第1497例会 元越山

西川 陽

「夏の真っ昼間に山頂からの遠景眺望を期待すること自体に無理があったのか」と、改めて反省・実感した山行であった。
 大分県南部の佐伯市に位置する元越山(もとごえさん)は雑誌「山と渓谷」の「展望のよい山全国選抜12」で紹介され、九州百名山にも選定されている581.5mの低山である。
標高は長崎の八郎岳(590m)程度だが、ガイドブックには「地球が丸く見えるほどの展望」とあり、「眺望」と「休日高速割引料金の活用」とを絡めて、この例会を計画実行した。
しかしながら登山中の天候はよかったものの「期待の山頂からの眺望」はほとんど効かず…現実はそんなに甘くは無かった。
 8/1(土)6時に参加者6名・車2台で長崎を出発。金立で朝食後、大分自動車道を走るが九州南東部の太平洋上に長らく居座る低気圧の影響か、大分県山間部の天候は晴・雲・小雨と不安定。
特に湯布院・別府間は濃霧で視界不良のため徐行を余儀なくされる。
 それでも別府湾沿いに出ると晴れてきたため、休憩を取った別府湾SAから瀬戸内海方面を眺めたが眼下の高崎山さえモヤでよく見えず。
「これでは元越展望は期待薄か」と思いつつも雨の心配は無いため予定通り登山口へ向かう。
 昨年6月開通した東九州自動車道佐伯IC下線後、登山口の色利浦には10:40到着。
 元越山には西側の木立登山口から登るのが一般的だが、今回は東側の豊後水道・米水津(よのうず)湾に面した色利浦(海抜数m)から登ることにした。
 このルートは2007年に地元の有志17名が地域おこしのために2ヶ月かけて開拓した登山道で、随所に海を見下ろす展望所が設けられており、林の中を歩く木立ルートよりも景色も足場も良い。
また標識が適宜設置されており道迷いの心配も無い。
 11:05出発。登山口に山頂までの歩行距離は2550mと表示あり。標識の距離表示はキロ(km)で表わすのが一般的であるがここはすべてメートル表示。
これを作った地元民の熱意のようなものが伝わってくる。
 クヌギ・コナラ・山桜等の林を抜けると、海が見えるよう松の木等を伐採した展望所が山頂までに4箇所あり。展望所からは九州本土最東端の鶴御崎をはじめこの地の特徴ともいえるリアス式海岸の半島・岬・島が見える。途中林道で休憩後シダの茂った道を登りつめ12:50山頂に到着。
 山頂には一等三角点や地理調査所の八角形の天測点の標柱と共に、地元住民が2000年に設置した1m四方の御影石製「元越山頂展望図」の石碑があった。これには東西南北4方向に見える景色を図示しており、天井部分にはこの山に特別の思いをもっていたと言われる明治の文豪・国木田独歩の随筆?の一節が紹介されている。
 ちなみに 石碑の「東方向」には鶴御崎から豊後水道・リアス式海岸の各集落・四国の山々「南」は日向灘と宮崎県北東部の山々「西」は大崩・傾・祖母・くじゅう連山・由布岳等「北」は佐伯・津久見の島・半島をへだてて佐賀関・豊予海峡から四国の山々…が図示されている。
 しかしながら天候はよいものの遠くは霞んでいて実際に我々が見た(見えた)のは足元近くの半島の一部のみ。登山途中で眺めた近くの鶴御崎でさえ正午過ぎの山頂からは霞んで見えなかった。「期待の眺望はやはり駄目か…残念至極」ということで冒頭の感想となった次第である。
 天候まずまずの土曜日であったが他の登山者はおらず、山頂を独り占めして佐伯市内で購入した大分名物・吉野の鳥飯(握り飯)を食べて 約50分後に下山。
15時前に登山口へ帰着。
 その後男性軍は釣り場に急ぎ、当日は津久見市の空家で海の幸をメインとした夕食を取る。
元越山には「翌日早朝再挑戦しようか」との話も出たが8/2は朝モヤがひどく視界不良、且つ 二日酔いのため再登山は断念し「歴史の街・臼杵観光(二王座・臼杵石仏等)」をして18時過ぎに長崎へ戻った。
 長崎から走行距離で約350kmの元越山であるが高速道路開通により東の果ても近くなったと実感。
「九州本土最東端の鶴御崎(元越山)で朝陽を拝み、夕方に西の果ての平戸近く(冷水岳)で夕陽を眺める」という山行をやりたいと、山上さんが言っていたが「元越山」は空気が澄んだ時期に再チャレンジしたい山である。もっともガイドブックには「最近は大気汚染がひどく年間を通して{元越日和}はわずか」と記載されておりそのタイミング(時期)設定には一苦労しそうであるが。
 
コースタイム
色利浦登山口出発11:05→5合目12:00→元越山頂着 12:50→山頂出発 13:45→色利浦登山口帰着14:50

?参加者:会員6名