第1518例会 霧島縦走・開聞岳

西川 陽

 5月連休の山行は例会計画では「四国の山」であったが、リーダーが小生に変更になったため、「霧島縦走」と「遠くから眺めるだけで登ったことのない開聞岳」の「3泊4日定番コース」に変更させて頂いた。
参加者は7名、霧島のツツジは時期的にやや早く殆んど見られなかったが、好天に恵まれたことで ゆとりをもった山行ができた。
▼4/29高速今村PAへ9:30集合、車2台で九州本土南端を目指し出発。最初の休憩地・北熊本SAで昼食としたが、ここで偶然にも「阿蘇の桜草観賞」に行かれるという中島義信ご夫妻と会い、植木名産の「サマーオレンジ西瓜」を差入れ頂く。
心配していた高速の渋滞もなく予定より早めの開聞到着となるため、急遽枕崎経由にコース変更して「枕崎お魚センター」へ直行。鰹を1本購入。これを交渉上手なメンバーが魚屋のおばちゃんに刺身にさせて 予定の17:00にキャンプ地の「かいもん山麓ふれあい公園」に到着。ここで幕営。
本場「枕崎の鰹」の刺身は南九州の焼酎との相性がよくおいしかった。
▼4/30は5:30起床、天候晴れ。7:25開聞岳山頂に向けて出発。イベント広場で開聞岳をバックに写真撮影後、二合目の登山口から松林の中をゆっくりペースで歩き始める。

三合目くらいから本格的登りとなり、火山礫のザラザラ道を経て8:35に五合目に到着。この付近から視界が開きはじめ、海に突き出た長崎鼻が見えた。
七合目付近からゴロゴロした岩の道となり歩きにくい。登山道は狭い一本道。連休 且つ 日本百名山の一つとあって行き交う登山客が多かったが、ゆっくりペースの我々は道を譲り休憩も十分にとって、924mの山頂へは10:10に到着。
岩がむきだしの狭い山頂で早めの昼食を取る。山頂からの360度の展望を期待していたが 黄砂の影響か全体的にモヤッており近くの池田湖も霞んでいる。
特に東シナ海に浮かぶ屋久島を見たかったが残念。10:40下山開始し麓のキャンプ地には13:30に戻る。休憩・昼食入れて約5時間かけた。春は天候良くても昼間の遠景眺望は無理なようだ。
「薩摩富士・開聞岳」は、どこからでも特定できる秀麗な山であるが、この日は 登るよりも見る山という感じがした。下山後は近くの温泉で入浴、昼間の風呂はお客も少なくゆっくりと汗を流す。
その後、池田湖を経由し指宿の道の駅で酒肴類を調達。鹿児島湾沿いに北上し鹿児島市の谷山ICより高速で宮崎県・えびのICへ降り 幕営地の「えびの高原キャンプ村」へは17:00到着。夕食後 明日は霧島縦走ということで 早めに就寝。
▼5/1も5:30起床、天候晴れ。7:15に車で韓国岳登山口まで向かう。ここから男性2名は本日の下山・宿泊地である高千穂河原へ車を回すが、往復約1時間要すため女性5名には先発頂くこととした。

先発組は7:30登山開始、9:05韓国岳山頂(1700m)着、一方後発の男2名は車デポ後、韓国岳登山口に戻り8:20に登山開始9:25山頂着。
山頂で待機していた先発組と全員で写真を撮る。風強く体が冷えてきた先発組は写真撮影後、獅子戸岳を目指し即出発。後発組は山頂で暫く休憩し出発、9:55獅子戸岳迄約2kmの地点で合流し、以降は全員で行動とした。
この日は前日の黄砂も無く見通し良好。右下の大浪池や前方の新燃岳の火口、その先の高千穂峰がよく見えて歩くのが楽しい。
獅子戸への下りの琵琶池周辺にはミヤマキリシマの群落があるが青葉が出たばかりで花は見られず。11:15獅子戸岳山頂(1429m)へ着くも、ここは素通りして新燃岳へ向かう。
途中、新湯に下る分岐点で休憩。ここには登山道より50m東に入った藪の中に携帯トイレ専用のテントトイレがあった。

テントの前の立て札には「携帯トイレを持ってない方は利用できません」と表示されており、中を覗くと真ん中に洋式便座が設置されていた。
環境省は登山者の利便性向上と自然環境の保護を目的に簡易トイレブース設置に力を入れており、霧島連山が「携帯トイレ普及啓発キャンペーン」のモデル地区となっているらしい。
現場の様子からは あまり利用されているようには思えなかったが「出物腫れ物所嫌わず」で、「お構いなし」の小生等も世の流れに沿うべく そろそろ考え直す時期?なのかも。
この地点から登りつめた新燃岳北端から火口を見ると数箇所ガスが噴出しており、中央部にはエメラルドグリーンの水をたたえた火口湖があった。なんとも言えない美しさに感動。
新燃岳は2週間前迄は噴火で立入規制となっていただけに 今回の縦走が実現し、この光景を目の当たりにすることができて幸運であった。新燃岳山頂(1421m)には12:10到着。

山頂火口壁付近は風が強く時おり吹き飛ばされそうになる。そのため昼食は中岳に下る鞍部で取り 中岳から高千穂河原へ下った。このあたりはミヤマキリシマが多く、ほんの少しではあるがピンク色の花も見られた。
高千穂河原には14:05到着。行動時間6〜7時間、最高の天候と視界に恵まれ 快適な縦走となった。下山後は近くの温泉で汗を流し、高千穂河原キャンプ場に幕営.我々のテントの隣には今夏の霧島山系・高校総体で世話役をする宮崎・鹿児島両県の高校生約50名(テント数10数個)が研修に来ており若者の熱気を感じる。
久しぶりに若者と話す機会を得たが、グループ単位で真剣に夕食作りに取り組む彼らの姿に爽やかさを感じた。
▼5/2は山行最終日。 起床5:30 天候 晴れ・薄曇り。7:20高千穂峰を目指し出発。霧島神宮古宮跡から石畳の遊歩道を登ると、滑りやすい溶岩のザレ場の急登となる。
振り返って下を眺めると登山者の多いこと、特に家族連れが目立つ。姿・形のよい霧島連山のシンボル的存在のこの山は人気が高いのだろう。
お鉢の火口壁には8:30到着。お鉢の火口は噴火の繰り返しで白くなっていた。強風の中 火口縁に沿って約20分歩き鞍部へ下り休憩・行動食を取る。
ここから山頂への最後の登りで漸く9:30高千穂峰山頂(1574m)着。鞍部を過ぎた頃からガスが急に発生し始め 山頂は強風とガスで視界悪く寒かったため 天の逆鉾を廻り、山小屋を覗いて10分足らずで下山した。
下山開始直後から、小雨がパラつきだした。下山路はよく滑るために慎重に歩くが、登ってくる多くの登山者との離合等で時間がかかった。
高千穂河原への最終ゴールは11:20、小雨も山の中腹までのようでこちらは好天。キャンプ場に戻って昼食を取った後、新湯温泉で入浴、えびのIC経由で帰崎した。高速の渋滞もさほどなく予定より早めの17:00頃金立SAで解散とした。
▼今回の3泊4日の山行は、宿泊・幕営場所を毎日変え、全移動距離も1000kmを超す遠距離ではあったが(1000円高速利用はこれが最後?)、その割りには疲労の残らない山行であったような気がする。それは@登山道が整備されたコースで道迷いの心配が少ないA前日に足元に到着し、幕営地は生活環境のよいキャンプ場を利用B翌朝早くから行動し、ゆっくりペースで歩くC行動時間は4〜7時間程度/日とシルバー向けで、登山後は温泉で気分転換・・・というところであるが「何よりも天候に恵まれたこと」、これが この山行を楽しくさせてくれた最大の要因であると思っている。

コースタイム

1.開聞岳(4/30)
かいもん山麓ふれあい公園発7:25→五合目8:35→開聞岳山頂10:10着・山頂発10:40→かいもん山麓ふれあい公園着13:30  (行動時間 約5時間)
2.霧島縦走(5/1)
韓国岳登山口発7:30→韓国岳山頂9:05→獅子戸岳11:15→新燃岳12:10→鞍部(湯之野分岐点)昼食休憩12:25〜12:50→中岳13:10→高千穂河原着14:05   (行動時間 約6.5時間)
3.高千穂峰(5/2)
高千穂河原キャンプ場発7:20→ お鉢火口壁8:30→鞍部8:50→高千穂峰山頂9:30着 山頂発9:40→高千穂河原ビジターセンター着11:20  (行動時間 約4時間)

参加者:会員7名