第1493例会 久住南面
石川 純子
赤川温泉から登った2月の九重例会で南面づき、ミヤマキリシマも楽しめるのではと組まれたのだが、締切日になっても申込み0、アレレ・・・しかしピンチヒッターのリーダーはこのコースを歩きたく、サブと二人だけの山行となった。
6/6(土)早朝5時15分長崎を出発、怪しい曇り空からそのうち降り出したが、高速を快調にとばし九重ICから四季彩ロード、牧ノ戸、瀬ノ本を通り本山登山道の展望台に8時30分着。
山はガスっているが時々うす陽が射す。駐車場で身支度し、草刈ボランティアの若者達に挨拶して歩き始める。
真っ白なエゴノキの花が散り敷く林の道をわずかに上下しながらくたみ分れへ。
「くたみ」は遠く風土記や万葉集にあるくじゅう山の古名「くたみ峰」「朽網(くたみ)山」からきている由緒ある名らしい。
ここから九州自然歩道になっている鍋割坂をゆっくり登る。昔は法華院への荷を背に牛馬が通ったという道は、標識も多く整備されていて歩きやすい。
地蔵をまつった鍋割峠でひと休み。ガスで殆ど山は見えないが風が涼しい。
5分程下ると小さな湿原佐渡窪に出、左手山腹に雨期用の巻道があるが、今は乾いた砂地の上の木道を歩く。
山奥の幽玄な所を想像していたが、湿原植物も余り見られずイタドリばかりがやたらと目立ちいささか期待はずれ。
木道が終ってひと登り、鉾立峠近くなると盛りをすぎたミヤマキリシマが見られだした。峠で初めて立中山や白口岳から下ってきた登山者に会う。
ずっと林の中だったのが、峠では風が強くて寒く雨もパラパラ降り出し、お昼をそこそこに済ませ、雨具をつけて白口岳を目指し急登に取り付く。
登るほどに見頃のミヤマキリシマがドンドン増え、株によって微妙に色が違うのを「あれがきれかー、いやこっちの方が…」と目移りし、急坂もさほど気にならない。
マイズルソウ、イワカガミ、ベニドウダンなどもまだまだきれいだ。ほどなく雨もやみ陽が射してきて雨具をぬぐ。
振り返ると立中山にはピンクのベルト、佐渡窪もだいぶ下になっている。標高が上るとコケモモのかわいい花もたくさん見られた。
13時25分白口岳頂上(1,720m)頭上は青空になりミヤマキリシマのピンクが一段と映え、花と美女(?)のポーズをとったり、久住、稲星、中岳の展望を楽しんだり。
大船は姿を見せなかったが、三俣の鮮やかなピンクのスカーフはガスの中に見え隠れする。
三俣には負けるが中岳の山腹もなかなかのもの。登山者もグッと増え、山頂やそれらをむすぶ登山路もにぎやかになってきた。
ここから稲星とのコルに下り中岳を往復する。
中岳上り口 |
中岳頂上 |
めでたい紅白の
ミヤマキリシマ |
取りつきの五差路で一株の白いミヤマキリシマを見てひと登りすると、九州本土最高峰の中岳(1,791m)に着いた。
時々ガスにかくれる九重山群の展望を楽しむ。
久住方面から天狗ヶ城、中岳、稲星、白口に登り、牧ノ戸へ引返したり坊ヶツルへ下る人は多いが、南面から来てまた南面へ下ろうというのは我々だけだ。
稲星とのコルから鳴子山へと行きかけたがすぐ引返し沢水へ下る。30年余の昔に下った道だと思うのだが記憶はぼやけ、黄色のペンキ印が多く迷うことはないが荒れていて展望もきかず歩きにくい。
下るにつれてひどく長く感じたがコルから2時間余りで展望台にたどり着いた。靴を履きかえ沢水キャンプ場に移動する。
この時季土日は番人のおじさんがいて、入場料1人250円、テント持込1張1,500円の計2,000円を払い、2月と同じ場所に張る。あちらこちらと5、6張りのテントがあったが、山ヤは我々だけのようだ。
はじめは地ビール屋まで行ってこようかという元気だったのに、いざとなると350mlののどごし生1缶づつであっさりダウン! 早朝5時から動き、実質8時間余の歩きがこたえたのか・・・沢水の夜は静かに穏やかにふけていった。
6/7(日)天気はすっかりよくなり、のんびりとパンとコーヒーの朝食後、テントをたたんで沢水を9時30分出発。
懐かしの七里田温泉で昨日の汗を流し、ガンジー牧場でソフトクリームを食べ、寄るはずだった地ビール屋は見逃したものの、想定内コースで帰途につく(長崎17時着)。
この日は久住の山開きで、牧ノ戸あたりはずら〜っとはみ出し路上駐車。南面のあのひっそりはうそとしか思えない。
ともあれ念願のコースを歩き、当り年のミヤマキリシマを堪能し、広々とした久住高原の爽やかな空気に浸った幸せな2日間だった。
コースタイム
展望台9:00〜くたみ分れ9:30〜
鍋割峠10:20〜11:13鉾立峠11:42〜
白口岳13:25〜稲星とのコル13:57〜
中岳14:35〜稲星とのコル15:30〜
展望台17:40
参加者:会員2名