第1465例会 洗谷遡行

〜洗谷遡行(沢登り研修会)に参加して〜

西川 陽

「暑い夏をシャワークライミングで吹き飛ばそう!初心者歓迎」この例会キャッチフレーズに誘われて沢登りに参加した。
なにせ初体験、ヘルメット・ハーネスに渓流靴と格好はつけたもののどんなコースを歩くのやら想像もつかず、周辺の様子を見ながらメンバーについて行く。
沢登りのメインであるロープ使用の小滝(5〜6箇所)の登攀には苦戦したが、研修委員及び2名の指導員のサポートのおかげで何とかクリア。全コース正面突破ができて満足感もあり、暑い夏の一日を楽しく過ごすことができた。
シャワークライミングは涼しく変化があり面白い。また、初めて着用した渓流靴は滑りにくく世の中には便利なものがあるものだと感心した。落ちても水の中(?)の沢登りは暑がり・汗かきの小生に合っているようだ。
 今回、沢登りの現場に直面しての反省点・課題を自己分析すると次項、改めて昨年の岩登り研修で学んだ基本事項の重要性を再認識した次第である。
(1)ホールド
安定したバランスで登るには三点支持による体重(重心)移動が重要だが適切なホールドを求めることができなければ 安定した重心移動はできない。 ← 四肢の長さに頼り 無理な姿勢から岩にへばりつくようなホールドが多かった。
「体を岩から離せ」と教わっているが 流れくる水をモロにかぶることもあり 本番ではなかなか実行できなかった。ホールドを見つけることにも苦労したが 無理のない姿勢から 手のホールドは頭の高さ程度とし 体を岩から離すとバランスよくホールド見つけやすくなるのであろう。
(2)三点支持と体重(重心)移動
三点支持の原則を守ってリズムよく体重を軸足から 次の軸足へ移動させることの難しさを実感した。← これは 上述の無理な姿勢に原因がある。岩場にしっかりとバランスよく三点支持の姿勢で足で立つ(足の置き場を安定させる)ことが必要であろう。
 以上、要するに「よいバランスは無理のない姿勢から」が原理原則のようだ。理屈はわかっているつもりだが、これを環境・局面の異なる現場ですばやく実践するのは容易ではなく相当な訓練が必要である。
その意味からも研修委員ならびに指導者2名のバランスのよい軽やかな登攀スタイルを見せて頂いたことは有意義であった。
今回研修での親切・タイムリーなご指導に対し改めてお礼を申し上げます。有難うございました。

倉嶋 千秋

8月3日(日) 暑い夏をシャワークライミングで吹き飛ばそう!をスローガンに洗谷へ沢登に出かけた。
北部組5名、南部組3名がそれぞれ三田・倉嶋車に乗り込み、今村Pで合流して洗谷へと向った。天気は少し曇りがちで途中、雨が降ったが問題なかった。
沢登りはこれまで2〜3回の経験しかなく少々不安だったが、会報の案内で高巻きも可能とあったので、いざとなれば高巻きへと思い覚悟を決めた。
洗谷井原山登山口で身支度を整え、いざ出発と思いきや吉村さんと東さんの出で立ちに笑いが起こる。
ヘルメットを忘れた東さんは畑で使う変形タオルの帽子、吉村さんはどこかの工事現場のおじさんスタイル。でも、後で技術は格好ではないことを見せ付けられる。
和やかな雰囲気のなか歩き出した沢登りも、いきなり一つ目の堰堤を過ぎた辺りの入渓地で腰までつかり‘うっとなる’。大丈夫か!でも冷たくて気持ち良い。
 一つ目の小さな滝を越えて進むが、足元の水の中は様子が分からず、雪渓をつぼ足で歩く時のように何度も深みにはまりバランスを崩した。でも楽しい!沢は間伐材などでかなり荒れていた。
仲間の話からすると台風や大雨で前よりだいぶ荒れているらしい。暫く行くと4mほどの滝が現れた。ゲッ、登れるかな?みんな難なく登っていく。
私の番になった。気合を入れて取り付くがあまりきれいとは言えない滝の水をどっさり飲んで溺れそうになる。海でも川でも溺れたことがないのに、滝で?気を取り直して何とか登った。
 小・中の滝をいくつか越えて、目の前に現れたのが何と10mは越しそうな滝だ。えぇ〜ここを登るの?無理!私はさっそく周りを見渡し、高巻きの道を探した。でも、みなさん登る準備に取り掛かる。
その脇を吉村さんが地下足袋とわらじで濡れるの嫌だからと巻き道、巻き道と言いながらすいすいと登っていった。私の探していた巻き道ではなく壁のようなところをである。それも何もつけずに。すごい!恐るべし地下足袋わらじ!
核心部の滝の中をリーダーの三田さんが登り、東さんもそれに続く。私達はザイルで確保してもらい登ることになった。最初、平山さんが行った。落ちてくる水に苦戦し失敗。
次、私の番がきた。行きます。岩に取り付いた瞬間、わっ何これ?寒い、見えない、無理。一回目みごと敗退。
次、西川さん夫妻が挑戦、見事、クリアー。先に登った人の手がかりを参考に再度挑戦。勢い良く落ちてくる水にも慣れ、再び溺れそうになりながらやっと登ることができた。
平山さん、窪田さんも難なく登ってきた。登りきったところで、東さんにこれから先の滝について聞くと、あと2,3箇所たいした滝じゃないのがあるだけだから大丈夫と言われホッとする。が、最後にとんでもない滝が待ち受けているとはこの時点ではまだ知らない。
 いくつかの滝が連続する中を順調に登って行き、目の前に6Mくらいの滝が現れた。このころ、結構はげしい雨が降っていることにみんな気付くが、すでにびしょ濡れだったので気にならない。
滝の高さはさっきのに比べると高くない。水もそれほど多くない。大丈夫かも?だが、どうやって登るんだろう?そこへ、滝の横の登山道から二人の男性が降りてきた。またしても弱気な精神が誘っている。いかん、いかん!気を引き締めて滝の方を見ると、地下足袋わらじの吉村さんが登っていた。
水の落ちていない難しいルートを!リーダーの三田さんは果敢に水の中を攻めて登る。続く東さんもザイルなしで水の中ルートを難なくクリアー。さすがだ。
ここでも私達はザイルで確保してもらい登った。三田さんの次は西川夫妻。妻の方は‘いやーん’と言いながらもパーフェクトだった。
私の番が来た。目は隣の一般登山道を見ている。今日一番の核心部と思われるルートだ。仲間の視線を感じ諦めて行った。
半分まで来たところで水の中のルートを攻めようとするが、またしても水を大量に飲み‘やっぱり右から行きます。’と難しいルートに自分の技量も考えず変えた。
吉村さん、どうやって登ったんだろうと思うくらい手や足の置き場所がなく、まごついてると平山さんがアドバイスをくれた。何とか登ったがほとんど引っ張り上げてもらった状態だった。
東さん、三田さんありがとうございました。後続の平山さん、窪田さんはすいすいと登ってきた。
核心部を登り終えたことでちょっと安心し、疲れがどっと押し寄せた。その先もいくつかの滝を越えて最後は藪漕ぎで井原山の縦走路へ登り上げ、そこで昼食をとった。
平山さんはアブやブヨに好かれたらしく、大事な顔を数ヶ所刺されお気の毒だった。それにしても露出度の高かった東さんがたいして刺されていなかったことに納得がいかなかったのか、いったのか微妙だ。 
 下りは‘アンの滝’コースから登山口まで降りた。帰りは近くの温泉で汗を流し、帰路に着いた。
今回の洗谷遡行はとても面白かった。初めてといって良いくらいの滝登り、涼しくてどこか童心に返って探検している感じだった。リーダーの三田さんをはじめ、東さん、窪田さん、吉村さん、たいへんお世話になりました。
参加者: 研修委員=三田(徹)、窪田,会員:6名 以上8名