第1564例会  県民の森周辺

内山 裕子



大野岳展望台
9時にエレナ畝刈店駐車場に集合し、大野バス停近くに帰りの車を回送後、出発点の出津文化村駐車場で、西川幾恵さんの指導のもと軽くストレッチ、金木さんの説明を受け9時50分出発。薄曇りの中、大野岳の登り道以外舗装道路をひたすら歩きの一日でした。

【解 説】

出津教会堂
1882年3月19日、ド・ロ神父の私財と信徒の労力奉仕によって建てられた教会堂は信徒たちとド・ロ神父の心を一つにしたと共に、教会を中心とした村づくりの始まりでした。
 神父自身の設計・施工で材木は払い下げを受けた10キロ北の官有林から切り出して信徒が運び、レンガは船で唐津から長崎経由で運ばれました。山で掘り出された石は井戸や墓地の造成に使用。天草から10メートルほどの長さの鰹船の中古を購入し、長崎から必要な資材を運び入れました。
大野教会堂
1893年(明治26)ド・ロ神父が26戸の信徒たちのために、出津教会の巡回教会として建てられました。現在は1年に1度だけミサが行われ、通常は中に入ることはできません。
(国指定重要文化財)設計・施工管理はド・ロ神父、費用は総額1000円、ド・ロ神父の自費と信徒の奉仕で建設されました。
ドロ壁(地元の材料を使ってド・ロ神父が考案した風情ある石壁)
 西彼杵半島を形成し、外海では畑を掘っていても出てくる、温石(おんじゃく)と呼ばれる結晶片岩。温石を積み上げた畑の石垣が連なる様子は、昔から外海の代表的な風景。生活の中でも水平に割れて加工しやすい温石は、かまどや家の土台などに使われていました。
 当時の日本では煉瓦を積み上げる際の接着剤として、高価なモルタルの代わりにアマカワが使用されていたといいますが、アマカワは赤土と石灰にのりとすきを混ぜてこねたもので、赤土は雨に打たれると流れ出していました。それでド・ロ神父はアマカワを使わず、赤土を水に溶かした濁液で石灰と砂をこね合せたもので自然石を積み重ね、丈夫な石壁を考案したといわれています。それがドロ壁と言われるものです。
 外海では、温石を使ったドロ壁の家などを見ることができますが、大野教会を建てる際には、大野岳を形成している玄武岩を用いてドロ壁を造っています。

大平作業所跡
大平の開墾が完了した1901(明治34)に建てられたといわれる作業場跡。外壁の煉瓦は、鉄川与助を介して、佐世保鎮守府の規格煉瓦を入手したといわれている。
 開墾した畑では、小麦、イモ、綿などの栽培のほか茶を植え、それまで外海になかったイチゴ、トマトも栽培させ、フランスからジャガイモの良い種をとりよせ、肥えた畑をつくるため堆肥づくりの指導、耕作技術、種まきの仕事も指導しました。
 原料の生産から商品販売まで、最初から最後まで自分たちの力で、という考え方をド・ロ神父は指導しました。例えばソーメンやマカロニの場合、畑で小麦を作り、水車による製粉所で小麦粉にし、救助院でソーメンやマカロニにし、居留地などで販売するといった流れです。
【参考図書】長崎巡礼協議会 外海のキリシタンとド・ロ神父
コースタイム
10:00 出津教会
10:15 ドロ神父の墓 共同墓地
11:40 松崎町との分岐 昼食
13:40 大野岳(西川葉子さんだけ、バスチャン屋敷跡へ向かう)
14:15 大平作業所跡
15:00 大野教会
15:20 caf?ひなたの匂い
16:00 出津文化村駐車場 解散

馬場 よし子

以上、サブリーダー内山さんの解説とコースタイムでした。解説に書かれている通り、殆んど車道歩きであった。
 下見に行ったリーダー達より、登山靴はキツイかも…の連絡が入ったのでスニーカーで参加。
 気候のせいか、周辺の緑のせいか、とにかく空気が美味しい。いつもの例会ならば、登り始めはおしゃべりしていても、やがて黙々歩きになるのだが、今回は登りが無いので黙々歩きにならない。しゃべる、笑う、しゃべる、笑うが延々と最後まで続いていた。同日、ボッカトレをしている冬山隊とは大違いである。
 お昼時、ちょうど良い広場が道端にあり、そこで昼食。
 お昼からは今回の目玉が登場。先ずは大野岳、すぐに着く山だったけれど、見晴らしは最高で意外に良い。そうして、又々意外に良いのが大平作業場であった。
期待せず、のんびり歩いていたら、「早く来んねー、良かよー」と呼ばれた。「うわー!」である。朽ちてしまっているが土台がしっかりしているので当時の面影は残っている。先人達の息吹さえ感じる位であった。この感動は初冬という季節が素敵に演出している。暑い時だったら、日陰もなく暑さでバタバタ倒れるかもしれないし、やぶ蚊に刺されて大変な事になるだろう。最もそんな無謀な企画は全体会で却下されるだろうけれど。
 歩き終えて、海が見える場所に出ると、今回のフィナーレに相応しく海に天使の梯子が輝いていた。
「人間がこんなに哀しいのに主よ、海があまりに碧いのです」
沈黙の碑に書かれている言葉である。隠れキリシタンの里、暗く悲しいイメージを持っていたけれど、歩いていてそのイメージは払拭された。信仰の深さ、絆の強さを感じる地区だった。
 登山靴を履かない例会、でも山にはちゃーんと登ります。会のキャパの広さを感じた楽しい例会だった。
参加者:会員11名