第1676例会 大山

=長崎〜米子=

田尻 忍

3月19日(木曜日)
今回の大山は長崎組が12名、先発(8名)が朝8時に出発、後発(4名)が昼1時頃出発とする。
昨年は夕方出発組が、3月ではまれに見る積雪に見舞われ米子の吹野邸に到着できず、湯原温泉で車中泊の苦行を強いられるトラウマがあったが、今年は後発組も無事、夜9時ごろ大山寺南光河原の駐車場に着く。
出迎えてくれた山上さんに従い今年もお世話になる米工小屋へ。
吹野さん金木君が起きて待っていてくれる。他は明日に備え睡眠中。
行動時間:長崎発13:00〜大山南光河原駐車場着21:00

=夏道登山班=

田尻 忍

3月20日(金曜日)
夏道登山道〜山頂〜6合目〜元谷〜米工小屋
5時起床、手早く朝食を済ませ、小屋より5分程の駐車場で身支度を整える。
気温は零度近くだろう、空は薄暗く、準備体操中にガスもかかってくる。
いざ出発の段、あれピッケルが無い、それも3本も。慌てふためくが、先に出た南面班に連絡を取ると間違って持っていったらしい。
無事、ピッケルが戻ったところで登山届けを専用ポストに投げ込み7時10分に出発。
夏山登山口でアイゼンを装着する。
アイゼン無しの歩行も考えたが、メンバーの技量、経験にかなりの隔たりがあり、安全とアイゼンで長く歩行し、依り慣れることを優先した。
歩き始めはガス交じりであったが、8時も過ぎると積雪のブナ林に朝日が射し美しい樹景が見られる。
五合目で行動食を少しかじり、エネルギーを補給する。
樹林帯を抜け潅木帯に出るが、六合目と思ぼしき所に避難小屋が見えない。今年はかなりの大雪で、ここ2〜3日の雨と気温で随分雪が下がったと聞いていたが、それでも六合目の避難小屋が屋根すら見えない。
これより上は遮るものも無い吹きさらしであるが、今年は随分と穏やかで、身体を踏ん張る程の強風は無い。
六合目付近を過ぎると、雨と気温上昇の影響を受け土や石交じりの夏道も所々出てくる。
それでも八合目辺りを過ぎると3月の雪の量となり嬉しくなる。山肌には雲がまとわりつき雲海の態である。
少し靄っている弥山の頂上に11時25分着く。
雪の頂上にはそれぞれの思いがあるのは確かだろう。思い思いの写真を取り、頂上小屋へ。
小屋で行動食と長めの休憩をとる。ここで南面班と運良くば落ち合う予定であったが果たせず、小屋を出て、下山にかかると一の沢方面から登ってくる人影が見える。
山上さんが確認に戻ると、果たせるかな南面班の4人である。
12時30分過ぎ、無事でよかった。頂上に向かう4人組と手を振って別れ六合目付近迄下る。
雪上訓練の為、下降点を探す。大昔であればリーダーの飛び込め命令で斜面に身を踊らすが、今は昔の今昔物語。
慎重にステップを切り夏道から元谷の斜面に下る。
この斜面を利用し滑落、停止を繰り返し、一気に本番並の滑落、停止の訓練を兼ねる。
この訓練、スベリの楽しさと怖さをも含んでいる。本番で滑落したら身体で覚えて停止するしかない。
元谷で4人組と合流し全員集合の記念写真を撮るが、生憎のガスの中に元谷が沈んでしまい北壁をバックの写真とはならない。
元谷からは雪に埋め尽くされた車道を行き、下宝珠ルート経由で大神山神社に着く。
いつ来ても雪の中の大神山神社の社殿は、風情があり私の好きな場所である。
米工小屋に15時40分着。
今日で当初の目的である夏道登山道での登頂と、南面ルートでの登頂を無事終了する。
小屋に帰って一息つくと、今回大山例会の目玉の一つである雪山テント張りとテント生活が待っている。
メンバーは山上先輩指導の下、平田、金木、大塚の各氏が経験する。
昔でいう新人訓練とはいかないが、貴重な雪山生活の経験になったのではないだろうか。
コースタイム
南光河原駐車場発7:10〜夏道登山口7:20〜五合目9:15〜頂上着11:25 頂上小屋発12:30〜六合目下降点13:00〜元谷14:20〜南光河原駐車場着15:30

=大山南面登山班=

吹野 洋子

3月19日(木)雨後晴れ
 15:30米工小屋への荷揚げを夫と共に行う。
朝から雨が降っていたが、大山に上がるとともにやんでガスが切れたら、北壁が見えた。たっぷりあった雪がこの2日間ですごく溶けているのに驚いた。
入口の雪かきを済ませてブレーカーを上げて冷蔵庫のコンセントも入れた。
昨年はアタフタとしていたけど今年は2回目の使用で慣れている。
案内用の赤い布きれも木につけて夫は帰っていった。私は大山寺の知り合いの旅館に行き先発隊の到着を待った。
17:30 8名到着。大山は数十年振りというベテランもおられて、来られて良かったと思う。
18:30私が家で仕込んできた大豆入りドライカレーとブロッコリーサラダ、ビールで乾杯。明日からの山行の期待にワクワクしてくる。
21:00後発隊4名到着、山上さんが迎えに出られた。明日の行程を話し合ってから眠りにつく。

3月20日(金)曇り時々晴れ
5:00起床。パンの朝食を食べて南面班4名(金木、大塚、福田、吹野)が先に小屋を出発した。
7:00吹野車で桝水駐車場に行き支度をする。すると私達の使わないピッケルが3本とわかん1組がある。夏道班のものなので南光河原駐車場へ返しに行く。
近い所だったからよかったけど、山行の大事なものなので自分のだけ動かすようにしたら間違わないと思う。
7:20桝水を出発して環状道路を上がっていく。雪が締まっているのでツボ足でどんどん進んでいく。
8:30砂防工事用道路の入口でワカンをつける。作業車が入る道なのでナビは楽勝かと思っていたが、雪が多くて道がわかりにくい。
入ってすぐのところで道を見失い沢沿いに進みかけていたが、ちょっと引き返して慎重に道なりに進んでいった。
9:50作業道路から道のない急な斜面に入っていく。
10:25だいぶ高度が上がり、南壁も見えるし遠くの雲海もきれいだ。ワカンを外してアイゼンをつける。
11:15尾根の雪が溶けているのでアイゼンを外して踏みあとを登っていく。
12:30ついに頂上台地の縁にたどり着いた。
また雪面になって、そこを登るとパッと景色が変わり頂上小屋も間近にみえる。
先方に数人並んでこちらを見ておられる。夏道班の人かな?と思うが確認しないまま進んでいった。
すると下山していかれるので慌てて携帯で連絡して6合目小屋で合流することにした。
山上さんが迎えに来てくださり、南面班も無事に登頂できて喜びが湧いてくる。
雪が少なかったからこの時刻に上がって来れたと思うので、私たち4人の力量に合ったこの日の雪の条件だったと思う。まずはめでたし。
12:45弥山山頂着。
13:15六合目小屋で待ち合わせなので早々に昼食を済ませて下山にかかる。夏道班から6合目小屋は雪で埋まり、それらしき所から元谷に向かって下ったと連絡がある。
14:00南面班も元谷への下りにかかる。ここいらは雪がたっぷりありシリセードも楽しめた。
14:30元谷で合流、安全な所に着いてほっとして北壁を眺めてくつろぐ場所だけど、あいにくこの時北壁はガスに包まれていた。でもみんなの笑顔が見られてうれしい。
16:00大山寺帰還。小屋に戻りシリセードで濡れた衣類や靴を乾かす。今年はストーブをつけることができて暖かい小屋だった。
18:00夕食、ポトフやエビ入り天ぷら蒲鉾やいろいろ長崎の名産をいただいた。
21:00頃、明日は天気もよいしドライブとピクニック程度だということでとても気楽だけど、私はどういうルートにしようかと考えながら眠りについた。
コースタイム
桝水P7:20〜砂防工事用道路8:30〜山道9:50〜12:45山頂13:15〜6合目14:00〜元谷14:45〜16:00大山寺

=烏ヶ山南西尾根1201mピーク登山=

吹野 洋子

3月21日(土)晴れ
 6:00起床、ゆっくり支度して朝食ものんびりおいしくいただく。
8:35南光河原P出発、大山の南側を見てもらいたいと思って桝水へ向かう。
そこから環状道路がまだ通行止めなので、ちょっと下った所から通っている広域農道を走り御机経由して奥大山スキー場から進めたら鍵掛峠へ行ってみようと思った。
この道路は大山の桝水から大の沢、一、二、三の沢までパノラマで眺められるコースだ。2回車を止めてきのう歩いたルートを確認したりして、南壁を眺めた。
奥大山駐車場に着くとゲートが締まり鍵掛峠には行けない。
「リフト終点から尾根伝いに歩くとスキー場から見えている1201mピークに登れます」と会長に言うとそこに登ることに決まった。
10:30登山の準備をして13名がリフト乗り場に行くと、「雪崩れるから登れない」と言われる。登りはリフトで下りは西側の尾根を下ることで了解してもらった。
リフトを降りた所でまた「雪崩れる」と言われる。
ムカッとしたが、2010年12月31日リフト終点の東側の谷で4人が雪崩事故で亡くなられたことがあったので神経質になっておられるようだ。
帰宅してから聞くとこの日は気温が上がり雪崩注意報が出ていたそうだ。
11:30 1201mピーク到着。大山や烏ヶ山が間近に見える景色のよいピークだ。快晴の青空の元に長崎山岳会貸し切りの頂上でゆっくりランチタイム。
12:30下山にかかる。先頭は登った尾根を忠実に下っておられたと思うが、尾根が分かれている所を行き過ぎてしまい、トラバースして登った尾根に戻る。
雪山は下りで間違いやすいことを実感した。
リフト終点からはスキー場に入らないようにして、西側の尾根を下っていった。この尾根がゆるい傾斜で楽しい雪上歩きになった。
13:45奥大山Pを出発して広域農道経由で米工小屋に帰る。
15:00大山寺の温泉に行ったら、この日は100円でビールやソフトクリームのサービスがあり喜ばれた。
17:00夕食が出来上がる前にボチボチ宴会が始まる。といっても下戸ばかりで酒量はわずかだ。雪山が満喫してもらえたのか会話もはずんで、楽しい夜だった。
コースタイム
リフト終点10:45〜11:30ピーク12:30〜13:30奥大山P13:45

=米子〜長崎=

田尻 忍

3月22日(日曜日)
今日は長崎へ帰るのみ、それも日中の帰省と言う事で夜中のドライブを考えると気持ちも軽い。
昨日の温泉で身も心も軽くなり、朝の5時起床、7時前には身支度完了。
米子の土産屋である、お城を模した壽城に寄るには早すぎるので、お土産モードの帰り道は高速のサービスエリア、道の駅でお目当ての土産をチョイスする。
金立SAで旅費清算し今回は14,000円となる。夕方5時頃には長崎着。
行動時間:大山南光河原駐車場発8:00〜長崎着17:00

=おまけの山行=

倉嶋 千秋

大山例会2日目は、吹野さんお勧めコースでおまけの山行。
奥大山スキー場からP1201mを目指す。久しぶりのスキー場リフトに乗り、滑っているスキーヤーやボーダーを見て恨めしそうな自分がいた。「いいなあスキーやりたいなあ」…。
雄大な大山の南壁を眺めながらリフトに揺られていると終点が近づき、スキーを履いていない登山靴で前に押されながらリフトを降りる。
リフト終点の係員さんに注意して登るように言われスキー場を後にした。
登り出しから結構な急斜面の取りつき、雪庇等に注意しながら高度を上げる。この日は天気も良く、快適に歩を進めることが出来た。
途中、藪漕ぎみたいなところも難なくクリア。皆さん元気に登られ最終地点P1201mに到達すると、目の前にハッと息を呑むような見事な景色が広がっていた。
そこは、黒々とした烏ヶ山が目の前に聳え、遠く蒜山等も望むことが出来た。素晴らしい!何だか知らないが、大山の頂上よりも感動したのは間違いない。
それだけ天候等がマッチした素晴らしい山だったんだろう。吹野さんに感謝。
下りは途中までもと来たルートを通りその後は、スキー場の裏斜面をトラバースしながら快適に降った。
大山、四季折々いつ来ても我々を大いに楽しませてくれる山。どっしりといつでもいらっしゃいと迎えてくれる姿が頼もしくもあり、優雅でもある。
その大山が従える多くの名もなきピークもまた、素晴らしことを今回の山行は教えてくれた。
参加者:CL田尻S、SL吹野、山上、金木、石川S、中島H、平田、大塚、福田、倉嶋C、倉嶋A、川口A、田尻H  計13名