第1607例会 富士山

窪田 紀幸

 4月は転勤の季節。いつものGW春山組主力メンバーが人事異動で足並みがそろわない。
リーダーは引き受けているもののメンバーがはっきりしないので山域がモヤモヤしたまま決まらない。
三田さんから“今年は断念”との連絡があったことで下関山岳会(SAC)/長崎山岳会(NAC)有志メンバーが今年の夏に挑むモンブラン向け富士高所順応登山を例会にした。
我が会からは、大塚さんの直前ドタキャンあり下松八重・伊達・窪田の3名、SACからは6名の計9名となったが、4/27 北アルプス・白馬岳大雪渓で起きた山口宇部山岳会2名の方の遭難事故対応で、SACメンバーが急遽捜索活動に参加されたため更に2名欠け、最終的にSAC4名、NAC3名の計7名になる。
▼5/2下関集合が5/3 8:00なので、下さんをピックアップして長崎を17:30に出発、伊達さん宅(鳥栖)で前泊し士気を高める。(単なる飲み会)
▼5/3早朝から伊達さん宅を出発し、下関(小月)に7:50頃到着。レンタカーも到着し予定通り出発する。
美東SAで下関メンバー木村さんを拾い全員集合、ここまでは順調。都市圏でのGW渋滞はある程度予想はしていたが、想定外に広島に入ると早速GWのお約束の渋滞が始まり、高速のジャンクション毎に渋滞続きで先が思いやられる。
京都では高速道路の事故で名神が通行止めで京滋バイパスへ迂回し、名古屋ではまたまた大渋滞…GWの日中はそこかしこで足止めを食らい富士吉田口への到着がどんどん遅くなる。
とどめは下さんのスマホチェックで判明した富士スカイラインのゲート情報。18:00でゲートが閉まるとのこと。車中「富士宮口に変更!」云々喧喧諤諤あったが、落ち着く所に落ち着き富士吉田口に近い道の駅「なるさわ」駐車場で仮眠することにした。(22:30頃到着)車の横にテントを一張り設営し、飲みたい人はテントで遅くまで宴を催したようだ。
▼5/4 4:00起床、快晴。富士山と月が良く見える。寒くて芝生には霜が降りている。

朝食は5合目で摂ることにして富士5合目を目指す。6:00頃、富士吉田口5合目(2305m)到着。御来光目当ての観光客だろうか、朝から人が多い。身支度をして6:30駐車場を出発。
 佐藤小屋まではほぼ水平の登山道で、左手に富士のすそ野がなだらかに広がっており眺めが良い。右手には富士山頂までずっと登りの傾斜が続いている。佐藤小屋手前で6合目へのショートカットの分岐に入る。


五合目富士吉田登山口へ

五合目〜佐藤小屋

六合目からのダラダラ登り

ゆっくりと・・・

・・・ひたすら登る

 7:40に6合目到着。小休止をして登りにかかる。ダラダラとした登りが続く。ここを夏の登山シーズンに渋滞で登るのかと思うと5月に来てよかったとつくづく思う。7合目(2910m)に10:55、7合5勺 富士山天拝宮(3250m) に13:00、本8合目(3350m)には14:00到着。


富士山天拝宮
 予定では山頂テント泊だったが、元気なメンバーとやや疲れの見えるメンバーで登りのスピードが大分違ってきて、頂上までの時間も掛りそうなので、本8合目の山小屋横の吹き溜まりの窪みを削ってテントを設営することにした。
 その最中、上から下山してきたパーティのメンバーが上部で滑落したらしく携帯電話で連絡を取り続けている。我々がテントを設営し入り込んだ頃、自力で無事下山してきて下って行った。
 夕食では「高山病では酒が進まない…」という過去の経験談が熱く語られたが、ザックからなぜか酒はゾロゾロ出てくるし、特に異常なく酒盛りをして就寝する。(私は翌日が怖いのでほどほどにする)
▼5/5 3:00起床。テントを一張り残し無用な装備をデポして頂上を目指すことにする。テントを畳んでいると4:44真っ赤な太陽が山中湖の方から昇ってくる。
本8合目からの御来光

九合過ぎ 頂上間近
 今日も晴天である。昨日と同じようにゆっくり登って行くが、全然きつくなく高所順応もうまくいっているようだ。9合目あたりから雪質が変わって氷になる。岩場を狙って頂上へ向かう。
 7:10富士山頂到着。7合目あたりだろうか雲が湧いてきているが頂上は雲ひとつなく、下界が良く見渡せる。ここが日本の最高地点かと感慨に浸りながら火口に向かう。
初めて見た火口は思ったより小さい。富士山ドームも撤去されていてちょっと残念だった。(家に帰ってから石原裕次郎主演の富士山頂でも改めて観ようと思った。)お鉢めぐりをしたかったが、帰りの時間があるので、いつかまた来ればいいやと思う。

頂上

レーダードームはなし
頂上です。富士山頂レーダードームはありません
 しばらく写真をとったり行動食を食べたりして頂上を満喫し、8:00頃に下山を開始する。
下りは雪面をゆっくりと降りることにするが、雪面がクラストしていてアイゼンが1cmぐらいしか刺さらないので慎重に下る。9合目の安全地帯まで来るとホッとする。
 そのままドンドン下るが、7合目あたりで夏道を外れ最短コースで下りていると、足跡が消えてデブリ状の雪でとたんに歩きにくくなる。

慎重に下る
眼下の昨日登った地点を目指して下降していたはずだがメンバーが口々に記憶がないという。(昨日と同じでしょ、そんなばかな!)間違いないはずだよな〜と思いつつ降りていると数人の人が見える。安心して降りていくと朝日テレビの取材であった。
伊達さんがテレビで見たキャスターのようだと言っていたが、テレビに出るかなと思いつつインタビューを受ける。(テレビ放映されたのかどうかは知らない)
 結局、下山路は間違いなく昨日登った所だった。たぶん高山病の影響だろう、記憶があいまいになっていた。13:00頃、5合目駐車場に到着し、山行を終えた。
▼「登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」というが、なるほどうまいことをいったものだと思った。ただ今回は、お鉢巡りをしなかったこと、本当の意味での日本最高地点(剣ヶ峯)を踏んでいないので、宿題が残っている。いつか日を改めて登ってみようと思う。
参加者:CL窪田、下松八重、伊達、会員外4名、計7名