第1617例会 沢登り(洗谷)

窪田 紀幸

 
今年は早々に梅雨明けしたものの各地では集中豪雨で被害が続出している。年に一度の沢登りは大丈夫かと案じたが例会当日の予報は“曇り時々晴れ”でまずまずのコンディションになった。
 前日までに参加メンバーの入れ替えがあったが最終的には北部組(田尻S、東T、平田)・南部組(三田T、大塚、窪田)の6名。

 8/3(土) 6:30に今村PAに集合する。
 洗谷にはこれまで瑞梅寺山の家近くの駐車場に止めていたが、入渓口際に駐車場ができておりアクセスが至極便利になっている。各自ビニール袋で防水パッキングして沢へ向かう。
 福岡は豪雨に祟られず降水量が比較的少ないのか予想以下の水量。最初の4mの滝も登りやすい。全員難なくクリアー。(沢登り初体験の平田さんもスイスイ登り「おっ、やるじゃん」。これなら先も大丈夫と安心したが…。)
 すぐ2m程度のナメ滝にかかる。平田さんはさっきの登りは奇跡だったのか何だったのか四苦八苦。(岩登り研修は必要なり。)
 小滝・大滝・ナメ滝…どんどん続く、やはり沢登りは楽しい。夏万歳!
 最後の6m滝を眺めて昼食。一般登山の男性1名がソーメンを湯がいている。冗談半分に「(滝の)上から流しましょうか」と声を掛けると「すくえません(笑)」。量が多かったのかソーメンのおすそ分けにあずかる。
 腹ごしらえをして最後の6m滝にかかる。リードで滝の真ん中は厳しいのでハーケンの打ってある脇を登る。これで終わりかと思ったら思いがけず数m滝がもう一本。本当にこれで終わり。
 徐々に沢が涸れて稜線へ藪をこぐ。登りあがった稜線の登山道を左へ折れ井原山山頂へ向かった(つもり)。道が下り始め登山道も明瞭でなくなり見覚えのない岩が出てくる。(途中には記憶にない深〜い底なし穴もあり)どうもおかしい、道を外したらしい。地図で確認すると、どうやら登山道のある尾根に出たと思ったのだがニセ尾根だったようで、登山道を外れて別の尾根を下っているようだ。
道を引き返して正規の登山道に出る。地図を持って来ていて良かった。洗谷は沢登りを終わってからが曲者。気をつけなければ。後は井原山に登り無事下山した。
 沢登りの基本は岩登りですが巻道を使えば初心者も楽しめます。また来年も計画しますので多数の参加をお待ちしています。

コースタイム
6:30今村PA集合〜8:20洗谷入渓口駐車場8:30入渓〜13:10尾根着沢登り終了〜14:40井原山山頂15:00〜16:40洗谷入渓口駐車場、三瀬温泉やまびこの湯入湯後現地解散。参考までに窪田宅着20:00

参加者
CL窪田、三田T、東T、田尻S、大塚、平田 計6名

沢登りに参加して

平田 哲也

 8月の例会で沢登りがあるとは聞いていたが、あの手のものは岩登りが大好きな人達がするいわばオタク的な趣味と思っていたので、「君子危うきに近寄らず」というように最初から不参加と決めていた。
ところが、金比羅山の山道清掃の折りに話の弾みで参加してみたいと強がって言ってしまったため、後に引けなくなり後悔したがもう後の祭りで覚悟を決めざるを得なかった。
渓流靴は下松八重さんから、ハーネスは東さんから借り、ヘルメットとウエアーは自前で揃えて参加することとなった。
 集合場所の今村パーキングに着いてみると参加者は6人でいつもの例会と違って少ない。しかもメンバーの顔触れをみると岩登りが大好きそうな御仁ばかりで未経験者の私に緊張が走る。
 洗谷に着きヘルメットとハーネスを装着しいよいよ渓流の中に足を踏み入れる。
さぞ冷たかろうと思いきや水の中に入った時の冷たい感覚がほとんどなく、急遽揃えたネオプレーンタイツの効果に密かに満足する。
いくつかの小さな滝を超えながら遡行を続けるとほどなく最初の大きな滝に出会う。トップの三田氏が軽業師のように滝上まで登り、手際よくビレイポイントにロープを固定しロープを投げ下ろす。
ロープの末端を自分のハーネスのカラビナに通していよいよ滝登りに挑む。ホールドを探しながら滝の上部までは比較的問題なく登り、最後の一登りの所で足場が見つからず苦労するも対岸の岩に足を垂直に着けて圧着し両手の指で岩をつかんで何とか登り切った。
ここまではわれながら上出来だった。が、二つ目の幅広い落差4m程度の岩壁で初心者の技量をあざ笑うかのような滝の逆襲に出会う。滝の中段部まで登ったのはいいが、岩に必死にへばり付いているため頭から冷水をかぶりその冷たさに呼吸が乱れる。
一挙に冷静さを失い早くこの場を抜け出そうと三点支持の原則を忘れ、不確かな足場に左足をかけてしまい滑落する。2度目、3度目も同じ場所で滑落し一挙に体力を消耗する。
他のメンバーに先に登ってもらい体力の回復を待つ。ラストの東氏の指示を受けながら4度目の挑戦を試みるが、今度は少し岩から身を離して冷水をかぶらないように心掛ける。
『もっと左に窪みがあるから左足を伸ばせ』と下から東氏の大声が何度も響く。短い足を必死に伸ばして岩を探るとやっとのことで窪みがみつかりかろうじて難所をクリアーした。
ここで体力を消耗したためか次の何てことはない小さい滝でも2〜3度滑り落ちる。すっかり自信を無くすが何回もの失敗から三点支持の重要性を思い知らされる。
その後はこの教訓を生かして確実なホールドを見つけるまではあわてて動かないという原則を守って、残り二つの大滝も何とか登り切ることができ沢登りは終了した。
 リーダーの窪田さんや三田さんには、はらはらさせてしまい申し訳なかったが、的確なビレイのおかげで怪我なく無事終了できたのが何より良かったと思う。
また、東氏の体型からは想像できない岩壁での軽やかな身のこなしや、敢えて滝の激流の中にルートを取り、ホールドを探しながら果敢に挑戦する姿にはキャリアーを感じ感服するばかりであった。
 終了直後はもうこりごりというのが正直な感想であったが、数日経った今では機会があればまた挑戦してみようかと思っている。