第1411例会 根子岳(西峰〜東峰)

田尻 忍

今まで阿蘇の根子岳は眺めるだけの山だったが、今回初めてギザギザ山稜の西峰から東峰までの縦走に行ってきました。
 縦走と言っても多くは痩せた尾根の潅木地帯や岩稜であり岩登りや懸垂下降も幾度か有り冷や汗ものでした。

天狗岩からの懸垂

根子岳頂上

天狗岩をバックに
 今年の夏の北アルプスは32年ぶりでしたが岩登りとなると幾年ぶりか思い出せないくらい久しぶりです。縦走前に岩にかじり付いて少しでも感覚とゆうか感触を試しておけば良いものを、家の崖の草取りでチョットかなと超楽観男は行ってしまったのです。
 西峰から見た天狗岩はまさに天狗の鼻がそそり立つ風で鼻の西面にハイライトの岩場が見える、20m〜30mか、ム・ムの思いと、あのくらいの思いが交差する。岩場直下で現役2名はクレッターシューズに履き替えるが、私は無論登山靴。トップ三田君、セカンド田尻、ラスト窪田君の順で岩に取り付く。
 トップ三田君が難なく岩をこなし潅木帯に消える。次、私が取り付く。2〜3m登ると?何か違う、足元がしっくりこない。自分がイメージする靴の岩に対する食いつきが違いチョット戸惑う。しかし此処で止めるも出来ず、況や登山は天気、地形、体調等に対応するもの、グッと下腹に力を入れどうにか乗り切る。唯、高度に対する恐れや、詰まってミシンを踏む事なかったのが少し安心。
 道具についてはより安全により早くと工夫されたものがあり懸垂下降も背絡みだけでもあるまいと反省させられました。天狗岩を越え東峰より振り返れば逆光の中に天狗の鼻とゆうか親指を立てたとゆうか、棒を1本立てた様な処を良く越えて来たものだぜと我ながら感心した。
 三田・窪田両君については何年振りかわからない、昔岩登りをしていた中年おじさんに付き合って貰い、時間と気を使わせ本当に有難うございました。
 私も後、何年かは岩を楽しみたいと思っています、研修と実践には参加します。
会員の皆さんも、安全登山の為にも研修と机上訓練には参加しましょう。

三田 徹

以前、根子岳縦走はヤカタガウド登山口から天狗岩を経て西峰に至るルートに2回行ったことがあるが、いつかは逆のルートを縦走してみたいと思っていた。
 10月8日(日)天気は上々、午前10時過ぎに女性陣を含め日ノ尾峠から西峰を目指す。峠からはいきなりの急登だ。高度を上げるにつれ、ちらほら紅葉も見られたがまだちょっと早いようだ。西峰からは、鷲ヶ峰の岩峰が間近に見える。
西峰で女性陣と別れ、縦走開始。前にも増して、尾根はますます痩せており、岩も脆くなっているようだ。ルート確認の際は、手書きの地図が役に立った。
何度か懸垂下降や短い岩場を登ったり、極小キレットを飛び越えたりして、本日の核心部の天狗岩の登りに取り付く。折角なのでトップをやらせてもらう。ボルトもまずまずしっかりしており、(ただし新しく打たれていたハーケンはヌンチャク回収の際に簡単に抜けてしまったらしい。)クレッターシューズのおかげでフリクションも効いていたので、見た目よりは易しかった。
ルートは4本目のボルトから左に取り、リッジを登り上がって草付きを登って終了。ビレイ点からちょっと登って天狗岩の頂上。あとは天狗のコルへ懸垂下降をしてザイルを使うところは終了。(逆ルートでは、ここはトラバースする部分だ。)

天狗岩登攀

阿蘇カルデラに根子の影

2001.10.6西峰にて
東さん退職記念
天狗のコルから東峰までは初めて通るルート、ここは一般の登山者でも通行可能だ。東峰には17時頃着。田尻さん、窪田君とがっちり握手する。東峰からは夕陽を背に、ススキの中に映える天狗岩、東を見れば、根子岳が見事に眼下に影を落としている。
 陽が沈まないうちに、急ぎ大戸尾根を下り、地獄谷避難小屋で女性陣と合流し、根子岳縦走を終える。今回は田尻さんの退職記念、岩登り復帰登山でもあった。そういえば、前回根子岳を縦走したときも、東さんの退職記念登山だったことを思い出した。

窪田 紀幸

18年上期の全体会に参加しなかったところ、いつの間にか根子縦走例会が組まれリーダーのおまけがついていた。それからあっという間に月日が流れ、例会直前になって計画を立てねばと焦り始めた。
例会予報を月報に掲載するも締切り時点で思ったより人数が少ない。これなら車1台で済むなと思いつつ、さて縦走は三田・窪田のみ(?)、田尻会長の申し込みはあったが縦走をしたいとはメールに書いてなく、このところ岩もご無沙汰だからピークハントかなと勝手に決め込む。
二人で縦走も寂しいなと「湧蓋山に変更しませんか」と参加希望者にメールを送る。この時点では特に反論はなく、菊池の実家をベースに使わせてもらい山行を計画する。すると締め切りを過ぎてから「申込み忘れてた!まだ大丈夫?」という連絡がポツポツ入り、更には「やっぱり根子に行かなきゃあ!」と大ブーイングありで、紆余曲折あったが車2台に増便し元の計画通り根子岳に行くことに決定。
田尻会長は「俺も久しぶりに岩をやる、根子岳縦走組だけんね!」と意気込んでおられ、一緒に岩登り経験のないリーダーは、自分のことを棚に上げて「大丈夫かなあ〜?」とちょっと心配でした。
 今年の夏は北アルプスで長雨と折からの暴風に祟られて散々だったが、秋に入ると台風13号通過後からは晴天が続き、当日は絶好の登山日和。まだまだ紅葉にはちょっと早いが所々赤く色づいている木々も見え、初秋の阿蘇の風景に包まれる。
日の尾峠から西峰迄の登りは息切れするような急な登りで、バックに高岳を見ながらどんどん高度を稼ぐ。おっと、ここら辺は西峰・東峰レポートにお任せしよう。

ボロボロ壁のトラバース

1回目の登攀完了

縦走完了

縦走完了
先を急ごう。今回は5年前とは逆のルートで西から東、登り方向でやや難度が高いと思われる。距離的には短いながらもアップダウンの激しい脆い岩場のルートであり東峰までの行動時間は6時間と踏む。
 三田さんが持ってきた昔の手書きの地図が、ルートファインディングの要所要所で大活躍、ほぼ順調にルートを辿る。田尻会長は根子岳縦走が初めて(知らなかった!)だったそうだが、若輩の分際で失礼ながら昔取った杵柄でなかなかどうして頑張っていらっしゃる。
惜しむらくは、肩がらみ懸垂では両手が使えず、ややバランスを崩されてヒヤリとする場面もあり、せっかく持参されている“最新の”道具が腰周りのアクセサリーと化し泣いていた。
まだまだこれからだと意気込んでおられるので、登攀研修にぜひ参加いただきたく。
 根子岳の稜線は相変わらずボロボロでかつナイフのように幅が狭い。晴天続きで滑らないのが救いであった。天狗岩を懸垂で降下、16:00過ぎに安全地帯に到達する。
それから荒れた東峰まで約1時間のアップダウンで17:00丁度に東峰頂上に到着。
阿蘇の原野に根子岳の影がくっきりと浮かび上がる頃、3人での縦走を無事達成し、がっしりと硬い握手を交わしたのだった。
追伸:嫁さんも会員外としてピークハントに参加。急登だが高岳の眺めの良い西峰のみであったが快晴に恵まれ、皆さんのサポートあり楽しい会話に花を咲かせて十分に満足したとのこと。
コースタイム
西峰12:15⇒天狗岩登攀14:30⇒15:30根子岳頂上⇒17:00東峰⇒18:00地獄谷避難小屋(縦走時間:5h45m)
参加者:会員7名、会員外1名

第1411例会 根子岳(西峰)

石川 純子

10月8日(日)晴
 早朝6時、多良見ICを8名、車2台で出発。途中東背振ICを出て入るという裏ワザも使いながら快調に走り、北熊本SAで朝食。熊本ICで高速を降り阿蘇へ、宮地から根子岳のギザギザを目指して日の尾峠に9:45着。
 車4、5台分の駐車場があり、辺りは木々が茂っているのに牛は登って来るらしく、あちこちに糞がある。ハガクレツリフネの淡いピンクや白いヤマシロギクが秋を感じさせる。
 ここは本来高岳への登山口で、根子岳へは一般者は無理となっているが、西峰までなら何てことはない。
 ギザギザ両端の西峰、東峰のピークハントのみの女性5名、例会メインの西峰から東峰へ縦走する男性3名身支度をし、10:05いきなりの急登に取りつく。
 道ははっきりしているが両側から草や潅木がかぶさり、それらをかきわけつかみながら半分腕でひたすら登る。ツクシミカエリソウや丈高いヨモギ、ススキにまじるシオガマギクのピンクの花が目を楽しませてくれる。
 ミヤマキリシマが目につくようになると見晴らしもよくなり、西峰に連なる鋭鋒の山腹はまだ青々としているが、台風の影響もなく見事な紅葉が期待できそうだ。

日の尾峠にて

急登をあえぎながら登る

西峯にて出発!

 笹をかきわけ登りついた岩峰の下を左にまき、潅木のヤセ尾根をほんの少し登ると岩峰のてっぺんに出、そこが西峰(1,394m)だった。11:50着。
 頂上はテント1張分ほどのスペースで、東側すぐそこに最高峰天狗(1,433m)の高い鼻がそびえ、振り返ると西に高岳(1,592m)がどっしりとかまえて稜線には日の尾峠からの道がみえる。
 昼食後せっかくの眺望を楽しむ間もなく、12:15 縦走隊はクライミングスタイルもバッチリとまずは天狗を目指して出発。ピークハント隊は日の尾峠へ引返す。
 下り始めてすぐ登ってきた7名の中高年パーティとすれ違う。途中ヤセ尾根の潅木の茂みに入っていく縦走隊に最後のエールを送りどんどん下る。登りに心配した道も思ったより乾いていて、念のために借りたシュリンゲも使わず峠に13:20着。
 爽やかな空気をいっぱいに味わい、頂上近くの岩地ではダイモンジソウのかわいい花とも出合えて、満足な西峰登山だった。

第1411例会 根子岳(東峰)

金澤 きみ代

根子岳西峰下山後、日ノ尾峠より車で大戸尾根登山コースの登山口、牧場倉庫まで移動。途中道幅が狭く両サイドの木々で車のサイドをかすりながらの運転。これきしの傷は当然?血液型O型2人とOに近いA型の3人らしくさほど気にも留めない。
牧場倉庫で下車し車のサイドを見て「ア−ア!やっぱりね。」
 西峰ル−トはいきなりの急登だった。東峰は田尻さん、石川さん、金澤の3人で目指すことになった。
スタ−ト、14時15分。下山を考えると遅いと思ったが、16時にはどこにいようと下山をする、ということで出発した。駐車場から牧道に入り登山届の場所から牧場内を通過する。牧場を通過するといきなり急登である。西峰ほどではないが帰りの下りが思いやられる。
すばらしい天気に恵まれ午前中涼しかった気温がぐいぐい上がって汗が顔から落ちてくる。尾根に出たとたん素晴らしい視界が広がりホッとする。ル−トの左サイドは地獄谷である。
おそらくこの地獄谷は紅葉の時期はもっとすばらしいんだろうが、まだ紅葉には早く、思わず下をのぞくとぞっとして足がすくんでしまう。
見上げれば男性3人が縦走している天狗の峰が顔を出している。年々崩壊が進んで岩石は剥がれて地獄谷へと落ちているそうだ。少し緩やかな登りになるころ1箇所岩場の短いはしごがあった。山頂?が見え、ほっとする。白、紫の可憐な野菊がさりげなく咲いていて山は秋を感じさせてくれる。時計を見ると15時。あと30分あれば大丈夫か?と思っていたら山頂はまだその奥であった。東峰着15時35分。
 山頂は360度のパノラマであるが、今日は少しもやっていて高岳すらかすんで見えた。ススキが映えてきらきら輝いていて美しさに目を奪われる。
天狗方面より東峰へ歩いてきた男性は「3人の方は15時ごろ天狗を降りきっていましたよ。最近ここを縦走する人はいないんですよ。年々岩がもろくなっています。3人とも超ベテランの方々なんですね。」という感想を述べていた。

西峰、東峰を極めて
 逆光のため縦走組の田尻さん、三田さん、窪田さんの3人の姿は見えなかったが、私たちを呼んでいる声だけはしっかり聞こえて一安心。
 天狗峰がますます大きく見えたが、私からはますます遠い山に感じられた。タイムリミットの16時までに山頂についたことを3人で喜び、記念写真を撮ってもらい、16時10分下山開始。暗くなる前には駐車場に着きたいと、少し足早に歩き17時には駐車場に着いた。
 縦走組の3人と合流して、温泉へ寄り、本日の宿泊場所である窪田さんの実家に着いたのは20時を過ぎていた。