第1447例会 北アルプスを変更し八ガ岳

三田 徹

今回の冬山は新穂高から涸沢西尾根を経て奥穂高岳を目指すルートを計画した。メンバーは田尻さん、吉村さん、下さん、窪田君、私の5人。
ところが、いざ出発という時期になって、この冬一番の寒波襲来で日本列島は大荒れとの予報が入る。天気図をみても二つ玉低気圧が丁度日本列島を通過しそうだ。12月28日の出発の日までどうするか思案したが、現地に行って相談しようということになり、長崎を出発する。
 12月29日(土)昨年と違い、途中チェーンを着けることもなく順調に走る。午前10時、新穂高手前の栃尾温泉の民宿「富久の湯」に前日から入っていた田尻さんと合流し、早速作戦会議。
やはり、これから天気は大荒れということで、南へ下れば何とかなると判断し、山域を北アルプスから八ガ岳へ変更する。そうと決まれば現金なもので、早速、「酒屋ゴリラ」でアルコールを調達し、雨の栃尾温泉を後にする。
車を南へ走らせ、安房トンネルを越えると薄日が差して来た。山を越えるとこうも天気が違うものなのだ。
 八ガ岳の美濃戸登山口には12:20着。とりあえず3日分の駐車料金1,500円を払い、行者小屋のテン場を目指し出発。赤旗竿、ワカン、ザイル、ハーネスは不要となったので車に置いて行く。
登山道の途中にある美濃戸山荘では、お茶、漬物のもてなしをいただいた。山荘のおばちゃんの話では、この年末の天気の影響で八ガ岳も入山者は少ないとのこと。
行者小屋のテン場までは急登はないが、だらだらした登りでなかなか小屋が見えず、結構きつかった。

ぼったくりテン場!?
 16:50にテン場着、テント設営終了17:50。ここでびっくりしたのが、テン場代がなんと1人一泊1,000円、5人なので5,000円となる。普通はテント1張り当りの料金だが、水はもらえるとしても何でこんなに高いのか、ぼっているとしか思えない。
 文句を言いながらも、本日の夕食は豪華である。田尻さんの事前の「レトルト食品はちょっと…」との一声で窪田食当が奮起し、食材は豊富。人参、ジャガイモ、ソーセージ、魚の湯引き、そしてボッカしてきたアルコール。
荷物の軽量化はどこへやら(笑)。明日は朝からテントを撤収する必要がないので、ゆっくり豪華な夕食に舌鼓を打つ。
 12月30日(日)5:30に起床。行者小屋付近では雪は降っていないが、稜線にでると風は強そうだ。7:30にテン場を出発、地蔵尾根の急登を過ぎると、風が強く吹雪状態となりトレースが見にくくなってきたのでゴーグルを着ける。

地蔵ノ頭

赤岳への登り

赤岳頂上小屋-15℃
赤岳展望荘を経て、10:00に八ガ岳主峰の赤岳頂上小屋に着き、小屋の中で大休止とする。小屋を12:45発、気温は氷点下15度、ゴーグルが曇ってメガネもはずすが、強風に煽られた雪粒が目に入ってきて痛い。小屋からすぐ近くの赤岳頂上(2,899m)での記念撮影も早々にどんどん下り、テン場に戻る。時間もまだ早く、明日以降の天気回復が望めないので縦走してもしょうがないし、もう1泊すればテン場代としてさらに5,000円払うのはもったいないということになり、テントを撤収し、麓で宿を探そうということで意見が一致する。途中、昨年我々が行った中崎尾根から槍ヶ岳を目指し槍平に幕営している下関山岳会と携帯電話で連絡が通じるが、豪雪でテントの雪かきが大変とのこと。31日に3パーティが協力して下山する話がついたとのことであった。新穂高までのラッセルや沢沿いの雪崩地帯の通過等もあり31日のうちには新穂高まで戻れないのではないかと、身を案じる。
 行者小屋からは、登山道が凍っておりアイゼンをつけて下り、2時間半で登山口に到着。
 登山口にある八ガ岳山荘に風呂があるのでここに泊ろうということで値段を聞くと、素泊まり6,000円とのこと。ちょっと高いかなと思っていたら、仮眠室は2,000円で暖房、布団付きで広々している。風呂代を入れても2,500円なので、そこに転がり込むことに決定する。仮眠室は24時間空いており、夜はスタッフもいないので料金を仮眠室の中にある箱に入れるシステムだ。幸い、この天気なので他に来る登山者もおらず、我々5人だけだ。早速風呂を浴びて、反省会兼後夜祭。食材は停滞に備え十分すぎるほどあるので、酒の肴には事欠かなかった。 
 全員無事に下山します
 明けて12月31日(月)朝食を済ませ、9:00に諏訪南インターを通過、高速の深夜割引料金を適用させるためにゆっくり走り、大村IC付近でラジオから流れるカウントダウンとともに新年を迎え、年末山行を終える。 
PS:正月に起きた槍平での雪崩事故については、皆さんご承知のとおり。昨年の正月山行で我々も通過したところであり、雪崩があった場所は平坦なテント場である。まさか、あの場所まで雪崩が襲ってくるとは思えなかった。しかし、山には「まさか」がつきものである。その「まさか」に遭わないためにも、天候をはじめ様々な条件を判断し、それを回避する決断、勇気が必要であると改めて思った山行でもあった。

コースタイム
12/28(金)20:00窪田邸発
12/29(土) 7:15東海北陸道ひるが野SAで朝食
10:00栃尾温泉着。作戦会議
12:20 美濃戸登山口着、12:50発
13:47 美濃戸山荘 14:09
16:50 行者小屋テン場着、17:50テント設営終了
12/30(日) 5:30起床、7:30出発
10:00赤岳頂上小屋着、10:45発
12:05行者小屋テン場着、撤収、13:10発
15:42美濃戸登山口着
参加者:会員5名