第1690例会 北アルプス穂高岳

金木

 思えば40数年前、学生時代に上高地を訪れた。槍ヶ岳、北穂高岳、涸沢と歩き、ある時は小梨平キャンプ場と槍ヶ岳の肩を1日で往復したこともあった。あの頃は若かった。それ以来である。
 今回は涸沢から北穂高岳、奥穂高岳、涸沢と奥穂高岳からジャンダルム、西穂高岳、上高地、又、吊り尾根、岳沢、上高地と3パーティで山行する事になった。

9/7横尾にて合流

9/8上高地にて合流
各々の都合で松本や涸沢で集合。我々6人は9月7日(月)、長崎を出発して松本へ。
8月の混雑期を避けていたのではあるが、ところがあろう事か台風18号が日本のすぐ南で発生。あっという間に長野に向かってやって来る。北アルプスは東側、風が強い。
この事は松本に着いてから知る。台風を連れて来た。
 翌日は上高地、河童橋。時季が過ぎているので客は少ない。久しぶり河童橋、梓川を左に見ながら小梨平を過ぎる。たまに登山者とすれ違う。明神館の前で小休止、トイレを済ませる。
目の前に明神岳がそびえている。静かな一時、ウェストンも涙したという徳本峠への分岐を過ぎ、徳沢園へ。小説「氷壁」の徳沢小屋として登場している。
そして横尾山荘へ。昔、立木と人物を逆光で昼間の月を撮った事もあるが、その大きな木はなく風景は殺風景となって味気無い。横尾大橋は立派になっている。ここで雨具を着ける。
台風が来ているので登る人はいない。横尾谷に入ると左側(右岸)に屏風岩の岸壁が現れる。
今年の7月29日この岩場で2人が滑落、遭難、ヘリコプターで助けられた報道があった。こんなすごい岩壁を登っていたんだ。
本谷橋の吊り橋を渡ると勾配がきつくなる。途中、若者が一人抜き去って行った。下る人はいても登る人はいない。右足が攣ってくるし息が荒くなる。
然うしていると涸沢小屋、涸沢ヒュッテ、涸沢岳が見えて来た。
 やっと宿泊小屋の涸沢ヒュッテに着いた。西川夫妻、川口夫妻らが迎えてくれた。
涸沢はカールだから風はない。上から下りて来た人によるとすごい風が吹いているそうだ。
日も落ちベランダに出ると北穂高岳小屋のあかりがわずかに見える。又穂高岳山荘も田尻会長に教えてもらってやっと見えた。
台風が来ているのにまったく静かな一時である。穂高の峰々が静かに暮れていく。しかし明日は下山することを決断する。普通の山とは違う。岩稜を縦走する事だ。又、いつでも登れる。
山小屋の料理は昔と違って豪華。大 変おいしかった。山小屋に泊まったのはいつの事か忘れてしまった。夜半からの風雨が強くなった。

9/9今から下山
 朝食をしているとすごい風で雨が横から小屋を吹き付けている。しかし、下山する時は風もやんで雨も小康状態に。
今朝の横尾谷はすごい川の流れと普段は見れない川の流れとなって谷を落下している。一番の圧巻は屏風岩からの滝、真っ逆様に流れ落ちる滝は、この雨量の時でないと見られない、すばらしい絶景である。
山には登れなかったがめったにないものを見せてもらった。横尾山荘前で休んでいると台風が過ぎ去った為、登山者がふえているがまだ尾根は危ない。
今日の宿泊先は徳沢園。「氷壁」の宿として有名だがあか抜けした宿泊施設だ。ソフトクリームが有名だそうです。
昼頃、早めに着いたので気分的にゆっくりなる。夕食もヨーロッパ風の食堂だそうで、肉もでて大変おいしかった。

徳沢園

松本民芸家具

朝鮮李朝家具

ヴェネチアングラスの動植物
  翌日(10日)は明神橋を渡り名ガイドの嘉門次小屋の前を通り、穂高神社奥宮で記帳してもらい、梓川ブロムナードを楽しみながら明神岳や岳沢を撮る。
野生の猿も目の前でたわむれている。岳沢小屋も見える。上高地からバス、鉄道を乗り継ぎ松本へ。
各々、食事や風呂、松本城見学の後、駅で解散となった。


「北アルプス穂高岳」概要とまとめ

田尻 S

概要
計画日時 平成27年9月7日(月)〜11日(金)
実施日時 平成27年9月6日(日)、7日(月)〜10日(木)

計画コース 
現地までの交通機関、出発日時を夫々自由にし、最終集合を涸沢ヒュッテにする
涸沢〜穂高岳山荘のコースも体力等により2コースに分ける
 ・北穂高岳〜涸沢岳〜穂高岳山荘組
 ・ザイテングラード〜穂高岳山荘組
穂高岳山荘より3コースに分ける
 ・穂高縦走組:奥穂高岳〜ジャンダルム〜西穂高岳〜西穂山荘〜上高地
 ・岳沢組:奥穂高岳〜前穂高岳〜岳沢小屋〜上高地
 ・奥穂高岳往復組:奥穂往復〜涸沢〜横尾〜徳沢園〜上高地
最終日の朝3コースが上高地で合流し帰崎

実施コース
参加者全員 涸沢ヒュッテ〜徳沢園〜上高地

まとめ
当初の計画では3組のパーティーに分け、夫々のルートを登る予定であったが、7日の朝突然に日本の南海上に台風18号が発生し、愛知県に上陸し北に進むという予報で、計画を見直す事態となった。
8日(火)小雨の中、涸沢ヒュッテに全員集合。

台風の日本上陸が、明日の穂高岳山荘への行動日とドンピシャ重なり、考慮の余地はない。全員での下山と決定する。
夕暮れの涸沢カールは地形のおかげか、台風を思わせる風や雨もなくカールを取り巻く穂高の稜線がクッキリ見え、嵐の前の静けさを味わう。
9日(水)北アルプス例会に15名の参加者をみたが、台風の影響は遺憾ともしがたく、全員下山となり、この日は横尾を経由して徳沢園へ1泊。
山小屋にして山小屋にあらず、その快適さは計画変更の無念を少し癒してくれた。
参加者:
CL田尻S、SL西川A、田尻H、川口T、碇、川口A、中島H、中村E、福田、栗崎、石川S、峯、西川I、山上、金木 計15名