袋に入る。
4/30(日)
 4時起床。5時半には出発準備が整うが、東さんの○○○がない!!探しても見つからないし歩くのに支障がないので、鹿さんの為に?置いておく事にして5時50分出発。
今日も良いお天気。
鹿納山〜鹿納の野〜お姫山〜五葉岳の稜線は岩尾根の小さなアップダウンが連続する。
ついつい巻き道を行こうとして、お姫山の山頂を踏まないで歩いてしまった。
昨日の強行な登りでお腹が一杯。でも今回の山行で唯一の山頂になった五葉岳では記念写真を撮る。
 この先、夏木山分岐までは緩やかな降りになり、ヒメシャラとブナの林だが、枯れた木、倒木が増えている。
特に今年は木々の芽吹きも遅いようで、ちょっと寂しい景色に感じる。
夏木山からの帰りのグループによると、夏木山頂のアケボノツツジも今年はまだ蕾だったと言う。
その後夏木山分岐から県境尾根に入ると、今が見頃というアケボノツツジが見られるようになり、爽やかな風にやさしいピンク色の花が揺れている。
尾根を忠実に辿りながら歩くが目印が少ない。近眼だという理香さんが遠くにあるテープやリボンを見つけてくれる。
縦走路からは祝子川を隔てて、昨日苦労して登った(であろう)沢、テントを張った鹿納尾根、鹿納坊主と言われる鹿納山の岩峰が正面に見えるようになって、大崩山の湧塚や小積ダキが対岸に聳える。
 12時40分予定通りの時間に喜平越に着き、急な斜面をロープや木の根にすがって沢に降りる。
そこからしばらくはガレた沢歩き。沢音が聞こえるようになると、テープがしっかり導いてくれる樹林の沢沿いの道になり、昨日歩いた祝子川の登山道に出る。
ここまで来るとホッとするが、大崩山荘までまだ1時間。午後からは暑くなり、山荘裏にある水場で喉を潤す。
光輝く新緑と祝子川を見下ろしながら登山口に15時10分着。
2日間とも行動時間9時間以上の厳しい山行が終わる。
今回も又、大崩は美しく、厳しく、懐の深い山だった。
その後「祝子川温泉美人の湯」で汗を流し、帰りは東九州道を使って長崎着は22時を過ぎていた。
現役組は翌朝から仕事と勉強、おばあさんはゆっくり休養。一番活躍したおじいさん、○○○はなくても大丈夫でした?

「大崩」の感想

平田 T

大崩山系の縦走コースに参加することにしたが、自身初の山中テント泊でもあり多少岳人らしき体験ができそうで期待も徐々に高まって行った。
4月29日早朝大崩山登山口より入山し、祝子川沿いの山道を坊主尾根の巨岩を左手に見ながら吐野まで登り、金山谷へ入り川原を歩き、流れを左右に跨ぎながら中瀬松谷吐合まで遡行する。
中瀬松谷吐合から左手の渓流沿いに方向を変え途中手短に昼食をとり、権七小屋谷吐合付近では大きなテーブル上の巨岩の連なる渓流に感嘆しながらほぼ予定通りのタイムであった。
権七小屋谷吐合で右手の渓流に方向を変えてこの沢筋をひたすら登れば、今日の宿営地の鹿納山南側のコルに午後3時頃には辿りつく筈である。
ここまでは方向転換の度に地図を確認しながら来たので順調な行程であった。
権七小屋谷吐合の上流は突如平らな山間の扇状地が広がり高木が適度の間隔を空けて生えており、日差しが十分に地面まで到達するため木立の間には苔の絨毯がしきつめられ、広大な庭園のような美しい場所であった。
以前は灌木がびっしり生えていて歩くのも困難だったらしいが、理由はよく解らないが低層の灌木が枯れてしまい高木のみが残り現在のような風景になったらしい。10年も経つと灌木が再生しこの風景も変化していくのであろう。
リーダーの田尻Hさんがみんなに見せたかったというだけあって幻想的な美しい場所であった。
扇状地を過ぎて沢をさらに登っていくと傾斜も急になりガレや倒木がだんだん多くなり荒れた様相となってきた。
段差の大きい岩場もあらわれて来て行く手を阻むようになりどうやら道を間違えたことに気付く。
途中で沢が二つに分かれていたらしく右へ行くべき所を左の沢に入ってしまったらしい。
先を見ると鹿納山の稜線までは何とか行けそうだったのでそのまま進む。
段差の大きな岩場数か所は東さんが先導しロープで確保してもらいながら進む。
稜線に上がる最後の部分は幸いに崖ではなく急なガレ場ではあったが何とか這い上がれそうであった。
先行者の踏み崩しによる落石が続き危険なため距離を置いて一人ずつ慎重に進み全員無事に稜線へ辿り着いたようである。
私は最後の稜線に上がる手前で別ルートを見つけガレも少なく容易そうだったのでそちらに向かう旨告げて登ってみたが、そこは本稜線から伸びた支稜線で枯れた笹竹様の植物の密生した急斜面をやぶ漕ぎしながらさらに150m程登る破目となった。
別行動を取ってしまったことを申し訳ないと思いながら、稜線上を皆のいる方向に向かい無事合流し約2時間遅れの午後5時にはテント場へ到着する。
テント場から10分程下った所には湧水があり乾ききった喉を十分に潤し生き返る。
山中のテント泊はなかなか快適であったが眠りについた頃、足元でごそごそ動くものを感じ驚いて目を覚ます。
生ごみをあさりに来たイノシシかと思いきや風でテントの裾が煽られて足に当たっていることが判り安心して眠りにつく。
翌日は鹿納山〜五葉岳〜要山〜木山内岳手前までの快適な稜線歩きで天候にも恵まれ楽しい山行であった。
祖母-傾山系、大崩山系はルートも多数あり奥が深そうでまた何度でも訪れてみたいと思える所であった。
コースタイム:
(4/29)上祝子登山口6:50〜7:25大崩山荘7:35〜8:35喜平越谷出合〜9:10五葉ダキ9:25〜9:50吐野〜11:45三里河原12:00〜12:40権七小屋谷出合〜17:00鹿納尾根〜17:20テント場
(4/30)テント場5:50〜7:20鹿納の野〜7:55ブナの三叉路〜8:35五葉岳8:45〜10:00夏木山分岐(要山)〜12:40喜平越〜13:40喜平越谷出合〜14:40大崩山荘14:50〜15:10登山口
参加者:
 CL:田尻H、SL:大塚、東、平田T、橋口、 福田  計6名