第1569例会 中国山地の山(大山)

吹野 洋子

2月11日(土) 1:00頃、長崎下関の皆さんが吹野家到着。いつも通り順さんに出迎えてもらう。
5:30居間に下りたら皆さんも起きておられた。すぐに朝食の準備にかかった。味噌汁も下ごしらえをしておいたし、あとはスクランブルエッグを作るだけだから早い。
7:00吹野家出発。枡水に向かって車を走らせる。幸運なことに朝焼けがうしろからあたっている大山の全景を見る事ができた。途中長崎車2台はチェーンをつけて枡水駐車場着。
8:00身支度を整えて出発。天気が良さそうだ。スキー場のリフトの所のトイレを使ってから環状道路に入る。
いきなりの大変なラッセルと思っていたが、さほど足が埋まらない。雪が締まっている。やっぱり雪山は行ってみないとわからない。(これなら今日は頂上まで行けるぞ!)とワクワクしてくる。
 8:30ロックシェードの所に着き、ワカンをつける。いつもは路肩の壁をよじ登らないといけないが、今回は大雪でゆるい傾斜になっていた。すごい積雪量だ。
ラッセルのできそうな人にどんどん先に行ってもらう。大の沢右岸の樹林帯に入ったが、ここでも足がたいして沈まなくて快調に登れた。
青空が広がり、大の沢を上まで見渡せる。大雪で沢も埋まり、素晴らしい景色だった。(今日は案外ずっといい天気かもしれない)と思ったが、樹林帯を抜け出してから曇りだした。吹きっさらしで風がきつくて冷たい。
11:00標高1150m地点で雪が割れていて、皆で立てる場所があり整地した。ここでワカンをアイゼンに替え、ハーネスもつけた。ここから急な登りにかかり、新人さんの後ろにはベテランが付いた。
雪面はクラストしていて、よい感じでアイゼンがきく。雪面が固くてピッケルの石突きがちょっとしかささらないところがある。ガスって視界がきかないので、離れないように全員でゆっくり高度を上げていった。
たまに枯れ草の見えている所があるので、この辺りは風がきついので雪がたまらないようだ。私はこの度購入した上等の手袋に替えたのに手が冷たい。
そのうち傾斜がゆるくなったので、頂上台地にさしかかったなと思う。
 13:00風がきつくない所に出たので、昼食になった。GPSで確認すると、うまい具合に石室の辺り(標高1593m)に着いた。立ったまま簡単に行動食を摂ってから、夏道に向かって進んでいった。
 13:20先頭の下さんが振り返って両腕で○印を作っている。夏道に合流したようだ。あとでGPSで確認したら標高1606mで8合目だ。ここも風雪がきつくて、素早く記念撮影をしてすぐ下山にかかる。
下りは早い。あっという間に6合目小屋辺りに来た。小屋も埋まって見えない。まだまだどんどん登ってくる人がいる。5合目から樹林帯に入ると穏やかなこと! 手も冷たくない。
アイゼンをはずして下りを楽しむ。尻シェードをする人もいる。滑って転んでいる人もいた。
 15:30情報館に到着。順調な運びだ。順さんに来てもらって、枡水の車の回収に行く。下さん三田さんご苦労様でした。情報館に残った私達は会計を済ませて、暖かいところで談笑して過ごした。
 17:00やがて着いた車から荷物食糧を取り出し、北壁の会の小屋に向かった。
5時でリフトは止まるかと思っていたが、豪円山のただのリフトはまだ動いていて、それに乗り下りて歩いて5分で小屋に着いた。
1週間前に小屋の入口の前の雪かきをしておいたけど、また雪が沢山降り積もっていたらすぐ中に入れないかもしれないと思っていたが、案外積もっていなかったのですぐ入れた。
さらにトイレ前の除雪をしてもらった。入口のたたきが狭いので、順番に小屋内に入り、女性はすぐ夕食の準備にかかる。
 18:00宴会の始まり。下関長崎のいつものメンバーなので和気あいあいとして盛り上がる。
北壁の会の定番料理、鴨鍋を私が用意した。下関からはふぐの開き、長崎からの練り物などおいしくいただいた。締めは出雲そばにした。市橋さんがテキパキと料理の手配をしてくださる。
 22:00就寝。13人入るにはこの小屋は狭いかなと思っていたが,冬は狭い方が暖かく過ごせると思った。広い小屋はテント内より寒い。私にとっては使い勝手のよい小屋だ。
今年は2日しかなかったので、小屋利用で早く動けて、大の沢が完登できて良かった。
コースタイム
2/11(土) 吹野家出発7:00〜桝水駐車場出発8:00〜ロックシェード8:30〜1150m地点アイゼンに代える11:00〜岩室付近で昼食13:00〜夏道に合流13:30〜15:30情報館17:00〜17:30北壁小屋着〜夕食18:30 〜就寝10:00
2/12(日) 起床5:30〜朝食6:30〜雪上訓練7:30〜北壁小屋発9:00

参加者:会員9名


初めての冬山大山

大塚 佐恵子

怪我のつきない中年おばさんのチャレンジ。アイゼン、ワカン、ピッケル?何のことやらわからぬまま先輩方のアドバイスをもらい購入。ピッケルは下さんから大切なアイアンウーマンの形見をレンタルさせていただく。
 年末の思わぬバイク事故で不安もあったが、計画を練り直して日帰り登山へ修正してもらい参加にいたる。
 1泊目の吹野宅到着。ご主人の愉快なおしゃべりと手厚いもてなしに長旅の疲れも癒える。
 豪華な朝食にパワーをもらい出発。桝水駐車場から雪道を歩く。去年のスノボー以来二度目の銀世界。
 急斜面につくとワカン装着。足もともおぼつかぬまま前の人の歩いた後を辿る。
好天で見晴らしもよく気持ちいい。こんな機会はないからラッセルを経験してごらんと下さん。新雪に自分の足跡を残し、がむしゃらに汗だくになって進む。が、ラッセルになっていない!!きっと2番手の三田さんが辻褄を合せてくれたのだろうと感謝。
 休憩場所を確保し、アイゼンへ履き替え、急斜面を登る。老若男女13名の隊列で一歩一歩進む。まるで映画のシーンの中にいるような心地。
 頂上付近にくると天気は一転し、風も舞い視界が悪く、寒さもつのる。手袋が凍りつき、手が痛い。前髪やまつ毛も白く凍っている。こんなに変化するのかと冬山の厳しさを知る。
 夏山登山道に合流する所で目標達成、暴風の中、写真撮影。
 下山、深い雪のアイゼンでの下りは難しい。転んで滑った。このまま滑って行った方が楽かもと思っていたら、不格好な私に三田さんの適格なアドバイス。恐さも消え下りも楽しくなる。
 下山後、2泊目の北壁小屋へ向かう。無料リフトもまた楽しい。スノボーやスキーを楽しんでいる人たちを横目に帰途を急ぐ。
 北壁鍋と蕎麦とお酒。最高の食事と仲間に乾杯して就寝。
 三日目の雪上訓練も楽しかった。下り、登り、トラバース歩行、ラッセル、滑落時のピッケルの使い方など、基本の行動。
弥山登山の反省と雪上訓練の成果を次の冬山に活かしたい。
 どんな過酷な状況でも先輩方の経験と開拓魂があれば切り開けると確信した例会でした。
 吹野ご夫妻、下関山岳会の皆様ありがとうございました。


第1569例会 中国山地の山(大山)その2

下松八重 清幸

例年、2月11日の建国記念日前後は3日連休になるので、山岳会の例会として10年以上大山登山が続いている。
 あいにく、今年は11日が土曜日だったことから、土日の二日間しか休みがなかった。
 長崎から大山に行くには日程的に窮屈なので、年間計画としては、山口県東部の山域も想定し「中国山地の山」としていたが、結局、金曜日に休暇を取ることにして、この度の「大山・大の沢右岸」に決定した。
 1日目は、吹野さんが先月の月報に報告しているので、2日目について以下報告します。

 共に行動した下関山岳会のメンバー4名は、帰関することになったが、長崎山岳会は、新人の雪上訓練をすることにし、7時半ごろ「北壁の会」小屋を出発。
 豪円山の斜面を想定して目的地付近に到着したが、周囲はスキー客が沢山いる。ダメ元でスキー場の係員に聞いてみたが、やっぱりその辺では雪上訓練はできない。
一方、昨夜、弥山山頂付近にビバークされた北壁の会の会長さん(岡さん)とは連絡が取れ、小屋に向かっているとの連絡を受けた。せっかくなら挨拶して帰ろうということになり(して?)雪上研修を決行、スキーヤーの休憩所脇の斜面を使ってやることにした。
 最初に登り方、川添君に「登ってみんね」と指示すると、「ここをですか?」と苦笑いしながら返事が返ってくる。次は関さん、大塚さんと女性二人が続く。3人とも、登ることはできるが、無駄が多い。雪を壊しながら登っている感じ。
斜面に対し直角に蹴込むことと、斜面が急になれば膝をうまく使って登ることを説明、実際に体感してもらい雪を固めながら登ると比較的楽に登れることを納得してもらう。
次は下り、斜面が短いこともあり、納得できる体感はできなかったかもしれないが、できるだけ姿勢をまっすぐにして、踵付近の着地を意識しながら下ってもらう。
次は、腰付近まで埋まってしまった時の脱出方、斜面のトラバースの時のピッケルの持ち方。滑落した時のピッケルの使い方、等々基本的な雪上研修を実施した。
最初はあまり乗り気でなかったようだけど、進めるうちに3人ともだんだんその気になり、狭い斜面だったけど汗だくになるくらい訓練していて、大変うれしく思った。
昨日の実践はもちろん、訓練での知識を含め次の山行に生かしてほしい。
 そうこうしているうちに、時が過ぎ岡さんから連絡が入った。大山寺に着いたので、急いで小屋に向かうとの由、我々も研修を終了し小屋に戻った。
 暫くすると、岡さんが帰って来られたが、昨夜山頂付近でビバークしたとは思えない穏やかな表情で、流石、小柄な体格にたくましさを感じることができた。
挨拶をし、記念写真を撮りお別れ、後の片づけは全部吹野さんにお願いして「北壁の会」小屋を後にした。


入会して丸一年

川添正寿

大山の冬期登山は、2カ年連続の体験となった。思えば、1年前、突然、冬山に参加させて頂き、それがきっかけで山岳会の一員となった。
その後、ロッククライミングや沢登りなど新しい分野にも目覚めさせて頂き、月日はあっという間に過ぎ去り、早くも2回目の冬山を経験することとなる。ここでは、昨年と比較した感想を述べたい。
 まずは、内容が大きく違った。昨年のルートは大半が積雪が多い林の中で、すべての行程にワカンを装着して、雪に深く埋まり、必死にもがきながらラッセルしていたが、今年は、強風で雪が飛ばされ凍りついた大ノ沢右岸の雪稜を登るルートである。
行程の半分以上にアイゼンを履かなければならず、この日のため、12本爪を新調して臨むこととなった。いきなり急斜面を登る。慣れていないため、バランスが悪く、足取りがおぼつかない。
ピッケル持つ手にも緊張感から自ずと力が入る。吹雪で視界も悪く、数m先が見えない。おおよそ、凍死とはこういう状態で遭難したらなるんだろうなーって思いながら、一歩ずつアイゼンを軋ませた。
一方、下さんや市橋さんのコース取りには、経験値から来るものなのだろうけど、感服させられた。
稜線を登りきったところでは、現在位置がわからないようだったが、心配はしなかった。リーダーは墜落しそうなところを避けるためコンパスを使用しながらの踏査。さすがだ。しばらくすると、夏道を確認。
そういえば、昨年も復路がわからず、道に迷ったことを思い出した。私のなかでは、プチ遭難と呼んでいる。その時は一抹の不安感を持ったが、周りにいる人は経験豊富な人達ばかりであり、コンパスやGPSを駆使して帰路を探してくれた。
雪山は、程度の差はあるが、必ず道を探す作業が生じる。しかも、積雪・気温・日照時間など厳しい自然条件にさらされる中での格闘であり、不安感やあせりを、一段と強く感じさせるのも、夏山では味わえない醍醐味だ。
 歩荷も大きく異なった。今年のザックの中身は2.5kgのザイルだ。昨年はテントを持ち、それなりの重装備となった。私としては、やはり、ある程度の重さがあった方が苦労があり、充実感が増すような感じがする。
 山小屋泊は昨年と一緒だ。小屋設備の面では、今年の方がコンロなどあり充実している。それはそれで快適このうえないのだが、来年こそは、是非、極寒のテント生活を経験してみたいとも思う。
他にも、経験しないとわからないことを、2回の冬山を通じ、多く学んだような気がする。
 行程としては、昨年の二日に対し、今年は一日。多少物足りなさは感じたが、冬期の大ノ沢を制覇できたことは、素直に嬉しい。やはり山はいい。特に冬山の荘厳さはなんとも表現しがたい美しさを感じ、その中に、自分がたたずむ姿に酔いしれる充実感は格別である。
来年の3回目のチャレンジが、今から楽しみだ!!!


大山の雪山登山

関 真紀子

去年11月の黒岳の例会に初めて参加させていただいた時に、大山の雪山登山の話を聞きました。
 今まで、福岡近郊の山や九重山系の雪山の経験しかなかったので、その時は軽い気持ちで”ぜひ参加してみたい!”と言ってしまいました。
 それまで私が思っていた雪山のイメージは、快晴で澄み切った空気と霧氷とかの美しい景色。そして踏みしめるとわくわくするような雪の感触。
 実際、近場でも積雪があると休日は山へくり出す人でいっぱいになる事がある。
でも、大山の雪山となると、ちょっと違うというのが後からわかった。
 日本海側に位置する大山は、冬型の気圧配置が強まった場合、吹雪となり下山路を見失うという遭難が多いとの事。そうなると、寒くつらく危険で厳しいというのが雪山、という事になる。やはり軽い気持ちではいけないというのがわかりました。
 だからといって、どうしていいかもわからないまま不安を抱えながら、道具一式揃え本番を迎えた。
 実際、大の沢右岸を上がる時は快晴で見渡す限りの雪景色が素晴らしかった。だが、だんだん上に登っていくと風がひどい場所があり、その場所に来たとたんに天気が急変した。夏山登山道に合流するまで一瞬だが道もわからなくなっていたようだ。その後は登山道に入り降りて来る頃にはまたもとの美しい景色にもどっていた。
 今回は日帰りでしたが、1日の間にいろいろ経験できました。でもこれが山頂山小屋泊だったなら、重い荷物背負って雪道を歩けたのだろうか?と思います。
初心者の新人である私に、道具の準備段階から相談やアドバイスしてくださったり、道中はもちろん登山中も皆さん親切にしていただき、大変お世話になりました。
 長崎山岳会に入会して初めての例会参加でしたが、おかげさまでとても楽しく過ごす事ができました。皆さん本当にありがとうございました。