第1468例会 比叡山と雌鉾

下松八重 清幸

ガンバレー!ガンバレー!ガンバレー!
ホラッ、落ちるぞ!・・あー・・・!!
ヨッシャー。とうとう落ちたけど、斜め下流に流され止った。
雌鉾の滝見新道を上り詰めた所にある沢での出来事です。我々がクライミングしている時出合う、ちょっと厳しいポイントでの、ミシンを踏みながら必死にこらえる場面と全く同じ仕草のガマ蛙君でした。全員で拍手するやら、笑い転げるやら、それは、それは楽しいひと時でした。
今回のメンバーは7名。先発組みの窪田、吉村、三田、東は、9月13日早朝出発し、昼前に比叡の駐車場に到着。連絡を取り合って待ち合わせをしていた、下関山岳会の濱口さんと合流する。庵の石橋さん、蒲原さんも付き合ってくれることになっているが、待ち合わせまで少し時間があるので、皆で1スラの1Pで体を慣らす。時折パラパラと雨が落ちてきたが岩を濡らすほどではない。
 12:00過ぎに石橋さん、蒲原さんも到着。天気も心配なので、すぐに取り付ける第Tスラブと第Uスラブを登ることになった。
 第Tスラブを石橋さんのリードで窪田、吉村、第Uスラブを蒲原さんリードでM口、三田、東の2パーティとする。
12:30、第Uスラブスーパーの取り付きは第Tスラブスーパー・ノーマル、第Uスラブノーマルと同じで、トイレの左側から続いているフェンスの端から廻り込み、少し登ったところが取り付きである。
 1P目は、第Tスラブが左上気味に登って行くのに対し、第Uスラブは直上していく。
 2P目まではノーマルと同じルート。ブッシュ帯に入り、左が第Tスラブノーマル、その右が1.5スラブ、そして その右が第Uスラブスーパーとなっている。2Pまでは35m、40mいずれもW−。3P目からノーマルを登る。ここは中間部からホールドが細かくピンも遠くナカナカ厳しい、45m X+。
 4P目の途中から5Pにかけてはスーパー、ノーマルが合体しており、4Pも厳しく、35m X−。
 5P目 40m W。
 6P目からノーマルを右に分けてスラブを直上していくようになる。6Pはブッシュの中を右にトラバースしスラブを直上するルートで、40m Y+。
 7P目は30m Y−。終始安定した蒲原さんの動きはさすがである。 
 最終P W 30mは両側がブッシュ帯となり、その間を登るようになる。
14:30終了点に到着。
 先に登り終えていた第Tスラブのパーティと合流し握手を交わす。下降路は、クライマー専用の下降路(近道)を一気に下る。
 後発組の平山、倉嶋、下松八重は、12時ごろ長崎を出発、夕方、庵鹿川に到着した。
 那須商店を覗いて見ると、案の定先発組と、庵の連中がビールを飲んでいた。
後発組は、まず自分たちの寝場所を確保、それから夕食の支度にかかった。食当の段取り宜しく、焼きそば、ジャガイモの塩豚炒め、サラダ等がすばやい準備でできた。出来上がる頃には先発組も帰ってきて、7時ごろ鹿児島山岳会のメンバーもやってきた。今夜は、庵のメンバーを除いて20名くらいだ。庵では何時もそうなるが、オーナーとビギナーが自然と一体になり、色々な山談義で盛り上がる。
9月14日(曇り)
 夜半から降り出した雨は上がっていたが、外は濡れ、どんよりとした空模様である。
 7:00過ぎ、2台の車に分乗して庵を出発、約10分で鹿川キャンプ場に到着。駐車場には我々の車だけで他の登山者はいない。通い慣れた登山道を雌鉾岳へ向かう。途中で、今日は滝見新道の整備をするといっていた石橋さん達も追いついてきた。
 8:00過ぎに全員雌鉾岳南面スラブに到着。美しいトラバースルートの1P目の下部が少し濡れていたが、上部は概ね乾いているようだ、しかし中央バンドに至るトラバースはまだ乾いてはいないだろうと思われる。結局、美しいトラバースルートの松の木までの3ピッチを登り、あとは雌鉾岳のビューポイントとピークを登ろうということになった。雌鉾は濱口さんがリードすることになっていたが、「アンタ達をほっとけんけんね。」といって、石橋さん達は滝見新道の整備を後回しにして我々に付き合ってくれた。装備を整え、2パーティに別れ、松の木のビレーポイントめがけて登攀を開始する。
 吉村、窪田、平山は右(サブマリンの1P?)よりから、濱口さん、三田、東、下松八重は美しいトラバースを石橋さんにリードしてもらう。濱口さんが石橋さんをビレーし、下松八重が三田、東を上げる。このルートは松の木までは45mが3ピッチ、グレードはいずれもW級である。久しぶりの雌鉾のスラブの感触を味わいながら登る。
 ところどころ濡れた部分があったが全員問題なく終了点の松の木ビレー点に到着する。下りは南面スラブの左側樹林帯につけられた下降路を下ろうということになった。松の木から10m程直上して左へトラバース、途中ピンが一箇所ある。そのまま左の潅木の中へ入っていくのだが、木陰となっているこの部分には苔も生え、かなり濡れている。石橋さんは「濡れとってもすべりゃせんよ!」と言ってどんどん進んで行く。頼もしい限りである。潅木帯にたどり着き、木々を押し分け入ってすぐのところに下降路があった。ここで登攀終了。倉嶋さんが待つ、スラブの取り付きに下った。
 その後は、大滝の流れに深呼吸し、滝見新道を登り蛙の沢までひと登り、ゲラゲラ笑って、雌鉾岳のビューポイントに向かう。
 ビューポイントからは雌鉾全体が見渡せる。絶壁の上にあるので、そこに立って雌鉾を見ている人を見る方が怖い。しばし眺めを堪能し、一般ルートを雌鉾の頂上に向かう。
 石橋さんから行き方は聞いたが、全員ルートから頂上に登った人はいない。途中、迷ったり、渡渉したり、沢を下ったりして、最後のフィックスロープの所までたどり着いた。倉嶋さんは「私、もうここで良い皆上がって」と登頂を拒否したけど、皆で引っ張りあげた。
 13:50雌鉾山頂に到着。言うまでもなくそこはすばらしい眺めで、胸の中が空っぽになりました。景色を満喫し、全員で記念撮影して帰路についた。後は、どんどん下って、15:50駐車場に到着しました。
 その夜は、豚汁と餃子でまた盛り上がり、庵鹿川、鹿児島山岳会、下関山岳会の面々と親交を深めました。
9月15日(雨)
 いつもの通り、庵の前で記念撮影して9:20長崎に向けて出発しました。途中、日之影温泉に入って、秋の味覚を調達し、夕方長崎に到着し、例会を終わりました。
参加者:会員7名