第1538例会 大山(NAC・SAC合同山行)

三田 徹

A隊報告
会としては、毎年恒例となっている大山冬山合宿だが、私は烏ケ山以来3年振り、川床からの入山は9年振りである。この時は今回のA隊の計画と同じく大休小屋泊、野田ヶ山を越え、ユートピア小屋泊、宝珠越で下山している。
ラッセルはそれなりにしんどかったが、それでも野田ヶ山から先のルートは危険を感じることなく通過した記憶がある。しかし、今シーズンは全国的に大雪とあって、大山の麓での積雪量は3メートルを超えており、三八豪雪の時よりも積っているとのこと。
また、大雪から1週間ほど雪が降らず、締まった雪の上に昨日からの新雪が積もった状態が予想された。元谷は雪崩の危険で入山禁止措置が取られていた。
▼2月10日(木)今村PAに東車、田尻車に分乗した長崎からのメンバー9人が集合し16時に出発。
チェーン規制のある中国道を避け、山陽道を走り、岡山道経由で米子道へ入る。
湯原ICから冬用タイヤ装着との表示が出ていたため、湯原IC手前のトンネル内でチェーンを着ける。毎度お世話になる吹野邸には日付が変わって到着、休日1000円の高速代の恩恵を受ける。
シュラフに潜り込んでほどなく下関山岳会のメンバーも到着する。
▼2月11日(金)5時30分起床。暖かいご飯と具だくさんの味噌汁で腹ごしらえし、吹野邸を出発。
槇原駐車場で装備のチェックをしていたら、リーダーが吹野邸にシュラフを忘れた由。吹野順さんに連絡して大山情報館に届けてもらう。ここで共同装備を分配し身支度を整える。
無料リフトを使ってちょっと楽をさせてもらってから歩き始め、いくつかスキー場を横切ってトレースがなくなったところからワカンを装着、ラッセルとなる。
川床の入山地点には9時45分着。沢に架かる橋は大雪でテンコ盛り状態である。急登を越え緩やかな稜線に出て50分ほど歩いたところで小休止。自分達の足でトレースをつけるのがなんと気持ちいいことか。
ただ、ピッケルで雪面を突き刺すと約15センチの深さのところで弱層となっており、少々やばさを感じる。
途中で幕営することも考えていたが、総勢18名とあって、皆の力で交代しながら順調にラッセルして進み、15時ちょっと前に大休小屋へ着く。
小屋の入口は完全に埋まっていたので、窓の雪かきをして小屋の中へ入り、宴会の準備。最初は長崎、下関、別々にそれぞれの夕餉であったが、アルコールも入り、一つ輪になって自己紹介、楽しい一時を過ごす。
▼2月12日(土)4時起床。昨日からの雪は少し積もっている程度だったが、稜線の風は強そうだ。
今日は、野田ヶ山まではA隊、B隊同一行動、最初は緩やかな斜面、徐々に急な斜面となりきついラッセルが続く。
野田ヶ山山頂には7時20分着。生憎の雪とガスで視界不良、強い風を避けてしばし休憩&写真タイム。
 ここからA隊、B隊が別れる。我々A隊は、当初はユートピア小屋経由、宝珠越で下山する予定だったが、荒天が予想されたためザックをデポして親指ピークまで偵察して戻ろうということになる。
ワカンからアイゼンに履き替え、視界不良の中を進むが、徐々に稜線が痩せてきて、ついには痩せ尾根になんとか雪が乗っかっている状態となってきた。
右はブッシュだが左はスッパリ切れ落ちている。ここからSACの城代君がトップ、三田がビレイして50mザイル一杯のところのピークまで行ってフィックスする。
次に窪田君が行くが、時間切れのためフィックスポイントまで行って引き返してもらう。親指ピークはこのピークからもう少し先だった。
通常はビレイポイント付近から左をトラバースするのだが、今シーズンは大雪のためトラバースは自殺行為で稜線づたいしかない。
しかも今回は空身でも時間がかかったので、ましてや重いザックを抱えて越えるとなると、とてもユートピア小屋に辿り着くことは無理。途中、ビバークは避けられず、今回、引き返す判断は適切だった。
 野田ヶ山に戻ると幸運にも視界が開けてきて、青空の中、白く輝く三鈷峰、ユートピア小屋が姿を現し、振り返ると黒い壁を従えた甲ヶ山も見渡せ、とても幸せな気分となる。
 しばしの写真タイムを過ごし下り始めるが、B隊が下ってから約2時間の間に上部のトレースは消えかけていたが、だんだんトレースがはっきりしてきて大休小屋へ到着。腹ごしらえしてから大休小屋へ別れを告げ、下山を開始するが、野田ヶ山での束の間の晴天が嘘のように風雪とも強くなってくる。
 B隊のしっかりしたトレースを辿るが、途中、トレースが昨日登って来た方向とは違う方向に降りているのではないかと慎重になり、しばらく思案し、トレースをはずして右に進む。あらためてGPSで現在地を確認すると、B隊のトレースで間違いないことを確信する。
 途中、城代君トップの登り返しで、直ぐ目の前の雪面にクラックが走るが、トップの適切な判断で左に巻いてそこから脱出する。やはり弱層のせいであったことは間違いない。
トレースに復帰して、川床には15時15分着。悪天が予想される中、テント泊を敬遠し、全員一致でまたまた吹野邸にお世話になることに決定する。
そうと決まれば、皆、疲れている身体に鞭打って黙々と歩き、大山情報館には丁度17時に辿りつく。
 長崎組はシャトー尾高で汗を流し、Aコープでアルコールを仕入れた後、吹野邸で総勢20人の大宴会。順さんのマシンガントークが炸裂し、大いに飲んで食べて笑い、またまた楽しい夜を過ごす。
 2月13日(日)名残り惜しい中、吹野邸を後にする。寒波襲来のため、中国道の通行止め等規制があったが、情報収集して規制区間を避けて、長崎には18時30分過ぎに到着、無事、大山合宿を終えるが、リーダーを含め若干名、吹野邸でまたまた忘れ物が発覚する。くれぐれも指差呼称で忘れ物根絶を!
 吹野さん宅には大人数で二晩もお世話になり、また、朝食やお湯の準備などなど、本当に感謝感謝の山行となりました。またお世話になりますので、よろしくお願いします。



吹野 洋子

B隊報告
▼2/11(金)1:00頃、長崎10名次いで下関7名が到着され、すぐ仮眠してもらった。
6:00起床、人数が多いので交替になるかと思っていたが、居間に全員座れて朝食をとることができた。
6:40頃には4台の車が次々に出発、道路が凍結していたので祈るような気持ちで上がっていったが、全車止まらずに上がれてよかった。
シュラフを吹野宅に忘れた人がいて、届けに上がった夫によると、もう少し遅かったら上がれない車が続出して停滞していたそうだ。
 シャトルバスに乗って情報館に集合した。ここで共同装備や食糧を分配してパッキングした。
下関が先に出発、長崎は8:50出発、長崎組は無料なので豪円山リフトに乗って上がった。それでも下関組は大分先に進んでいてしばらくして追いついた。
9:40川床到着。下関の城代さんを中心にA隊が前に出てラッセルをされた。雪は大分締まっていて歩きやすい。ルートのとり方が夏道と違い、東谷よりの尾根伝いに進んでいった。
 曇っていて三鈷峰や甲ヶ山までは見えないが、視界は悪くない。B隊は後の方をついて歩くだけなのでのん気なものだ。
 そうこうして大谷まで進んできたが大雪で谷が随分埋まっていた。いつもより谷の標高の高い所を渡って野田ヶ山山腹に出て、少し高い地点から大休峠に下りていった。
15:00小屋が見えるとうれしいものだ。野田ヶ山山腹でテントを張るのかと思っていたが、小屋まで行けたので小屋で泊まることになった。通常の入り口からは入れず、窓が開いたのでそこから入った。
後で入り口も雪かきしてくださった。16:00頃から夕食が始まり、やはり下関組が早くて1回目乾杯、次いで長崎組の用意もできて2回目乾杯。
自己紹介もしたが、私にとって年1回の合同山行でも回数が重なると親交も深くなり、毎年楽しみにしている例会だ。20:00就寝、大休小屋の板の間に18人がよく横になれたものだ。
▼2/12(土)4:00起床。朝食や身支度はすぐできるが、トイレがひとつしかないのでみんなが済ますのに時間がかかる。6時出発、昨夜降り積もった雪がさらさらしていて気持ちがよいが、天気が悪くて風が強い。
長崎B隊は後について登っていく。東さんがすぐ小屋に引き返して待っているそうだ。
7分目くらい登った所で、風雪が強いのでこの辺りで引き返しては?という人もいたが、登りたい私はすぐだからと言って頂上まで行った。
7:30いつも冬にお目にかかる山頂の木の陰が風もあたらなくて、みんなで記念撮影できたし、ピークも踏むことができた。ここからA隊は親指ピークに向かっていき、B隊は下山にかかる。
 8:40大休小屋に戻った。行動食をとって休憩した後、パッキングをして川床へ向かう。
初参加の川添さんが7キロ以上あるスタドームテントを一人で担いでくださった。
9:30小屋出発、下関B隊は早くて先に進んでおられて、そのトレースを辿っていく。10:00頃には晴れ間が出てきて甲ヶ山も見えるし樹氷も美しかった。
大谷の所で下関に追い付き、私達も前に出てGPSをチェックしながらラッセルもした。
新雪が降り積もって昨日のトレースは完全に消えていた。そのうち木に1176ピークという札がかけてあるのを見つけた。小さくてもピークはうれしくてB隊で記念撮影をした。
 この頃から空が暗くなってきて雪が降り出した。東谷沿いの尾根を下っていって、右に進むと見覚えのある二股になっている大木の所に出た。
順調に進んでいると安心したのがいけなかった。谷を下りすぎてしまい、また登り返すことになってしまった。
GPS上では間違いないのだが、地形を見ていると不安になり、地図も出してみんなで何度も確かめて進んだ。そうこうするうちにトレースを見つけた。
 昨日の私達の後を辿ったらしく、ピンクのリボンもつけてある。今度はルートの心配はないのだが、急斜面の表層に新雪が乗っていて、降りにくかった人や雪に流された人もいた。
そのうちA隊も通りかかり16:00川床に全員揃った。A隊も1176ピークから迷われたそうだ。
登りは上がっていけばよいのでわかりやすいが、下りは登りと違う尾根や谷を下っていきやすく気をつけないといけないということを体験してよくわかった。
川床でテント泊の予定だったが、夜荒れるという連絡もあり、吹野宅に泊まることになった。最後の頑張りで情報館まで歩いて、17:30頃のシャトルバスで下りた。
吹野宅では2パーティーが山小屋泊まりという感じで皆さん慣れたものだ。夜は全員熟睡、疲れをとって13日8:00帰路についてもらえた。

コースタイム
2月11日
リフト乗場8:40→川床9:45→大休小屋14:55
月12日
<A隊>
大休小屋6:10→7:30野田ヶ山8:20→8:50親指ピーク手前のピーク9:30→10:00野田ヶ山10:30→11:07大休小屋11:40→15:15川床15:30→大山情報館17:00
<B隊>
大休小屋6:10→7:40野田ヶ山8:00→
8:45大休小屋9:45→14:40川床15:30→17:00大山情報館
参加者:会員11名