第1530例会 祖母山〜傾山縦走

九州岳人の憧れ・登竜門! 「祖母山・傾山縦走」10月21・22・23・24日

倉嶋 千秋

前から憧れていた「祖母山・傾山縦走」。広島からの参加で前日、田尻さん宅に泊めてもらった。今回、田尻博子さんのリーダーの下、念願が叶った。次の日、車2台でキャンプ地の「ほしこがinn尾平キャンプ場」を目指す。

▼10月21日(木)曇り
AM9:15 石川さんを拾って高速下村PAで平山さんと合流。田尻車に田尻夫妻・石川さんが乗車、平山車に私が乗せてもらい一路、今夜の宿泊地を目指す。
この日は、お天気もまあまあでこの先の3日間も天気予報では大丈夫だった。
 ほしこがまでは誰も行ったことがなく、平山さんの車のナビだけが頼りだった。玖珠ICを降りて竹田方面に向かい、何とか近くの道の駅まで来て、夜のお酒やおつまみを調達する。
 キャンプ場に早く着き、手続きを済ませ下のキャビンを覗きに行った田尻さんのご主人がキャビンの扉が開くことを発見してきた。そこで、管理人が帰ったらキャビンが使えるんじゃないと良からぬ事を思いついた。みんなも見に行って「いいね!いいね!」と賛成した。ところが、いざ、中へ入ってみるとかび臭くてしょうがない。
 私と平山さんは、「ダメ!無理!」と外へ。他の2人はかび臭いね!でも…。何と田尻さんのご主人は、「全然大丈夫!問題なし!」と、気に入った様子。
田尻さんのご主人の鼻はどうなっているんだろう?羨ましい限りである。すったもんだのあげく、田尻さんのご主人が一人でキャビンに寝ることになった。そして私達はテントへ。
 楽しい夕食も終え、翌朝5時起床なので早めに就寝した。

▼10月22日(金)曇りガス
キャンプ場6:00−九折登山口7:10−三ツ尾10:20−三ツ坊主分岐10:50−傾山頂上14:10−九折小屋16:10 休憩含む
 朝5時起きで6時にキャンプ場を出発。平山さんの車を置いて田尻さんの車に乗り、九折登山口を目指す。天気は晴れると思っていたが曇りだった。まあ、次の日がメインだからいいか。九折に着いて準備をし10〜16キロにもなった重たい荷物をそれぞれ背負って出発するが、肝心の登山口が分からない。
 どこだろう?みんなで暫く探す。そうこうするうちに、貯水槽の横にある道らしいことに気づく。ちょっと登ったところに、隠れるように登山口の標識があった。こんなところにあっても分からないよね!とみんなで愚痴る。
 期待した紅葉は、ところどころ見頃を迎えてきれいだった。お天気が良ければもっときれいだっただろう。三ツ坊主の分岐で岩場を行くか迷ったが、当初の予定の岩場コースを行くことにする。途中、このコース一番の核心部のチムニーが現れ、博子さん、石川さんは難なく登って行った。私は荷物が重かったので田尻さんのご主人が私の荷物を持って2回登ってくれた。ありがたいが情けない。荷物がないと何と楽に登れることか!傾山へ最後の登りで、この日最初の男性3人組の登山者に出会った。この日は静かな山歩きだった。

 頂上へ着くと、遠くの山々が中腹に雲海をまとい、頭だけだしてとてもきれいだった。山肌の紅葉も見事で、晴れていたらと悔やまれる。
 記念撮影をして軽く行動食をとり、少し休憩した。私は頂上直下から少し頭が痛く、吐き気もし、ものすごく眠かったので何も口にせず、暫く横になって休んだ。きっと、前日、寝不足だったのかもしれない。15分くらい休ませてもらい、お湯と平山さんがブドウ糖をくれたので、それを食べ動けるようになったので、私と平山さんと田尻さんのご主人と3人で九折小屋を目指した。博子さんと石川さんは先に出発してもらった。
 小屋に着くと、博子さん達は水を汲みに行ってくれていた。後を追って田尻さんのご主人も行かれた。暫くして、みんな揃い夕食の準備をして美味しくいただいた。平山さんが昨日、道の駅で買ったお酒が出たり、私が重いからと田尻さん宅へデポしたはずの梅酒が、田尻さんのご主人のザックから出てきた。すごい!いつの間に!うれしい!
 小屋は私達の貸切だった。シュラフに入りさあ寝ようというときに、1匹の蛾がうるさく窓を叩いていた。私はあの手も苦手なのでシュラフに頭も入れて、落ちてきませんようにと願いながら、じっとしていた。そうしたら、隣に寝ていた石川さんがパッと起き、蛾に向かっていった。いや、蛾を逃がそうと窓を開けるがなかなか出て行かない。
 静かになったので、出て行ったと思いきや、またばたばたといいだした。さすがに石川さんも諦めてシュラフに潜り込んだ。

▼10月23日(土)ガス・小雨
九折小屋4:50−笠松山6:53−本谷山8:25−ぶな平9:45−尾平越10:24−尾平分岐10:48−古祖母山12:49−障子岳13:53−天狗岩分岐14:57−祖母山頂上16:22−祖母山九合目小屋17:05 休憩含む。

 朝4時起床。この日はメインのコースなので、少し気合が入る。急いで朝食を済ませ準備を整え出発する。天気は残念ながら、ガスっていて何にも見えない。登山道さえ分かり辛い。
 ヘッドライトの明かりを頼りに、道を探しながら歩く。途中で登山道から外れみんなで道を探す。暫くしてようやく登山道を見つけることができた。この祖母・傾縦走コースは前日から標識の表示が見にくいのと、標識が少ないと思った。リーダーの博子さんは「管轄の市町村へ一言、言わねば!」と怒っていた。そうだ!そうだ!
 空が白み始め明るくなって来て、登山道も分かるようになった。この日の行程は長いので主な山の山頂を踏んで、展望台は天気も悪かったのですべてパスした。

笠松山・本谷山を越えてブナ平(キャンプ適地)の辺りは、言葉にならないほど素晴らしく、きれいだった。登山道もずーっと歩いていたいほど歩きやすく、美しかった。
 紅葉もそれなりにきれいで、ガスの中のそれもまた見事だった。「あー来て良かった」と心からそう思った。
 順調に歩を進め、古祖母山の頂上近くに来て、どこが頂上か分からず持ってきたGPSをみて見る。すぐそこだった。ここはたくさんの登山者がいて賑っていた。私達は先を急ぐので写真だけ撮って出発した。
 障子岳に着くと、すごくガスっていてどっちの方角へ進めばいいか分からず、みんなで道を探す。ここでまたもやGPSのお世話になる。持ってきて良かった。
前半、ちょっとのんびり歩いたので時間が迫り急ぐ。がしかし、またもや道をはずし天狗岩の鋭い岩場を目の前にして、ここは違うと気づく。おまけにすごい風が吹いてきた。
 引き返し、本来の登山道に戻る。祖母山の最後の登りに取り付く。ここで、田尻さんのご主人が遅れだし奥さんがそれに気づき、体調を気遣う。「唯一の男性がここで動けなくなったら困るのよ!頑張って」と激を飛ばし薬を渡す。さすがリーダーだ。
 暫く行って、平山さんから例のブドウ糖をもらい元気になった。良かった!
 祖母山の登りで唯一の梯子場に到着。雨で滑りやすくなっていてゲーと思ったが、慎重に行くしかない。そんな足場の悪いところが頂上直下まで続く。何と最後の最後、疲れきっているところへ試練が待っていた。でも、大丈夫。慎重に登れば…。

 そして、祖母山頂上に着いた。みんなで健闘し合い抱き合って喜んだ。私はちょっと涙が出そうになった。うれしかった。とっても嬉しかった。
 周りの景色はガスで見えないけど、それ以上にみんな感動した。頂上で記念撮影をして、九合目小屋へ向かった。がしかし、これまた小屋が見つからない。たしかこの辺だと思ったけど…。ない!小屋がない!慌てる。慌てる。
 もう一度、標識を見に戻る。再度、違う道を下る。「おーい」と叫びながら降っていくと「あった小屋が!」良かった。小屋の管理人さんに説明をしてもらうが、あなた本当に管理人?と言う感じの人で、掴みどころがない。大丈夫かなと心配していたら、何とか話はまとまった。この日は、先客がいて混んでいた。こんな日は珍しいと管理人さんは言っていた。
 小屋に頼んでおいたビールで乾杯して、縦走最後の夕食、散し寿司と何と豪華に永谷園のマツタケのお吸い物!を食べた。おいしかった。
 食事が終わり、コタツに入れてもらいながら管理人さんとお話をするが、面白い人だった。というより変!いろんなジャンルのCDを持っていて、1,2曲聴いては「次は何が良い?」と聞いてくる。何にも言ってないのに、「ジャズがいいね!」と言ってジャズを掛ける。「じゃあ聞くなよ」の世界である。おまけに、もうひとつ気になったのが、寝るときちゃっかりパジャマに着替えていた。まあいいけど…。それも有りか…。
 この日の宿泊者は長崎の人が多く、話が弾んだ。中でも、女性二人のグループの中の一人が、何と長崎山岳会の元会員の姪御さんだったことがわかった。世間は狭い!
 シュラフに入って、この日のコースを思い出し余韻に耽っていたら、なかなか寝付けなかった。この日は一番長いコースだったのに、一日目よりも疲れていない。
 たぶん、周りの景色を楽しみながら歩いたからだと思う。
 さあ、明日が最後の歩きだ。頑張らなくては!

▼10月24日(日)雨
九合目小屋8:00−宮原分岐9:18−尾根コース分岐11:11−ほしこがinn尾平11:55
 縦走最終日、この日は降りるだけなので出発は8時とゆっくりだった。朝食を終え、小屋を出るが、またしても道を間違う。あれ、この道、昨日降って来た道だから違う。また小屋の前に戻る。標識を探す。分かり辛いところに見つける。まったくもう!
 あれじゃあ、標識の役割を果たしていない!とみんなで怒る。
 と言っても、今日は降るだけだから心も身も軽い。でも、天気には今回は見放されてしまう。3日間ともガス・雨だった。残念!
 降りの登山道は滑り台と化していた。滑る!滑る!石川さんが滑る!私の前を歩く石川さんが面白いように滑る。おっとごめんなさい。でも、笑いの壷に入るくらい笑わせてもらった。すみません。でも、滑り方も上手!大したものだ。見習わなくっちゃ!
 随分降って休憩をしているときに、石川さんのザックからまだ持っていたのと言わんばかりに、キウィが出てきた。美味しかった。

 順調に降りて、やっと「ほしこがinn尾平」に到着。三日間お疲れ様でした。
 キャンプ場のお風呂に入り、ゆっくりと三日分の汗を流しさっぱりした。帰路は行きにも寄った道の駅で野菜の買い物と昼食を摂り、小屋で飲んだお酒をGetしようと作り酒屋へ足を伸ばし、お気に入りのお酒をそれぞれ買った。
 帰りは大分米良ICで高速に乗るが、由布IC手前ですごい霧に見舞われ、別府湾PAでしばらく様子を見る。情報で由布岳ICと大分ICが通行止めとわかり、とりあえず高速に乗って降ろされたら下の道を走ることにした。
 しかし、霧はすごかったがゆっくり50キロで走れば問題なかった。途中で霧もはれ、誰も通っていない高速を二台で悠々と走った。結局、高速から降ろされることはなく、金立SAまで順調に走った。ここで、精算をして夕食の噂の「シシリアンライス」を食べ、平山さんと別れて、長崎北部へ戻った。石川さんを家まで送り、私はこの日も田尻さん宅にお世話になった。翌日、私は広島へ戻った。

念願の祖母・傾縦走を終えて、改めて今回参加のみなさんにお礼を言います。
ありがとうございました。お世話になりました。今回のメンバーと一緒に歩いてたくさん学ぶこともあり、楽しく縦走できたことは幸せでした。
 今度は広島の山を歩きましょう!
参加者:会員5名